ケニアに行ってわかった認知症介護における「三現主義」の大切さ

マサイ族

今日は、7月2日発売の新刊に載らなかったボツ作品を、ブログ用に修正したものをアップします。

以前、アフリカのケニアに行ったことがあります。マサイ族(上の大きな写真)の村を訪問し、部族の踊りを見ました。高くジャンプできるものに敬意を払うマサイ、若者はこれ見よがしに跳んでくれました。 

原始的な火起こしをみたり、牛のふんで出来た家(上の写真の背景の建物)の中をみたりと、貴重な経験をいっぱいしてきました。そもそもケニアに行こう!とならないと思いますが、地球の大きさを感じることができるすごいところです。

「プルルルル・・・」

えっ?

後ろを振り返ると、あのマサイが携帯電話を持っているではありませんか!

今でこそ有名な話ですが、マサイも変化しています。空港にある売店の10倍の値段で、おみやげを売りつける商魂のたくましさも驚きでした。マサイ=原始的で何もない と思いがちです。しかし、現地に行ってみると、こんな現実もあるのです。

下記写真はキリンですが、自分の10メートル先をキリンが走ってました。わたしは車の中に居たのですが、こっちに来たら間違いなく車ごと吹っ飛ばされるんだろうな・・・と思いながらも、ゆっくり走るキリンの姿は今でも忘れられません。

マサイキリン

この経験から、「現場感」であったり、「百聞は一見に如かず」ということわざをより重要視するようになったのです。

自動車メーカーが実践する「三現主義」とは

トヨタやホンダが実践している、「三現主義」をご存知ですか?

自動車工場における「現場で、現物を、現実にみる」という三つの現から成るコトバです。会議室で不良の原因を探っていても、机上の空論。工場の現場に行き、現物を見て、現実を知ることで、改善が可能になります。認知症でも、こんなことが起きてます。

認知症になったら、寿命が来て死んでしまう、一切何もできなくなってしまう。

こういった情報で、絶望の淵へと追い込まれる認知症の当事者の話を、一度は耳にしたことがあるかと思います。介護施設で殺人が起きれば、他の施設も同じではないか?と思ってしまいます。ココナッツオイルで指導を受ける会社があれば、すべてがダメだと考えてしまいます。しかし、現実は、そうではありません。

介護家族に多い「お任せ気質」

介護施設をケアマネやソーシャルワーカーから紹介してもらったとき、「お任せします」と言ったことありませんか?お医者さまに対しても、「先生にすべてお任せします」といった経験あるかと思います。わたしもあります・・・

お任せしますでは、三現主義になりません。介護施設を自分の目で見る、医師に丸投げではなく、家族も認知症の人と向き合うことが「現実を知る」ということです。

病院や医師の知名度、規模、実績、友人からの口コミも、ただの情報に過ぎません。三現主義というフィルタを、ご自身でかけることが大切です。

自分に当てはまるかどうかは、自分で現場に行かないと分かりません。情報だけで判断することはできません。 忙しくて、時間が取れないかもしれません。しかし、介護の責任者は、誰かということです。ケアマネでもなく、医師でも介護職でもない、介護者自身なのです。

ケニアに行って、まさかの携帯電話を見て、ホテルから出たら銃で撃たれるよと言われました・・怖っ。しかし、ライオンやバッファロー、チーターを見たときの感動はコトバでは分からない、やっぱりあの場所に立たないと味わえません。

というお話が、今回はバッサリとカットされました。ブログがあるので、わたしの場合は救われます・・・ケニアとの話がかけ離れ過ぎていたかな?こんど編集さんに聞いてみます(笑)

今日もしれっと、しれっと。


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【わたしの書いた最新刊】
東京と岩手の遠距離介護を、在宅で11年以上続けられている理由のひとつが道具です。介護者の皆さんがもっとラクできる環境を整え、同時に親の自立を実現するために何ができるかを実践するための本を書きました。図表とカラーで分かりやすく仕上げました。

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ABOUT US
工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(81歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて13年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【音声配信Voicyパーソナリティ】『ちょっと気になる?介護のラジオ
【著書】親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか