悩みを抱えたまま誰にも相談できないでいる介護者が全国にたくさんいる

泣く

わたしは本やブログ、講演会で7年以上、介護について発信を続けていますが、個別の介護相談は受けていません。わたし自身が現役の介護者であり、自分の介護もあるので、たくさんの相談を聴く余裕がありません。

発信することで、介護者の皆さんがご自身の介護環境と照らし合わせて、そこから自分で悩みを解決して欲しい!というスタンスです。

ただ、講演会の質疑応答コーナーと講演会終了後のフリータイム、介護のつどいに参加したとき、ブログに寄せられるコメント(SNSは返事できないことも)での介護相談は、答えというか、自分の意見を言うようにしています。

特に講演会終わりに介護相談を受けることが多くて、おそらく数百人の介護者とお話しさせて頂いたと思います。そこで感じるのは、介護の悩みを抱えていても、誰にも話せずにいる方が意外と多いということです。

悩みを打ち明ける相手

家族の介護や病気のことを誰かに打ち明けたいと思ったとき、皆さんは誰を選びますか?

例えば友人。同じ病気や介護の悩みを持っている友人ならばきっと、打ち明けやすいと思います。でも、幸せいっぱいな友人には、なかなか打ち明けづらいかもしれません。

例えば親族。時代の価値観が合わない親族であったり、これまでの人生でマウンティングされたりしていれば、親族に相談しようとは思わないはずです。

例えば会社の同僚や上司。介護を打ち明けた瞬間、会社での立場がおかしなことになるのではないか?仕事がしづらくなるのではないかと考え、打ち明けようと思わないはずです。

認知症カフェや介護の集いなど話す場所はありますが、そもそもその存在を知らない方が本当に多いです。

いろいろ考え、誰にも相談できずに悩み苦しんでいる中で、たまたまわたしの講演会を見つけ、自らの力で解決しようと参加される。

講演会後に、わたしに悩みを吐き出した瞬間にホッとして涙を流されます。わたしもグッとくる瞬間であり、強く共感する瞬間です。

わたしは在宅介護の悩みがメインですが、施設に親を預けている人の苦悩もいろいろあって、介護者の皆さんは何かしらの悩みを抱えています。

介護のプロでも、ご自身の家族の介護で悩んでいるケースもよくあります。仕事のように家族と接することができないと相談されたこともありますし、講演主催者の方も、何かしら介護を抱えていることが多いです。

介護を隠している人々

わたしもそうですが、普通の飲み会とかでいきなり介護の話はしづらいです。しかし、誰かがポロっと介護話をすると、実はわたしもと言って、次々介護話を打ち明けること場面はよくあります。

Facebookだと友人との距離が近すぎるので、Twitterをうまく活用して、介護の悩みを解消したり、知らない誰かに愚痴を聞いてもらう方は結構います。

介護経験者のほうがもちろん、介護への理解もあるので、相談しやすいかもしれません。でも、介護を経験していなくても、なぜか話を聞いて解決しちゃう人もいます。

結局、悩みをため込むこと自体がストレスになっていて、たとえ解決しなくてもいったん誰かに吐き出してしまうことで、少しだけラクにはなります。

どこで誰に吐き出すか、その場所探しで苦労し、疲れている方は全国にいっぱいいるなぁと実感します。思い切って身近なところで介護の悩みを打ち明けると、実は同じような環境の方、結構周りにいると思います。隠れ介護者は、本当に多いです。

どうしても悩みを打ち明ける相手がいなかったら、本にも書きましたがこういうところに電話してみるという方法もありますよ。

認知症110番


2020年にその悩み、持ちこさないでくださいね。

今日もしれっと、しれっと。


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【わたしの書いた最新刊】
東京と岩手の遠距離介護を、在宅で11年以上続けられている理由のひとつが道具です。介護者の皆さんがもっとラクできる環境を整え、同時に親の自立を実現するために何ができるかを実践するための本を書きました。図表とカラーで分かりやすく仕上げました。

11件のコメント

現在90際の父と88歳の母の介護を自宅でしています。認知症は母のほうが酷く、父はまだ人の話が少しは理解が出来ます。母は今話したことも記憶に残らないので同じことを同じ質問を何度も繰り返します。最近は父も可也記憶力が劣化してきていて、自分が気になること以外は何も覚えていません。そんな二人と生活をしているので、全く会話が成り立ちません。矢張り我慢が出来ないと私も大きな声を上げて反論するのですが、そうすると二人してなんて娘だと非難をします。怒っても虚しいばかりなのですが、気持ちが晴れることはありません。どのようにして心の整理をしたら良いものなのか。

保科さま

コメントありがとうございます。

わたしの場合ですが、認知症の親を責めると自分が怒って空しい状態になることが見えているので、そんな未来の自分を想像すると少しだけ責める
回数が減ります。認知症は完治するものではないですし、親を何とかしようにもどうにもできないので、自分が変わるしかないという思いで今も介
護しています。このブログやわたしの本に書いてあることが、参考になるとうれしいです。

受領する……なんて、そんな簡単に出来る事じゃないです!
皆がみんな出来る事じゃないです!
自分は、御自身は、……、域に達したのでしょうから、平気で、相手は、認知症だから、自分が、受け入れれば容易いこと、、、と言えるんです!
簡単に、、言うな‼

簡単に言うな‼
自分は、域に達したのでしょうけど、そんな簡単な事じゃ、現実はないんです!
独りで、両親2人看る気持ちが、この様なコメントのコメントで、腹が経つ‼
認知症だから、受け入れれば容易いこと?
ふざけるな‼
現実に、現場にいる365日24時間、の子供の気持ちを解ったような事、言うな‼

kmさま

本当に簡単なことではないですよね。
わたしも認知症の祖母と母の認知症介護を8年やって、今なお継続中ですが本当に難しいです。
未だに答えは見つかりませんし、域に達したとも思っていませんが、そうなりたい、ラクになりたいという思いで介護をしています。

この4月から認知症要介護1の実母を近くに呼んで生活し始めました。自分が認知症とまでは思わないものの、頭の中がぐちゃぐちゃや〜とパニックになることしばしばで、怒りの矛先が一番近くにいる私に向けられます。
介護一年生でストレスが半端ないです。
先日、市の認知症家族会が月一回あることを知り、来月から参加してみようと思っています。工藤さんのブログをむさぼるように読んで、私も勉強したいと思います。

まあさま

介護1年目は、いわゆる「慣れ」の免疫がまだついていないので、ストレスを抱える時期かと思います。
家族会や認知症カフェは、主催者の方針、他の参加者との相性などがあります。介護者としての居場所が見つかるといいですね!
ブログは1200本以上記事があるので、本のほうが整理されていて読みやすいかもしれません。がんばりすぎないでいきましょう!

遠距離介護をしながら、認知症介護の配信をしてくれていることに感謝しています。

認知症が進み、父が自分で薬を飲めなくなりました。日中、ヘルパーさんが入るので、朝の薬(血圧)はお願いできていますが、夜の薬(認知症)は忘れることが多いです。

この前、ケアマネさんに夜の薬を朝の処方にしてもらい、ヘルパーさんに朝と夜の薬を一緒に飲ませたいので、病院にお話ししてほしいと言われました。看護師さんは、夜にもヘルパーさんに入ってもらって、介護度をあげてもらってと言います。それをケアマネさんに言うと、私の父はまだ歩けるから介護度は上げられないと言います。

父が岩手なので、岩手の認知症家族の会に相談することもありました。後は施設に入れるしかないと言われました。そして、私が青森なので青森の認知症カフェに相談しなさいと言われます。包括に相談すれば、結局病院に相談しなさいと言われます。
時々、認知症110番も利用しますが、日時が合わなかったり、たいした悩みじゃないと取られます。
周りから見れば、同居しなさいと思うのでしょう。
処方が変わらなければ「FUKUSUKE」を考えます。そもそも一度に何錠も飲ませることに驚きますし、相談しても他の機関を紹介されるだけなので、悲しくなります。

長くなり、本当にごめんなさい。
認知症介護の悩みは、人それぞれですが、こうしたことを誰かに知ってほしいです。

sakoさま

わたしだったらケアマネさんより訪問薬剤師さんを頼って、医師と連携してもらって朝と夜のお薬を一包化しても問題ないならお願いすると思います。わたしの書いたピンクの本をお持ちでしたら、訪問薬剤師さんの利用方法や料金は156ページと157ページにありますし、ネットでも調べられると思います。

この記事久々に読みましたが、なかなか辛辣なコメントが寄せられてましたね(笑)

くどひろさま

コメントありがとうございます。
書籍の購入、ずっと悩んでおりました。道具を使う人に合っている本だと思っていたからです。でも、それだけではなかったんですね。購入してわかりました。
以前、ケアマネさんに訪問薬剤師さんの話をしたことがありましたが、
「週に一回しか来れないから」
と言われて終わりました。
これで、利用方法も医師と訪問薬剤師さんが連携してくれることもわかり助かりました。
まだ、少ししか読んでいませんが、ブログではわからないくどひろさんの思いが、伝わったような気がしました。

お礼を伝えたかったので、こちらの記事にコメント失礼します(^_^;)

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ABOUT US
工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(81歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて13年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【音声配信Voicyパーソナリティ】『ちょっと気になる?介護のラジオ
【著書】親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか