骨折した認知症の母のための態勢を緊急で整えた話

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認知症の母が自宅で転倒して、左足親指の付け根にひび(骨折)が入りました。比較的軽症ですが、問題はやはり認知症です。自分が骨折していることすら忘れるので、目を離した隙にシーネと呼ばれる添え木も包帯も外してしまうのです。

その格闘のため、緊急で盛岡に帰ってきました。やらないよりはやったほうがいいので、下の写真のようなこともやりましたが、効果は微妙です。包帯が分からないかも。

ほんのちょっと効果のある貼り紙

難病で何十年も左足で踏ん張って立ち上がる習慣があり、さすがにそれは変えられません。その左親指が骨折していて紫色に腫れあがっているのに、包帯もシーネも外して靴下を履き、いつも通り立ち上がろうとして失敗、ハイハイで家の中を移動しています。

他の人ならシーネがあれば歩けるレベルでも、難病を抱える母はできません。そこで急きょ朝も昼も夜も、誰かが見守る態勢づくりを整えたのです。

ケアマネさんと考えた介護の態勢づくり

盛岡に帰る前に東京から電話で、岩手のケアマネさんと妹と電話で話しあい、それぞれの予定と使える介護保険サービスを考えました。

まずは可能な限りデイサービスを活用し、妹は実家に泊まれる日は泊まる。どちらもダメなら、わたしが東京から駆け付けて、母を見守るようにしました。また元々の遠距離介護を少し早め、9日間だけ乗り切ればいいところまで、なんとか調整しました。

でも、どうしてもわたしも妹もデイも対応できない日が2日できてしまいました。対応できる施設をケアマネさんに見つけてもらい、母が利用したことのないデイサービス併設の住宅型有料老人ホームが見つかったのです。

日中はそこのデイ、夜間は自費のお泊りデイを利用して、その2日を過ごしてもらうようにしました。ここはわたしが8か月前に見学に行った施設だったので、雰囲気は分かっています。

この記事がアップされる金曜の朝は、母を介護タクシーに乗せて新しいデイサービスへ送迎し、そのまま盛岡駅へ向かい、東京へ帰ります。ヘルパーさんに送り出しをお願いすると、ひとりの時間が出来て、その隙にシーネと包帯を外してしまうのでやむを得ません。。

車椅子や歩行器は必要か?

家の中で移動するための歩行車や車椅子の検討も、福祉用具専門相談員さんとしました。しかしここでも、認知症が立ちはだかります。

母は、車椅子や歩行車のブレーキ操作ができません。ブレーキをかけられないと、捕まってさらに転倒の恐れもあります。最も安全な方法を話し合ったところ、何も使わないほうが安全という話になりました。ハイハイで膝が痛くなるかもしれないので、膝サポーターを買ってきました。

再来週から通院があるので、外出用車椅子が必要かどうかの話もしました。その前に介護タクシーの利用を考えていたので、こちらは車の移動は介護タクシーの車椅子で、病院に着いたら病院の車椅子を使う流れで落ち着きました。これらすべて決まったのも、敏腕ケアマネさんのおかげです。

医療介護職との話の中で、認知症で違和感のある包帯やシーネを巻いていたら、そりゃ外すよねと。ベストは尽くして、あとは本人の治癒力に期待するしかないという話も出て、わたしの気持ちも少しラクになりました。

でも「ちょっとーーー、包帯触らないでーーーー!!!!」と叫びまくって、疲れてます。一旦東京に帰って、数日後にまた実家に戻ってきます。

音声配信voicyの最新回は、そんな認知症の母との親子ゲンカです↓

今日もしれっと、しれっと。


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【わたしの書いた最新刊】
東京と岩手の遠距離介護を、在宅で11年以上続けられている理由のひとつが道具です。介護者の皆さんがもっとラクできる環境を整え、同時に親の自立を実現するために何ができるかを実践するための本を書きました。図表とカラーで分かりやすく仕上げました。

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ABOUT US
工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(81歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて13年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【音声配信Voicyパーソナリティ】『ちょっと気になる?介護のラジオ
【著書】親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか