母親の介護は女性がしたほうがいいと思ってしまう3つの瞬間

女性の介護

先日、妹が認知症の母の介護のために、実家に数日泊まりました。

妹の介護報告を受けたわたしは、「さすが女性目線!」と思わず声に出してしまいました。

わたしがこの7年、母を介護しているときも、「これは息子ではなく、娘のほうがいいかも」と思う瞬間は何度もあって、そのネタだけで90分、男女共同参画の講演会をするほどです。

息子が母親を、夫が妻を介護するケースは年々増えているのですが、どういった瞬間に、母親の介護は女性がしたほうがいい!と感じるのでしょうか?

尿パッドの購入

母の尿パッドを買いにドラッグストアへ行くと、「間違えて」生理用品売場へ行きます。尿パッドのパッケージの外観が、生理用品と似ているためです。

平日昼間、46歳男性、いつもニコニコしているわたしが、生理用品売場でじっくり品定めしていたら、警備員に連れて行かれるかも・・・。ニコニコはいつもはプラスでしかないのですが、あの売場でのニコニコは、ニヤニヤだと思われる!

最初の頃は、夢中でパッド探しをしていたのですが、自分の行動を俯瞰してみたときに、このリスクに気づいてゾッとしました。

その後、通販での購入を検討したり、介護用品と生理用品売り場がしっかり分かれているドラッグストアを探したりして、今はリスクのない、決まったお店で購入しています。

妹(女性)だったら、こんな余計な心配はしなくていいはずです。

下着の購入

7年も認知症介護をしていれば、母のパンツを買うことに抵抗なんてないのですが、尿パッドと同じようにゾッとした経験があります。

母と外出する際、歩行介助のために、常に腕を組んで歩いています。その日もいつも通り、母を連れて婦人洋品店に入り、しれっと女性下着売場に。

母のパンツを選んでいるときに、ふと我に返って、売場を見渡してみると、男性はわたし1人だけ。腕を組んで歩いていたので、介護している感じが伝わりセーフと勝手に判断したのですが、やはりゾッとしました。

今回の介護で、妹に指摘されたのが、ブラシャツの存在。

母はお風呂に入らず、タオルで体を拭いたり、シャワーを軽く浴びる程度です。今までブラを洗濯したことがなかったので、ブラシャツなるものが、世の中に存在していることすら知りませんでした。それで、追加で何枚か購入してもらいました。

ブラキャミなら、ユニクロのCMで見たから分かるのですが、これだけ母と一緒に生活してきたにも関わらず、ブラへの意識がなく、男だな・・と実感しました。

トイレの介助

母のトイレの付き添いの際、女性トイレの前までしかいけないので、いつも不便を感じます。車椅子の方が使うトイレがないケースが実は多く、トイレ内を壁伝いで歩く母の介助ができません。

先日も、健康診断の尿検査の際、女子トイレに入れずに、かなり不便でした。案の定、尿採取をして、尿カップをトイレの中に忘れてきました。そういう時に限って、周りに誰も女性がおらず、手足が不自由な母にトイレに戻ってもらいました。娘だったら・・・。

他にも、長年購入していたAmazonの口紅が生産終了となり、新しい口紅を探しにいったら、どこに何があるかさっぱり分からず、若い美容部員さんに探してもらうなどなど、挙げるとキリがありません。

父が必要とするものは、同じ男性なのでなんとなく理解できます。しかし女性となると、意識の向かないものがまだまだあるなと、今回気づかされました。

男性介護者が増えているとはいえ、本当に介護者全体の4割に迫っているのかな?という実感です。平日昼間、しかも盛岡で母と一緒に病院、外食などをするときは目立ちますし、ムダに褒められることも。

「まぁ、息子さん。お母さんのために、偉いこと~」

超苦笑いしながら「ありがとうございます」と、とりあえず返事するのも、日課です。

息子を子育てした女性なら、ある程度男性のことも理解できるかもですね。姉妹で育ち、娘の子育てしかしていない女家族の方も、父親の介護をしながら、わたしと同じような気持ちになるのかもしれませんね。

今日もしれっと、しれっと。


にほんブログ村 介護ブログへ


【わたしの書いた最新刊】
東京と岩手の遠距離介護を、在宅で11年以上続けられている理由のひとつが道具です。介護者の皆さんがもっとラクできる環境を整え、同時に親の自立を実現するために何ができるかを実践するための本を書きました。図表とカラーで分かりやすく仕上げました。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

ABOUT US
工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(81歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて13年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【音声配信Voicyパーソナリティ】『ちょっと気になる?介護のラジオ
【著書】親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか