今日はブログ1本分の記事にできるレベルではない、でもどこかで書いておきたいという認知症の母と息子の日常を描いた小ネタ集です。イメージは探偵ナイトスクープの「爆笑小ネタ集」ですが、爆笑はとれないので少しニヤリ( ̄ー ̄)として頂けるとうれしいです。
稀勢の里が横綱になった!
稀勢の里が横綱になった。19年ぶりの日本人横綱ということで、テレビは稀勢の里一色になった。母とわたしは居間でそのテレビを見ていたのだが、
・・・2秒後。
これを、何度も何度も繰り返した。
確かに、力士の判別は難しい。ほとんどの力士が太っていて、ニコニコしていていい人そうだ。まげを結っているから力士と判別できるが、まげが無かったら母にとってはカオスだ。
未だに稀勢の里がテレビに映るたびに、「ほら、奥さんキレイな人」と必ず言うので、「琴奨菊ね、それ!」と毎回ツッコミを入れるのだが、力士はだいたい似ているしキレイな奥さんをもらうのが相場なので、母が死ぬまでこのやりとりは続くと思われる。
次は高安が大関に昇進しそうなので、このエンドレスなやりとりはまた盛り上がりを見せそう。
祖母の仏壇
2013年に90歳で亡くなった祖母と、1969年に0歳で亡くなった兄(長男)が仏壇にいる。わたしのペンネームである「くどひろ」は亡くなった兄の名前を漢字を変えて使っているので、二男のわたしが兄を演じて生きている。
認知症だった祖母は、仏壇にきちんと手を合わせる人で、入院する前まではお水やご飯、お花を毎日準備する人だった。今はわたしが帰省したときは、毎朝手を合わせるようにしている。認知症の母は、気になった時に「不定期」で拝む。
仏壇で「チーン」と鳴らすアレを、「りん」と「りん棒」という。鈴・輪(りん)という意味があって、その澄みきった音が極楽浄土まで届くのだそう。
しばらくして。
またしばらくして。
母は「本当に」不定期過ぎる拝み方をするので、1日中チンチンとうるさい時がある。拝んだことを忘れてしまうから、しょうがない。
「何回鳴らすねん!」と関西風ツッコミを入れたくなるのだが、それを言いたいのは極楽浄土にいる祖母と兄かもしれない。認知症だった祖母も、天国では認知症は完治しているとわたしは思っていて、極楽浄土でしつこい母に対して厳しいツッコミを入れているに違いない。
まだ寒い盛岡の朝
さくらが満開になりそうな盛岡。朝の気温はまだ一桁で、コタツやエアコンが必要だ。
その日の朝はかなり冷えていて、居間の室温も一桁だった。
6畳の居間にはエアコンがついていて、隣にある8畳の台所は灯油ファンヒーターを使っている。4月にしては寒い朝なので、わたしは台所のファンヒーター近くで暖をとりながら、母親の料理を観察していた。
築50年近い家はすきま風が入ってくるので、居間から入ってくるスース―とした冷気は暖かくなるまではガマンしないといけない。
毎朝同じ料理(目玉焼きともやし炒め)を作ってもらって、母に料理を忘れないようにしてもらっているのだがどうやら今日もいつもの料理ができたようだ。
寒い居間へと移動したとき、コタツの上にあったものが目に飛び込んできた。
「冷房 19℃」
エアコンのリモコンに、そう表示されていた。
認知症の母はボタンを押し間違え、暖房ではなく、冷房をつけていたのだ。どうりで寒いわけで、居間だけなぜか真冬の寒さが訪れていた。昔、東京電力のでんこちゃんが「冷房は28℃でね」と言ってた気がするが、まさかの19℃(笑)温度の意味が分からないから、こうなってしまう。
居間の冷気と台所の暖気を、灯油と電気を使ってムダに戦わせていた。寒気と暖気がぶつかると雨や雷が発生すると言われているが、うちの実家の居間では何も起きなかった・・・
今日もしれっと、しれっと。