認知症介護中のオリンピックは4回転どころではない!

認知症の母(70歳)が、どのように変化していくかをブログで報告しています。

認知症の母の状態と現在行っている認知症治療

・コウノメソッド実践医の診断が、アルツハイマー型認知症からピック病に変更
・おそらく1年前くらいに発症、祖母が子宮頸がんで入院して家で1人になってから一気に悪化
・サプリメントのフェルガード100M(1日2回)のみに変更

ソチオリンピックを認知症の母と見る

先週はなんといっても、ソチオリンピック週でしたね。羽生選手の金メダルはすごかったし、スノーボードの平野選手も平岡選手も素晴らしかったです。そんな中、我が家のソチオリンピックはというと、こんなんでした。

<テレビに羽生選手が登場>

母: 「スケート靴って片方5㎏あるらしいよ、重いのにすごいわね~」

わたし: 「(そんな重いわけねーだろ!と心の中で思いながら)ふーん、そうなんだー」

母: 「スケート選手はお金持ちじゃないと、なれないよねー」

わたし: 「そうかもねー」

母: 「国から賞金は出るのかしらね?」

わたし: 「出るかもねー」

母: 「真央ちゃんはだめだったんだね」

わたし: 「(ここだけは修正を入れる)来週、真央ちゃんは出るんだよ」

母: 「ふーん、そうなんだー」

<ここで高橋選手が登場する>

母: 「スケート靴って片方5㎏あるらしいよ、重いのにすごいわね~」

わたし: 「(また来たよ・・・と思いながらも)ふーん、そうなんだー」

母: 「スケート選手はお金持ちじゃないと、なれないよねー」

わたし: 「(またこれかいっ!って思いながらも)そ、そうかもねー」

母: 「国から賞金は出るのかしらね?」

(以下、前と同じなので省略)

<ここで町田選手が登場する>

母: 「スケート靴って片方5㎏あるらしいよ、重いのにすごいわね~」

わたし: 「・・・・・・・そうだったよね、じゃなくて、そーなんだー」

(以下、前と同じなので省略)

わたしの返事の仕方の解説

以前もブログに書きましたが、認知症をよく理解するための9大法則のひとつ 「こだわりの法則」 を活用しています。

「説得や否定はこだわりを強める」

と、このブログの右側でご紹介している本に書いてあります。本当は 「スケート靴はね、実際は2㎏ぐらいなんだよ」 と言いたいし、真央ちゃんのところも、間違いでも本当は「そーなんだー」って言わなきゃいけないんですが・・・・

間違っている事、作り話でも 「そーなんだー」 と言い続けるのって、想像以上のストレスです。

「くっそー、間違ってやがる!修正したい、説得したい」

誰もがそう思う所を、役者にならなきゃいけないんです。ソチオリンピックがまさかのストレス期間になるとは、思いもしませんでした(笑)ピック病の悪いところは、スイッチが入ったら止まらないんです・・・選手がテレビに映っている間、ずーっとしゃべり続けます。

これがショートプログラムとフリー、さらに各選手ごとに繰り返されます。3選手×2回=6回、この会話をしたんですが、実は6回では終わらなかったんです。なぜかというと、

どのチャンネルも、同じニュースを何回もやってる・・・

このオリンピック期間、必ずオリンピックのニュースになります。しかも1日中!

羽生選手金メダル! 

って、ずーっとやっているので、ずーっと母も同じ事を言い続けます。同じ話を聞きたくないので、チャンネル変えるじゃないですか・・・そうすると、次のチャンネルでまた、

羽生選手金メダル!

って、おいっ!!!どこまでも追いかけて、きやがります。(羽生選手は悪くないですよ、本当におめでとうございます)

この同じ会話を何回転繰り返したでしょうか・・・・30回転サルコウ?40回転トゥループ?
ソチオリンピックを違う緊張感で観戦しているのは、たぶん日本ではわたしだけです。「パリの散歩道」のイントロは、特に緊張します(笑)

”いつもよりも余計に回してくれた” 母に金メダル、贈っておきますね。来週からは、東京で落ち着いてオリンピック観戦できそうです。

 


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【わたしの書いた最新刊】
東京と岩手の遠距離介護を、在宅で11年以上続けられている理由のひとつが道具です。介護者の皆さんがもっとラクできる環境を整え、同時に親の自立を実現するために何ができるかを実践するための本を書きました。図表とカラーで分かりやすく仕上げました。

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ABOUT US
工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(81歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて13年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【音声配信Voicyパーソナリティ】『ちょっと気になる?介護のラジオ
【著書】親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか