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認知症の母と息子で祝った75歳の誕生日のはなし

認知症 誕生日 75歳

母が75歳になりました、おめでとうございます!

盛岡市よりめでたく「後期高齢者医療被保険者証」が送られてきて、いよいよ後期高齢者の仲間入りだなと、なぜかわたしが気合入りました。なんとなく節目を迎えられた気がして、いつもの誕生日よりもかなりうれしいです!

正直、いろいろありました・・・この6年間。それでも振り返ってみると、母は元気で丈夫なイメージしか残ってないから不思議です。ブログ読み返せばいろんな介護エピソードが出てくるはずなんですが、プラスの記憶のほうが優勢。

父や祖母の「死」と比較してしまえば、介護エピソードは小さなものということかもしれません。

もうすぐ介護生活も7年目に突入しようとしておりますが、母には女性の平均寿命である87.26歳を超えて欲しいと思ってます。ってことは、あと12年・・・わたしは58歳。果たして、わたしは生きているのでしょうか?

祖母が亡くなったとき、後悔したこともたくさんありました。それでも心の支えというか、達成感を演出してくれたのは、女性の平均寿命を上回ったということです。また、90歳の大台をクリアしてくれたことも、うれしかったです。

母の誕生日もクリスマスもごちそうは毎回同じで、盛岡の人にしか分からない山留のお寿司と、タルトタタンのケーキでお祝いです。ただ、山留さんがそんなにお気に入りでなくなったので(わたしが)、今年は別なお店の特上寿司にしました。

それでケーキの上のろうそくは、自著「がんばりすぎずにしれっと認知症介護」でも書きました「75」のナンバーキャンドルです。これから1年間、母から年齢を聞かれるたびに、このろうそくは役立ちます。(記事タイトル下の写真が現物)

お誕生日おめでとう!

まずショートケーキに、7と5のナンバーキャンドルを刺します。

シュッとマッチを擦り、7、5、と順に、ろうそくに火を灯します。

ケーキの上で、ゆらゆらと揺れる炎。

ハッピーバースデーの歌を、母の前で、しかもサシで披露するのは恥ずかしい・・・ということで、Youtubeさんに力を借り検索、ハッピーバースデー歌詞つき動画があったので、早速スマホボタンをタップします。

ん?

音楽が始まるかと思いきや、くだらん広告が始まってしまった、あぁーーーー

と思った次の瞬間、母の息の音が。

「フーー」

ま、まだなのに・・・

炎は消え、ケーキの上で煙がゆらめいてます。

遅れて居間に流れる、むなしいハッピーバースデーの歌。(スマホの音量小さいし)

母は認知症になってから、待てない性格になったことをすっかり忘れておりました。

反射的に、火は消しちゃうよね。

パーティ―序盤からつまずくも、特上寿司とケーキはあります。

食べながら、母とこんな会話になりました。

くどひろ
今日は特上ね、特上。新しいお寿司屋さんに頼んでみた
なんてお店?どこにあるの?
くどひろ
〇〇町にある、〇〇というお寿司屋さん
あら、近所だこと。初めて聞く名前ね。
くどひろ
そうそう、たまにはチャレンジしないと
ところでさ、このお寿司、なんてお店なの?どこにあるの?

あまりに質問されるので、特上寿司の真横に寿司屋の名前と場所が書いてある箸袋をそっと置き、75歳のバースデーパーティーは終わりました。

60代の母とは、こういったお誕生日パーティはしていませんでした。でも、70代になった母とは、毎年お誕生日パーティをしております。これもすべて認知症のおかげだし、介護のおかげです。母が認知症じゃなかったら、誕生日パーティをするのはちょっと照れくさいかもしれません。

母から必要以上に感謝されたり、泣かれたりすると、わたしはダメかも・・・元気だったらきっと、直筆の感謝のお手紙を書いてくれたと思います。残念ながら、あの筆まめな母親はもういないんですけど、それはそれでいいんです。

パーティー30分後には、母の記憶からパーティーがなかったことになる感じも、わたしにはちょうどいいかもです。同世代男子は、母親とこんなパーティー毎年やってないと思うし。

数年前までは、母の記憶にくさびを打ち込むためにパーティや旅行をするとブログで書いていたのですが、今はそういった気持ちもなく、ただしれっとパーティができるだけでありがたい、生きているだけでいい、わたしはいよいよ悟りを開くときが近づいているようです・・・ほんとかな?

今日もしれっと、しれっと。


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6件のコメント

今回は、いつも以上の「しれっと感」を感じながら読ませていただきました。流れに逆らわず、いま目の前にいるお母様と生きていらっしゃる感じが伝わってきて、介護は頑張りすぎなくていいんだなーと思えてきました。いま介護をしている友人にも読んでほしいと思いました。

私はまだまだ悟れてないけど、このエピソードは完全に同意です。
私の母ももうすぐ誕生日。数字のキャンドルも用意しています。
母の喜ぶ笑顔を想像して。
15分後には忘れているだろうけど、いいんです。
お互い元気でいれば。
腹がたつこともたくさんあるけど、でもでも私を生んでくれた母の生まれた日です。

ふくいさま

数字キャンドルも用意されているのですね!

そうなんですよね、生んでくれた母の生まれた日って言葉、いい表現です。

初めてコメントします。
東京在住みどまると言います。
今年の1月に母の様子がおかしいと思い、物忘れ外来受診、認知症の診断を受けました。
母は工藤さんのお母様と同い年です。
工藤さんのblog、微笑ましく、そしてとても参考にさせていただいてます。
心が折れそうな時、救ってもらってます。
ありがとうございます。

みどまるさま

コメントありがとうございます!

わたしのブログがお役に立っているようで、何よりです! そして同じ都内在住ですね。今後ともよろしくお願いします。

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ABOUT US
工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(81歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて13年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【著書】
老いた親の様子に「アレ?」と思ったら(PHP研究所)、親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか

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