認知症の経過報告(2年と49週・50週間目)親の価値観

価値観

先日、珍しく高校生の姪っ子がひとりで家に遊びに来ました。

いつもだと、母親であるわたしの妹と来るのですが、母は用があったようで姪ひとりでした。ブログで何度かご紹介してますが、若くして母の会話の「連続コンボ」をいとも簡単にスルーする能力を持っています。

わたしの高校時代には、「認知症」というコトバもなければ、そういう人に接したこともありませんでした。この子のスルーするスキルを見ると、将来が楽しみでなりません。

今回の母は、なぜか姪に対して説教じみてました。

あんたね、結婚したら子ども生まなきゃダメよ!2人は生まないとね!
うん
銀行に就職しなさい、それか公務員。安定してるから。
うん
銀行の窓口の人は花形だから、もてるらしいわよ
うん
あんたね、結婚したら子ども生まなきゃダメよ!2人は生まないとね!

これを何度も繰り返すと、将来のある姪にも申し訳ないので、

くどひろ
おばあちゃん、考え方古いからあんまり気にしないで。
うん、わかってる

しかしうちの母の価値観が、すごいところで止まってました。NHKの朝ドラも未だに「おしん」から先は知らないので、まぁ納得と言えば納得。もし母が校長先生だったら、退職に追い込まれるような発言です。

それでもありがたいのは、息子とはこういう会話にはなりません。いろんな人と接することが大切なのは、こうやって思いもよらない記憶を引き出してくれることだと思います。

くどひろ
悪いね、ごめんごめん。
ん?スマホに夢中だったから

気遣いでこんな風に言ってたら、そら恐ろしい高校生です。

スマホ対応、わたしもやります。ユマニチュードとは真逆、スマホをいじりながら母の話をひたすら聞きます。目を見て傾聴していません。それでも母は、

あんたはよく話を聞いてくれるね~

と言います。なんでこうなのか?それは出て行った父に原因があります。同居していた頃の2人は会話こそしてますが、亭主関白の父に母が話しかけると、「うん」これだけでした。

聞いているかどうか不明で、返事もあまりしません。母はその当時の記憶の中で生きているので、わたしがスマホをいじりながらでも、返事したり相づちを打つことに満足しているようです。

こんなご家庭ないと思いますが、いろんな形があるってことで。スマホチュードという本でも書こうかと。

亡くなった祖母の場合は、さすがにこれはやりませんでした。ジーっと顔を見て、笑う。間が持たなくなると、写真を見せる。これをひたすら繰り返していました。その人にあった接し方って、ありますよね。

今日もしれっと、しれっと。


にほんブログ村 介護ブログへ


【わたしの書いた最新刊】
東京と岩手の遠距離介護を、在宅で11年以上続けられている理由のひとつが道具です。介護者の皆さんがもっとラクできる環境を整え、同時に親の自立を実現するために何ができるかを実践するための本を書きました。図表とカラーで分かりやすく仕上げました。

5件のコメント

スマホチュードっていうかスマホ中毒ですよねw

ユマニチュードなどは、本質的な部分を理解しないで形だけ真似ても意味は無いですよ。
認知症の方に対する対応の極意は、「見守りはするけど、干渉しない。」だと私は思います。
「相手を不快な思いにさせず、安心し満足させる。」これが出来れば、方法は問いません。
ユマニチュードの方法は、作った方の国の生活習慣が反映されています。形だけ真似ても上手くいかないのは、当たり前でしょう。
今の高齢者は、畳と襖の文化で育ちました。ドアを大きくノックすると、うるさい奴と拒否されるかも知れませんよ。
姪御さんは、自然体で相手をしている様です。これが、認知症の方の相手をする真髄だと思います。

小関先生

そうですね。実際にイヴさんの振る舞いを上智大で見たとき、いかにもフランス人っぽいな・・日本人は厳しいかなと思ったことを、ふと思い出しました。あのタッチ感や人との距離感は、うちのような軽度だとtoo muchかなと。わたしにも「しれっと」という大切なコトバがありましたので、こちらを粛々と実行しようと思います。

「しれっと」と言うのは、良い言葉ですね。
日本人には、相手に姿が見えない場所から、穏やかに声をかけて入っていくのが、ふすま文化のマナーです。ドアのノックは、控え見にして、ドアを少し開けてから、声をかけて中に入るのが、良いと思います。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

ABOUT US
工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(81歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて13年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【音声配信Voicyパーソナリティ】『ちょっと気になる?介護のラジオ
【著書】親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか