夫が死亡したときの遺族年金手続きリストとわが家の体験談

遺族年金 夫 死亡 手続き

父の葬儀のときに、親族からこんなことを言われました。

親族
遺族年金の手続きしたらいいよ、わたしも旦那が亡くなって手続きしたから

別居期間が長い父と母でしたから、遺族年金はノーマークでした。ちなみに、亡くなったあとでもらえるのは「未支給年金」と「遺族年金」の2つで、未支給年金は1回きり、遺族年金は生涯にわたって(うちの場合は)もらえます。

未支給年金の手続き

未支給年金は年金が「後払い」という原則なので、偶数月にもらえる年金を死亡後に請求するというものです。父の場合は9月に亡くなったので、8月・9月分の年金を10月にもらうはずだった年金を請求しました。9月途中で亡くなっても、9月分の年金は1か月分まるまるもらえます。また、未支給年金の時効は5年間なので、その間に年金事務所に忘れずに請求しないともらえません。

手続きが終わっても、支払日は約3か月~4か月後の15日になるので、年内の受給は厳しそうです。支払日の数日前に通知書のハガキでお知らせが来ます。

未支給年金はもらえることは確実でしたが、遺族年金はダメ元で市役所に行ってみたところ、ほんの少し可能性があることが分かりました。そこでわたしは母から委任状をもらったうえで、必要な資料集めを始めました。

遺族年金にはいろんな条件がありますが、ここから先は父(76歳)と母(74歳)で別居している場合の手続きになります。必要な書類等はほぼ共通です。

遺族年金の手続きに必要な書類

市役所に行って、遺族年金に必要な書類を教えてもらいました。死亡者は父、請求者は母、代理人は息子であるわたしです。

  1. 死亡者か請求者の年金手帳・基礎年金番号通知書・年金証書のどれか(紛失していたとしても、機構からのハガキでOK)
  2. 請求者の戸籍謄本(死亡者との続柄がわかるもの)
  3. 死亡者の住民票除票
  4. 請求者の住民票(世帯全員分・世帯変更等の履歴・本籍・筆頭者が記載されたもの)
  5. 死亡届か死亡診断書の写し
  6. 請求者の所得証明書
  7. 請求者名義の預金通帳、印鑑(認印可)
  8. 生計同一関係に関する申立書

わたしは母の代理人なので、基本「委任状」が必要だと思ってください。市区町村のホームページと電話で「委任状」の有無を必ず確認してから行かないと、わたしのように何度も役所へ足を運ばなくてはなりません。

生計同一関係に関する申立書

うちの場合は別居中だったので、8番の「生計同一関係に関する申立書」が必要です。生計同一とは、夫婦や親子が同じ屋根の下で生活していれば何の問題もありません。しかし父と母は住民票が別だったので、何かしらのつながりを第三者によって証明してもらわないといけないのです。

第三者とは三親等までの親族以外の人を指すのですが、役所に聞いてみると民生委員などがなるそうです。わたしの場合は、父がお世話になったケアマネにお願いしました。第三者による、この書類への署名が必要になります。

どんなことを書く必要があるかというと、

  1. 別世帯になっていた理由
  2. 別居していたことの理由
  3. 経済的援助についての申立
  4. 定期的な音信・訪問についての申立
  5. 第三者による証明欄

インターネット上にも参考になるものがありましたが、わたしは年金事務所に行って社会保険労務士にすべて正直に話して、これらを書くことにしました。3番に関して、証拠がありました。

父は年金を多くもらったまま家出をしましたが、当初は母の生活費を補助しておりました。しかしその金額は年々減額され、ある時ほとんど援助がなくなりました。そこでわたしが交渉をして、一定の額を母に援助するようにお願いしました。金の切れ目が縁の切れ目といいますが、かろうじてお金の縁は残っていたのです。

また父の銀行口座の代理人カードをもらっていたので、何かあった時はお金をおろすこともできました。しかし父は「負」動産を買ってしまったため、無駄な月々の出費が多く亡くなった時もほとんど現金は残ってませんでした。結局、一度も決まった額以上をおろすことはしませんでした。おろしたい衝動は何度もありましたが・・・。

遺族年金の書類を揃えたら年金事務所へ

これら書類を一通り揃えたら、年金事務所へ行きます。地域にもよると思いますが、訪問日時を予約してから行ったほうが手続きがスムーズだと思います。遺族年金の手続きで訪問すると言っておけば、それに合った書類を準備しておいてくれますし、鉛筆である程度書いておいてくれました。手続き自体も30分くらいで終わります。

遺族年金の計算方法

遺族年金の計算方法は、ここで解説できるレベルではないので日本年金機構のサイトをご紹介します。しかし、読んでも分かりません。年金事務所に行って、社会保険労務士に聞けば金額のシミュレーションしてくれます。

手続きは終わりましたが、遺族年金が支給されるかどうかは正直分かりません。2か月ほど審査がかかるそうです。正社員経験がほとんどない母は、国民年金しかもらっていません。父の年金とは大きく金額の開きがあって、最初に父の年金額を知った時は正直ムカつきました。

祖母が亡くなったとき、役所で離婚届をもらいました。父と母の離婚手続きを進めようと当時は思っていたのですが、なんとなく面倒になったので、そのままにしておきました。結果、この遺族年金の手続きができたので、離婚させなくてよかったと思っています。今回いろんな相続の手続きをしていますが、この遺族年金が一番の山場だとわたしは思っています。今後の母の介護に、大きく影響してきます。

亡くなった父が認知症の妻に「唯一」貢献してあげられること、それが遺族年金だと思います。勝手に家出して、年金のほとんどを好き勝手に使い、変なマンションだけ残して亡くなった父。せめて遺族年金で、妻を楽にして欲しいと強く思っています。

今日もしれっと、しれっと。


にほんブログ村 介護ブログへ


【わたしの書いた最新刊】
東京と岩手の遠距離介護を、在宅で11年以上続けられている理由のひとつが道具です。介護者の皆さんがもっとラクできる環境を整え、同時に親の自立を実現するために何ができるかを実践するための本を書きました。図表とカラーで分かりやすく仕上げました。

2件のコメント

私も亡き父の手続きをしましたのでよーくわかります。ご両親が離婚しないでよかったですね。

ほんと、遺族年金がないと主婦一筋で生きて来た人に老後は厳しいですから。

それにしても、あの手続きは高齢者には無理ですね。私も万が一独りになってやる時が来てもちゃんとできるかわかりません。

mmさま

まだ遺族年金の支給は確定していないので、あれだけ苦労しても意味がないというオチになるかもしれません。いつも祈ってます。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

ABOUT US
工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(81歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて13年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【音声配信Voicyパーソナリティ】『ちょっと気になる?介護のラジオ
【著書】親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか