「祖母の財産」 を認知症の母へ 「相続」 してみた!

「祖母の財産」 を認知症の母へ 「相続」 してみた!

タイトル書くのは5秒で終わるんですが、銀行の相続を完了させるまでに、1ヶ月半かかりました!東京と実家を4往復して、完了です。

財産の使い道はなに?

相続が終わってみて、最初の感想は

「相続人がわずか2人でよかった~」

でした。人数の問題だけではありません。わたしでも銀行の相続ができたもうひとつの理由は、

「もめなかった」

これにつきます。弁護士が登場するような相続だったら、わたしは相続手続きしていません。これでもめてたら、どうなってたでしょうね・・・母の認知症の妄想が炸裂して、周囲の人も困惑したんじゃないかと。

兄弟が異様に多かったり、全国各地に散らばっていたら、戸籍謄本を集めるのだけで疲れます。書類も全員に自筆で書いてもらう必要があるので、これも大変です。

もうひとつもめなかった理由は、わたしが 「財産の使い道を決めていた」 からです。それは、

「母の認知症が、さらに進行した時に使う」

母の認知症の状態は、もうひとりの相続人である母の妹も理解していました。亡くなった祖母を特別養護老人ホームへいれた場合に一度費用の計算をしたので、母の場合も容易に計算ができます。

「この財産だと、ホームには×年くらいしか入れない」

母の妹は自分のだんなさんの介護をしているため、認知症の姉のケアはできないんです。かといって、わたしも今後母の介護費用を捻出してくのはつらいので、この使い道に反対する人は、だれもいないという感じでした。

銀行の相続で必要な書類

  1. 祖母の出生~死亡までの連続した戸籍謄本
  2. 母、母の妹(相続人) の戸籍謄本
  3. 相続人全員の印鑑証明書
  4. 相続人の実印
  5. 銀行指定の相続届、相続預金受領書
  6. 成年後見人終了の閉鎖登記事項証明書

1.の連続した戸籍謄本がすごい!祖母の母の母まで登場するし、縦書きの漢字だらけの戸籍は読めないし・・・NHKのファミリーヒストリーって番組知ってます?まさにあんな感じで、家系図をひも解くような書類です。

亡くなった祖母(90歳)は、大正生まれにしては、かなりファンキーな人です。父違いの兄弟がいたり、離婚したり、父に娘を預けたかと思えば、今度は家を立てて、娘をひきとったり・・・・ネグレクトだったり・・・・保険が大嫌いで、生命保険なんかムダ! 大正生まれですからね・・・ちょっと尊敬しますよ、これは。

こんなんですから、連続した戸籍謄本が6種類もでてきて、役所で6回それぞれ手続き。謄本代だけで、5000円もかかりました。一方、認知症の母は、自分の実印をもともと持っていないか、なくしてしまったので、委任状を作成し、わたしが実印登録。これもなかなか時間がかかりました。

相続届の住所を書くのも苦戦しました。住民票どおりに、住所を書いてもらうんですが、

わたし: 「この住民票どおりに書いてね、数字は ”漢字” だからね」

チラシの裏に大きく赤字で住所を書き、それを母に見せて書く方法をとりました。

母:    「わかった、わかった」

と言った矢先に、”数字で” 住所を記入(涙) その後、”丁目” って書いてね って言ってるのに、-(ハイフン)でつなぐ(涙)

認知症で人の話を聞かなくなったなぁ・・・って思ってましたが、まさか自分の住所を書くのに3か所も間違うとは!!

相続届は実印で訂正しなさい と銀行に言われたので、3か所に訂正印を押したら、もはや住所が朱肉で真っ赤になってました(笑)神奈川から四十九日で来た母の妹に、すでに自筆で書いてもらっている手前、書き直しができずこんなことに・・・・1ヶ月半、いろいろありましたが、ホントいい経験をしました。

祖母の成年後見人はやりましたが、母に関しては成年後見人になりません。今回の相続で母の財産の事も分かったので、あとはこれをエンディングノートや遺言書にまとめて、わたしの妹と情報シェアしていきます。

改めて、エンディングノートは、特に認知症のご家族を持っていて、まだ軽度の人は準備すべきです!

エンディングノート もしもの時に役立つノート
 
今日もしれっと、しれっと。


【2024年講演会予定】
10/19(土)宮崎県えびの市 → 講演の詳細・お申込みはこちら

にほんブログ村 介護ブログへ


【わたしの書いた最新刊】
東京と岩手の遠距離介護を、在宅で11年以上続けられている理由のひとつが道具です。介護者の皆さんがもっとラクできる環境を整え、同時に親の自立を実現するために何ができるかを実践するための本を書きました。図表とカラーで分かりやすく仕上げました。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

ABOUT US
工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(81歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて12年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【音声配信Voicyパーソナリティ】『ちょっと気になる?介護のラジオ
【著書】親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか