離れた認知症の親の切ない姿を見ないために切なさを重ねた

手を振る女性

母の認知症が進行する中で、状態も少しずつ変化しています。

最近の変化を一言で表すなら「余韻」。

わたしは盛岡で1週間、母と生活したあと、東京へ帰ります。滞在中、母に毎日やってもらう仕事は、食事作り。朝は必ず、目玉焼きともやし炒めを作ってもらいます。

この2つは本当に最後の砦となるレパートリーなので、料理ができなくなるその日まで、継続して同じものを作ってもらうつもりです。

わたしが東京へ帰ったあとの朝は当然、母は1人での朝食になるわけですが、東京のスマホから盛岡の食卓の様子を見ると、母は2人分の朝食を作っていることがありました。

これが「余韻」で、1週間2人分の朝食を用意し続けたため、わたしがいなくともつい、2人分の朝食を作ってしまうのです。最近は、その次の日も、その次の日も2人分の朝食を作ります。

子どもの朝食

認知症の母が準備したせつない朝食



この話は以前、上記ブログ記事でも書いたのですが、ものすごく反響の大きい記事になりました。

東京のスマホ越しに母の姿を見るわたしは、まあまあというかかなり切ないのです。この切なさを回避するために、もう1つの切なさを受け入れることにしました。

息子を見送る姿を覚えていてくれたら・・・

もうひとつの切なさとは、母が東京に帰るわたしを見送ることです。

雪道

認知症の母が帰京のとき、手を振って見送る姿にいつもおもうこと



この記事も多く読まれまして、おそらくこのブログで切ない記事の上位2つになると思います。

ひょっとしたら、わたしを見送ったシーンがなんとなく母の頭の中に残っていて、帰京した翌朝に朝食の準備をしなくなるのでは?と考えました。

盛岡駅へ向かうバス停まで歩くわたしの姿を、母は笑顔で手を振って見送ってくれます。たまに振り返ると、まだこっちを向いて笑顔で手を振り続けます。

100回以上、手を振って見送ってもらっていますが、切ないものは切ない・・・。

次盛岡に帰ってくるときまで、元気でいてくれるかな、ヘルパーさんの力を借りながら、なんとか生活できるかななど、いろいろな思いを抱えながら、盛岡駅へと向かうのです。

この切なさを回避するために、母のデイサービスに見送ったあとに帰京するとか、玄関ではなく居間で見送ってもらうことで、長い時間見送られないようにするなどの対策?を行ってきました。

ただ、誰もこないはずの居間で朝食を待つ母の姿もかなり切ないので、見送りという切なさも受け入れてみることにしました。

結果どうなったかというと、切ない見送りのあと、切ない朝食作りが待っていました。見事に失敗です。

ダブルで切なくなってしまったので、最近は盛岡の冷蔵庫に貼ってあるホワイトボードに「ひろは東京へ帰りました」と書き、もし朝食を作り始める様子が見守りカメラに映ったら、電話で阻止するという方法で、切なさを回避しています。(カメラで声掛けもできるのですが、それは使ってません)

しれっと遠距離介護を続けているわたしでも、笑顔で手を振り続ける母の姿にはグッとくるものがありますし、朝食を準備して、食卓に来るはずのない息子を待ち続ける母の姿を、離れた東京のスマホ画面で見るときも、究極に切ない気持ちになります。

認知症がどんなに進行しても、母の役割を必死に果たそうしているんだよな・・・

今日もしれっと、しれっと。

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6 件のコメント

  • 涙がでます。
    こどもにとって、自分を生んでくれた母親はただ一人
    生きている限り、大切にしなくてはと肝に命じました。気づかせくれてありがとうございます。

  • さゆさま

    気づきになったようで、こちらこそありがとうございます!
    切なくなったとしても、しれっとしれっと介護を続けていくつもりです!

  • くどひろさん

    読みながら泣けてきました。
    そうなんですよね。
    いくつになっても子供も事が心配で
    気遣ってくれてるんですよね。
    うちもつい先日まで改札口まで見送りに来てました。小さくなった両親をみると泣けてくるので見送りが本当に辛かったです。
    今母は骨折したので見送りが無理になり父も途中で見送りを引き返す様になりましたのでホッとしてます。
    朝食は本当に切ないですね。
    お母さまにつくる必要がない事がうまく伝わるといいですね。

  • まりもまりもさま

    少しずつ親が小さくなっていくなぁと感じますね、よく分かります!
    朝食を作る必要がない方法をいろいろ模索していますが、母がだんだん注意力散漫になってきたので、いたちごっこみたいになってます。

  • 母が外に出て私を見送らなくなってからさて何年経ったかな?私の切なさを帳消しにしようとしていたのか、いつも笑って手を振ってた。今はもうこっちが気を使って、あなたに切なさを感じさせないように、デイサービスに行ってる間に帰っています。 たぶん母は私をそうやって甘えさしてくれているんです。そう思うことにしています。

  • 南の9月さま

    わたしも母をデイサービスに見送ったあと、帰京するのが基本です。ただ、どうしてもスケジュール上難しい場合は、切なさを受け入れるようにしています。

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    ABOUT US

    介護作家・ブロガー
    1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。認知症ライフパートナー2級、認知症介助士。なないろのとびら診療所(岩手県盛岡市)地域医療推進室非常勤。認知症の祖母(要介護3)と母(要介護2)のW遠距離介護からスタート、悪性リンパ腫の父(要介護5)の在宅介護も経験。現在も東京と岩手を年間約20往復、遠距離在宅介護8年目。NHKニュース「おはよう日本」と「あさイチ」でブログが紹介される。著書:ムリなくできる親の介護(日本実業出版社)医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか

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