認知症の人の 「4つのプライド」とその対処法

プライド

人間って誰でも、「プライド」 を持っているものですが、認知症の人も当たり前のように 「プライド」 を持っています。

「わたしは認知症なんかじゃない」 というプライド

家族は明らかに認知症だと思っていても、当の本人は全くその意識がない。病院に連れて行こうにも、本人は認めないのでなかなか病院に連れて行けない。だれもが通る最初の関門であり、「プライド」を意識する最初です。

「自分はなんでもできる」 というプライド

病院に連れて行っても、認知症と診断されても、「認知症なんかじゃない」 が続く人はいます。認知症という自覚がない状態は続くので、日常生活も普通だと思っています。

「買い物ぐらい、自分でできる」 「お金の管理だって、自分でできる」

家族から見ればできてなくても、本人は 「自分はなんでもできる」 というプライドを持っています。

「自分は若い頃、えらかった」 というプライド

認知症の方は、直近の事を覚えてないので、昔の話が大好きです。男性なんかだと、

「おれは若い頃、部下が100人いたんだぞ」 とか

「おれは部長にまでなったんだ」

聞いている方は、「そんなのどうでもいい!」 って思うんですが、それが支えになっているんでしょうね。認知症でなくても、こういう事をいう男性は多いんですけど・・・(出て行った父親は、こういうタイプ)

「自分がやってしまった事を認めない」 というプライド

認知症になると、よく物がなくなります。我が家も毎日、何かしら捜し物をしています。原因は本人がどこかにしまい忘れた事にあるんですが、

「娘が家で使うっていって、この前持って行った」

いわゆる ものとられ妄想(=わたしは取り繕いと呼んでる) ですが、自分の非は認めないというプライドがきっちりと残っています。

プライドへの対処法

どの認知症の本にも、「認知症本人のプライドを尊重しましょう!」 と書いてあります。尊重するって事は、言っている事を否定しないとか、本人の気分を害さないようにする ということです。

分かってはいるんですが、実際この通りに100%対応できるかと言えば、ムリ!家族は一緒にいる時間が長いので、特にムリです。だから、100%対応しないようにしてます。前に記事で書きましたが、

「同じことや間違いを5回までは耐えるけど、6回目は指摘する。プライドが傷ついたとしても。」

少なくとも5回は本人は気分がよかったはずですが、介護する側は正直いうと不本意ですよね。間違っていても認めないといけないし、同じ話も毎回同じように対応しないといけない。でも、1回ぐらいは許してよ とわたしは思ってます。

他のプライド論

・「身体拘束」 はプライドを傷つけ、人としての自尊心を失う。

・年を重ねると、認知症あるなしに関わらずプライドが高くなる

なんてこともよく言われます。身体拘束は以前書いたので今日は省略しますが、母をみて思うのは、

「プライドがあるうちは、まだいいほうなのかも」

ということです。亡くなった認知症の祖母は、最期の方は 「プライド」 が、かなりなくなってました。そう考えると、プライドがあるうちが花 なのかもしれませんね。

今日もしれっと、しれっと。


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2件のコメント

物を盗られる、移動してあるといった被害妄想を頻繁に繰り返す母です。
その犯人が妻になっています。
この頃は暴力的にもなっていて、妻への危険性も考えて、食事の世話等は私がやっています。否定はしてはいけないと言われますが、危害が及ぶようなことを認めるわけにはいきません。
間違ってますか?

悩める息子さま

コメントありがとうございます!

間違ってないと思います。わたしもまずは危険回避をして、その後どうしてその妄想になるのか考えます。うちは義弟の犯人率100%でしたが、理由をいろいろ考えた結果わかり今でも妄想はありますが、その理由に納得しています。うちは2年かかってデイを利用するようになったのですが、それ以来もの盗られ妄想がかなり減りました。

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ABOUT US
工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(81歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて12年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【音声配信Voicyパーソナリティ】『ちょっと気になる?介護のラジオ
【著書】親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか