コロナ禍で実家へ帰れない今、東京から岩手の認知症の母を見守るカメラは必須アイテムだ。
実は、車庫に取り付けた見守りカメラの調子が悪い。メッシュwifiに変えたのだが、コンクリートに囲まれた車庫まで、電波が届いていないのかもしれない。盛岡に居たときは問題なかったのに、理由が分からない。
また、盛岡の寒さのせいで、カメラバッテリーの減りが早い。そのため車庫のカメラは、妹にお願いして場所を移動した。根本的な見直しが必要で、かなり困っている。
カメラの調子も悪いが、母の記憶の調子もイマイチ。なので最近は、見守りカメラによる母の見守り強化週間が続いている。11月15日からの1週間の模様を、そのままお届けする。
カメラによる見守り強化週間
15日(日曜日)
日曜日はお休みという認識は、母も理解できている。母が通うデイサービスは365日やっているのだが、ある時から母の中で、デイもお休みと思うようになってしまった。なので、日曜日は母もゆっくりし、わたしもゆっくりしている。
16日(月曜日)
母のデイサービスは、火・金の週2回。しかし、母はデイ「前日に」準備を始める習慣が身に付いてしまった。理由は不明、とにかく月曜日は見守り強化日なのだ。
居間のカメラで母を見ると、デイの連絡帳を準備している。やばい!このままでは、外に出てしまう!
デイは曜日を間違わない。母の取り繕いは、否定しないほうがいい。でも、受け入れると、外へ出ていってしまう。
だから、もう1度母に、カレンダーに書いてある今日の予定を見るよう電話で促し、間違っていることを冷静に伝え、今日はデイの日ではないと、声のトーンを落として説得する。
もし、わたしが怒りながら「デイから電話来るわけないでしょ!」と言ってしまったら、「絶対に電話来た!変なこと言うわけないでしょ!」となるし、実際なったこともある。冷静になって、デイの準備を止めさせた、ホッ。
17日(火曜日)
今日はデイサービスの日。火曜日も見守り強化日である。
デイの日、母は朝4時に起きることもあれば、二度寝して7時を過ぎることもある。わたしもできるだけその時間に起きて、スマホで母の様子を観察する。
母がデイの準備を終え、居間を出ようとしている。時計を見ると、6時50分。デイの送迎車が来るまで、2時間もある。
他の利用者さんが準備に時間がかかるからといって、予定の2時間も前に来ない。そして氷点下の朝に、母を外で待たせるわけにはいかない。今日は素直に話を聞いてくれて、ホッとしてスマホの画面をオフにした。
5分後。
念のため、スマホをタップして画面を見ると、居るはずの母が消えた!えっ?電話して5分しか経ってないのに。トイレか? 何分か待ってみたが、一向に映像に現れない。どうやら、先ほどの話を忘れ、外に出てしまったようである。
電話を鳴らしたが、外に出てしまって電話の音が聞こえない。2分、3分と鳴らしつづける。気づいて!気づいて!と思いながら、受話器を握る手に力が入る。
すると、映像に母が現れた。土足のまま、家の中に入ってきた。手足が不自由で、靴を脱ぐのに時間がかかるので、土足なのだ。初見ではない、たまにこういうことはある。
再び電話で説得したところ、靴を脱いでコタツに入ってくれた。テレビをつけておけば、居間から動かないだろうと思って、スマートリモコンでテレ朝のグッドモーニングをつけた。
15分後。
見守りカメラを確認する。えっ、また消えた! 電話をすると、今度は外に出る手前で気づき、すぐに電話に出てくれた。
この日は母の記憶の調子が悪く、5回ほどこんなやりとりがあった。時計を見ると、8時。ここまで時間を稼げば、ヘルパーさんが来て何とかしてくれる。いやあ、本当に疲れる日だった。
18日(水曜日)
水曜日は、訪問リハビリの日。水曜日は母は間違わないので、わたしの見守りも緩め。案の定、何事もなく1日を終える。自分の出演したあさイチを、Liveで見ることができた。
19日(木曜日)
木曜日はヘルパーさんが買い物に来る日と、居間のカレンダーに書いてある。しかし母は、デイの準備を始める。木曜日も見守り強化日だ。
スマートスピーカーで今日の予定を繰り返し流しているのだが、最近は短期記憶の保持が厳しくなった。さらに自分の思い込みで行動するので、止められない。だけど、スピーカーの声を聴くこともあるので、10分おきに自動音声で何度も今日の予定を流し続けている。
この日も電話で、母のデイの準備を阻止した。火曜日と違って、今日は1回で忠告を聞いてくれて、わたしの見守り強化日は終わった。
見守りカメラによる声掛けは、ちょっとした場合は役に立つ。でも、長時間説得する場合は、電話を使っている。
20日(金曜日)
火曜日の6時50分出勤があったので、わたしは超警戒モードでスマホを見る。
この日は、7時を過ぎてもゆっくり朝食を食べている。いつもなら早すぎるくらいに準備を始めるのに、どうやらデイの日を忘れているようだ。そっちのパターンか!
母、絶好調。あまりにまともな返事をするので、言葉を失ってしまった。こっちは1週間苦労したのに、母はしれっとしていた。こうなると、笑うしかない。認知症の症状はいい日もあれば、悪い日もある。カメラによる見守りを止め、わたしは二度寝した。
土曜日はデイは休みと思っているので、見守りは緩い。
車庫の見守りカメラの調子が悪いので、こんな大変なことになっている。12月いっぱい、こんな感じの見守りが続きそうだ。
春や秋なら、ここまで見守りを強化しない。これから盛岡は雪が降るし、もっと寒くなる。風邪をひかれると困るし、コロナ禍で病院通いは避けたい。だから、しばらくこの見守りを続けて、母には健康でいてもらいたいと思っている。
今日もしれっと、しれっと。
いつも参考にさせて頂いております。以前東京の講演会にも参加しました。カメラでの見守りのご様子、手にとるように分かります。遠距離独居で認知症の母が軽い風邪をひいてしまいデイサービスに行けず終日在宅になってしまいました。コロナで帰省もできず訪問介護で対応してもらっていますが独りぼっちになれない母は、不安で混乱しているようでした。見守りカメラで監視する私も落ち着きません。母は父が亡くなるまで独り暮らしの経験が無く、寂しくてしょうがないようです。毎日デイに行っているのですがその記憶が無く愚痴も多くなってきました。
衣食住の面では体制は整えてますが、メンタル面でのサポートが困難です。お母様のメンタル面はいかがですか?割り切って行かないとやっていけないですね。
ケンケンさま
東京の講演会ご参加頂き、ありがとうございます!
あさイチでもあった、スマートディスプレイ(Echo show)の導入も検討して話す機会を増やす手もあるかもしれませんね。とはいえ、わたしは母と用件以外に話すことがないので、見守りカメラがちょうどよかったりもします。母は多幸的なので、割とひとりを楽しんでいます。でも多幸的がゆえ、注意力散漫なところがあり、そこが不安材料です。