【ホテルシェルター】新型コロナで周りに迷惑をかけずに遠距離介護する方法を3つ考えてみた

盛岡駅

昨日、朝日新聞デジタルでわたしの遠距離介護の話が載りました。

全国に緊急事態宣言が発令され、不要不急の外出が制限されています。

遠距離介護は不要不急の外出ではありませんが、それでもしれっと岩手県へ帰省してしまったら・・・。直近であった、最も切ない事件を毎日新聞から引用します。

岩手県花巻市の小さな商店街で11日朝、火災があり、出火元の隣の住居から1人の男性の遺体が見つかった。岩手の文化や自然に憧れ、「ついの住み家に」と東京から3日前に引っ越してきたばかりだった松尾利明さん(72)。新型コロナウイルスの感染を警戒され、入居が決まっていたマンションの住民に「しばらく来ないで」と告げられた。市からも転入届の提出を待つよう求められた。追われるように仮住まいに移ったばかりの悲劇だった。

引用元:https://mainichi.jp/articles/20200418/ddm/041/040/125000c

コロナが理由で仮住まいにやむを得ず住んで、隣の火事で犠牲になる…悲しすぎます。

緊急事態宣言がたとえ解除されたとしても、新型コロナウイルスが完全に終息するまでは、この状況は変わらないと思ってます。安全に遠距離介護をする方法はないだろうか? ここ最近、わたしがずっと考えていた、周りに迷惑をかけない遠距離介護の方法を3つ、ご紹介します。

盛岡のホテルに2週間滞在してから実家に帰る

最初に考えたのは、東北新幹線で盛岡へ帰り、どこかのビジネスホテルにそのままチェックインして、2週間泊まったあとに実家へ帰る方法です。岩手県からは、こんなお願いがありました。

緊急事態宣言の対象地域から来られた方は、来県後2週間は不要不急の外出を自粛していただき、毎日検温するなど健康観察をお願いします。また、お仕事等で短期滞在される方におきましても、同様に不要不急の外出を自粛いただくようお願いします。

引用元:https://www.pref.iwate.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/027/496/covid19_poster.pdf

ならば2週間健康観察をしてから、実家へ帰ろうかと。

しかしこの方法では、ホテルの方に迷惑をかけてしまう可能性があります。コロナで陽性だった石田純一さんの滞在した沖縄のホテルは、臨時休館しました。

自動チェックインのビジネスホテルもあるので、そこを利用して、共有スペースを一切利用せず、コンビニ飯で引きこもる方法も考えましたが、そもそもホテルに行くこと自体が感染源になってしまうかもと思い、断念しました。

実家の2階でこっそり2週間暮らしたあと遠距離介護をする

母がデイに行っている隙に実家へ帰り、そのまま自分の部屋へ直行。そこで2週間引きこもって生活をして、健康観察で何もなかったら母と会うという方法です。

自分の部屋は2階で、母の生活スペースは1階なので、ある程度分離はできます。しかし、1階にあるお風呂はどうする?洗濯は?トイレは使わないといけないので、トイレで母とばったり会ったら?など考えると、この方法もあまり名案とは言えませんが、保留にしてます。

ホテルシェルターを利用する

最善の方法は、たぶんこれです。たまたまネットで見つけた「ホテルシェルター」を利用する方法です。5つのホテルを経営する、龍崎翔子さんのアイデアです。

家にいることでかえって危険になっている人がいるんだ、と気づきました。外出制限によって家庭内暴力が増える恐れがあるというニュースを見たり、病院に勤める方のお子さんが保育園の登園を拒否されたりしているというのも聞きました。社会を維持するために外に働きに出ないといけない人は絶対にいる。でも家に高齢者や子どもがいるとしたら、自分のせいで自宅がクラスター化したらどうしよう、という恐怖と闘うことになります。こういう方たちが、職場に徒歩や自転車で行ける場所に滞在できたらすごくいいんじゃないか

引用元:https://www.huffingtonpost.jp/entry/shoko-ryuzaki_jp_5e97a6c7c5b6a92100e1c690

ホテルシェルターで登録されたホテルは、1泊3000円~と低価格で、全室個室、電源・wi-fi完備、ガイドラインにのっとった感染対策が施されています。また、滞在期間中は客室清掃はセルフサービス、フロント非対面、チェックアウト後72時間置いての防護アイテム着用によるクリーニングです。

わたしの場合は、ホテルシェルターに登録されたホテルで一定期間過ごして、体調に問題がなければ実家へ帰るという方法で遠距離介護を復活させようかと。これなら、岩手の方の誰にも迷惑をかけることなく、遠距離介護ができます。

ただホテルシェルターのサービス自体が、4月15日に発表になったばかり。4月下旬からテスト運営が始まるホテルは大阪、京都のみです。

わたしは岩手県盛岡市で個人エントリーを行いましたが、岩手県は未だ感染者ゼロの奇跡の県です。ホテルを増やすにしても、優先順位の高い都道府県はいっぱいありますから、しばらくサービスが利用できないかもしれません。(現在準備中のメールは来ました)

また、ホテルで2週間、実家で1週間過ごすとなると、東京の家を3週間も空けることになります。それにホテル費用もバカになりません。

ホテル自体の稼働も相当低い状況でしょうから、この発想を思いついた龍崎さんに感謝しつつ、サービスが開始される時期を待とうと思っています。

自宅の庭にテントを張って2週間過ごそうかとも思ったのですが、おそらく母が不審に思い、1日中声掛けてきそうな気もします…。もしテントを張ったら、ひとりキャンプファイヤーやBBQを自宅の庭でやるくらいがちょうどいいのかも。

今日もしれっと、しれっと。


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東京と岩手の遠距離介護を、在宅で11年以上続けられている理由のひとつが道具です。介護者の皆さんがもっとラクできる環境を整え、同時に親の自立を実現するために何ができるかを実践するための本を書きました。図表とカラーで分かりやすく仕上げました。

2件のコメント

母の遠距離介護4年目を迎えましたが、コロナで3月から私も中断しています。くどひろさんのお陰でスマカメを設置しているので何とか遠隔操作できてますが
先日母が発熱し、父がかかりつけ医に連絡をいれたところ「東京の娘さんが帰省しているのでは?」と聞かれたそうです。少しショックでしたがそれだけ地方の方からすると東京は危険なのだと。
とにかく今は感染しない、しても広げないを心がける事が出来る事ですね。

ビタミンB1さま

このタイミングでスマカメが設置されているかいないかの差は、相当大きいと思います。
オンライン帰省なる言葉が広がる中で、カメラ設置に抵抗のある方が減るかもしれませんね。
かかりつけ医がそんなことを言うとは…。医師にはもっと冷静でいて欲しいですよね。

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ABOUT US
工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(80歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて12年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【音声配信Voicyパーソナリティ】『ちょっと気になる?介護のラジオ
【著書】親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか