見守りカメラの設定変更で分かった認知症の母の不思議な行動

わが家では、見守りカメラが計4台稼働中です。

頻繁に見るカメラは3台あって、こちらは通知機能をOFFにしています。通知機能とは動体検知のことで、カメラの前を人が通るとスマホに通知がきます。

母が1日の大半を過ごす居間の通知を、ONにすると大変です。スマホが鳴りっぱなしになるので、OFFにしているのですが、カメラの前を通過したときだけ録画してくれる機能は使っていて、数分前、数時間前の母の行動を動画で確認しています。

この動画を確認するのは、リアルタイムで母がどのカメラにも映ってないときです。

あれ? どこいった? まさか倒れてる? そんな不安を解消してくれるのが動画で、数分前、数十分前の動画が撮影されていれば、母が動いている証拠になるので、それで安心します。

今回、ある場所のカメラ1台の通知機能をONにしてみたのです。すると……。

使用頻度は低いが重要な場所の設定を変えた

その場所は、母が外出するときに必ず通過する位置にあるカメラで、4台の中で最も稼働率の低いカメラです。但し、そこに母が映る=外に出るという意味になるので、重要です。

試しに2日くらい通知機能をONにしたら、なぜかスマホの通知が鳴りやみません。母は手足が不自由で、ひとりでは外出できないので、通知はほとんど来ないと思っていたのに。

このブログでご紹介してきた見守りカメラ『スマカメ』は、動体検知の際、日光の強弱まで検知してしまうことがあります。精度が良すぎるので、カメラ側で精度を落として検知しているのですが、今回の話は、スマカメとは違うメーカーのカメラです。

新しい見守りカメラも精度が高く、確実に母の動体検知&自動録画をしてくれます。では、母はなぜ、何度もカメラの前を通過するのでしょう? 

いろいろ考えた結果、あることに気づきました。それは母の妄想です。

母は誰もいない部屋を指差して、「誰かお客さんが来ているんじゃない」という妄想が消えません。幻視ではなく妄想で、その理由は分かりませんが、その部屋には昔、亡くなった祖母が居ました。

8年前に亡くなった祖母が生きていると勘違いする日もあるので、理由のひとつかもしれません。認知症初期の頃は、30年前に家出した父が戻ってきたという妄想もあって、それも理由のひとつと考えたのですが、最近は夫を忘れつつあるので、たぶん違います。

あとは、自宅でテレビ撮影を2回しましたが、ディレクターさんをその部屋に案内しました。ほとんどお客さんが来ないわが家なので、それを未だに覚えているのかもしれません。とはいえ、テレビのことは全く覚えていないので、本当の答えは母の脳しか分かりません。

いずれにせよ、誰もいない部屋を何度も確認する母の姿が映っていました。それで通知が何度も来るようになってしまったので、通知を再びOFFにしました。

おかげで、見えていなかった母の行動が分かったわけですが、これはこれで大きなメリットがありました。それは、母が家の中を歩く機会が増え、ホッとしたのです。

今までは日中に母の姿をカメラで見ると、コタツで寝てばかりいて、これはこれで心配でした。ところが妄想とはいえ、家の中を歩く姿を見て、これはいい運動になります。自然とリハビリになるので、特に対策することなく、このまま様子を見ます。

音声配信voicyの最新回は、祖母が病院のベッドから転落したその後のお話です↓

今日もしれっと、しれっと。


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東京と岩手の遠距離介護を、在宅で11年以上続けられている理由のひとつが道具です。介護者の皆さんがもっとラクできる環境を整え、同時に親の自立を実現するために何ができるかを実践するための本を書きました。図表とカラーで分かりやすく仕上げました。

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ABOUT US
工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(81歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて13年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【音声配信Voicyパーソナリティ】『ちょっと気になる?介護のラジオ
【著書】親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか