遠距離介護で本当にラクな交通手段とは?

先日、山口県の湯田温泉で講演会を行ったのですが、その移動中にふと思った話です。

今回の移動ルートは、都内の最寄り駅→(電車)→羽田空港→(飛行機)→山口宇部空港→(バス)→新山口→(電車)→湯田温泉駅

初めて行く場所なのでずっとワクワクして疲れはほとんど感じなかったのですが、もしこれが遠距離介護で何度も通うことになったらと考えてみました。

飛行機と新幹線の遠距離介護の比較

今回の移動時間は5時間30分くらいで、乗り換えは合計4回ありました。対して遠距離介護先の盛岡までの移動時間は最短で3時間40分くらいで、乗り換えは2回です。

どちらがラクかといえば、盛岡までの移動です。単純に移動時間が短いからラクなのではなく、他の要因のほうが大きいと考えました。

まず乗り換えの回数が少ないと、長時間本を読んだり仕事をしたり眠ったりできます。移動時間が単なる移動ではなく、有効に活用できるかできないかはとても大きな要因です。乗り換えのたびに仕事が中断されると、生産性は上がりません。

あと新幹線か飛行機かも大きな違いです。乗っている時間は飛行機のほうが短いのですが、待ち時間がやたらとあります。保安検査場を通って搭乗するまでの時間、機体の場所が遠い場合は搭乗手続き後のバス乗車時間、到着後の機外に出るまでの微妙な待ち時間などです。

新幹線はギリギリに駅に着いてもすぐ飛び乗れるので、保安検査場は20分前に通るとか、事前チェックインとか、そういう手続きがないのもいいです。持ち込んではいけないものなどへの気遣いも不要です。

ネット環境も飛行機によっては使えないケースもあるし、シートベルト着用サイン中は座席を立てないなど制限は多いです。飛行機のメリットは、運賃が介護割引で3割くらい安くなるところですね。

70代の叔母がわざわざ高速バスを選んだ理由

70代で亡くなった叔母が神奈川から盛岡へ来るときに、わざわざ疲れる高速バスで7時間以上かけて来たときに正直なんで?と当時は思いましたが、今はその気持ちが分かります。

やはり乗り換えが多いと歩数も増えるし、面倒です。特に羽田空港は大きすぎて、飛行機に乗るまでに相当歩かないといけません。若くて元気なうちはいいのですが、もし母と一緒に飛行機に乗ることになったら、車椅子は必須だなと思ったくらいです。

叔母は新幹線の乗り換えすら面倒と思ったようで、1回乗ったら何も考えずに時間も気にせずに寝ていられるバスがよかったのだと思います。

東京と岩手の遠距離介護は遠くて大変と思われるかもしれませんが、今回飛行機に乗って遠距離介護を想像してみると、わたしはかなり恵まれた環境なんだなと思いました。

ちなみに自家用車は運転好きの方ならいいと思うのですが、運転中はずっと気を張る疲れがありますよね。新幹線の遠距離介護、他の移動手段と比べてかなりラクかもと思ったお話でした。

音声配信voicyの最新回は、今さらながらの介護の心構えです。

今日もしれっと、しれっと。



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ABOUT US
工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(80歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて12年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【音声配信Voicyパーソナリティ】『ちょっと気になる?介護のラジオ
【著書】親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか