認知症という病気を利用して、健康で幸せな人生に導いてあげるということ

分かれ道

最近、母の認知症を「いいように」利用している自分がいるなぁと、改めて思うことがあって少し書いてみます。

母のがん検診の結果を見て

母の胃がん検診が問題なく終わって、残っていた子宮頸がん、乳がん、肺がん、大腸がん、一般的な健康診断の結果も先日聞いてきました。高脂血症を除けば、一応異常ありませんでした。

こういった検査結果を母が聞いても、認知症なので残念ながら忘れてしまいます。ひょっとしたら、末期がんと宣告されたら、少しは記憶に残るかもしれませんが、それでも忘れてしまうような気がします。

結局、母の診断結果は、すべて介護者であるわたしが把握する必要があって、それは生きている限り続きます。自分にすべて託されているので、さて母にはどう伝えようかと、わたしの意志がワンクッション必ず入ります。いつも、どうしているかというと・・・

飛躍した、自分にとって都合のいい伝え方

今回の検査結果を、このように母に説明しました。

くどひろ
先生さ、73歳にしては結果がいいって、すごく褒めてたよ。今、何かやってるんですか?って聞かれて、デイサービスに週2回、休まず通ってますと答えたら、それがいい結果につながったかもって言ってたよ

この話、全部ウソです。わたしが都合いいように、作りました。

健康診断の先生は、高脂血症をお薬を使って抑えたほうがいいと言ってました。これに関しては、あとでかかりつけ医に相談します。こう説明することで、母がデイサービスへのモチベーションをキープして欲しいという思いで、ウソをついてます。デイに行かなくなると、ガタガタッと認知症が進行してしまうと思うのです。

デイサービスを週1回から2回にしたら、人と接する時間も増えたし、おしゃべりもするようになりました。独居だからいいかげんな食事になりがちですが、週2回はきちんとした食事も食べることになります。どんな手を使ってでも、わたしとしては、今の状態をキープしたいのです!

わたしが舵をとる先導者となって、いい道を描いていけば、自分にもハッピーなことになると思って、ウソをついてます。母の書いたエンディングノートにも、余命宣告をされてもわたしには伝えないでと書いてあります。祖母のときと同じように、わたしが最期の瞬間まで、秘密を抱えることが決定しています。

であれば、余計な不安になるようなことは、すべて取り除こうと。認知症という病気を利用して、健康で幸せな人生に導けばいいのではと。認知症でなければ、これはできないことです。

介護者がいろいろ抱えてストレスでは?と思われるかもしれませんが、自分にとっても介護がラクになることにつながるので、ストレスだとは思いません。認知症のいいところでもあるよな~、そう思ってがん検診をすべて終えました。

今日もしれっと、しれっと。


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東京と岩手の遠距離介護を、在宅で11年以上続けられている理由のひとつが道具です。介護者の皆さんがもっとラクできる環境を整え、同時に親の自立を実現するために何ができるかを実践するための本を書きました。図表とカラーで分かりやすく仕上げました。

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ABOUT US
工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(81歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて13年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【音声配信Voicyパーソナリティ】『ちょっと気になる?介護のラジオ
【著書】親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか