病院や介護施設にいらっしゃる認知症の方が、
「おうちに帰りたい・・・」
と言い出す、しかも決まって夕方に言い出すことが多いので、「夕暮れ症候群」 と言われることもあります。これは自宅に居るときでも起こる症状で、認知症の中度レベルで起こると言われています。
徘徊のきっかけともなるこの症状ですが、うちの場合は少し一般的なものと違ってます。
亡くなった祖母の場合
祖母は、最期の1年は療養型病院で過ごしました。長期にわたる入院で、
「おうちに帰りたい・・・」
というかな?と正直思っていたのですが、祖母は病院を自宅と勘違いしていました。
「××(わたしの母)は、台所でなにしてる?」
台所もなければ、母もいないのですが、「夕飯作っている」 といつも答えてました。ありがたい勘違いをしばらくしていたのですが、亡くなる半年前ぐらいに突然、
「家に帰りたい・・・・」
というようになりました。何度か言われると切ない気持ちになりまして、一時退院を2度ほどさせて自宅に連れて行ったのですが、祖母は全くの無反応。
病院に戻る時間が来ると、
「家に帰りたい!」
って言ってました・・・自宅なんですけど。祖母の願望を満たしたつもりが、結局は介護者であるわたしたちが一度を自宅に返しておきたいという願望を満たす結果となりました。
母の場合
軽度の認知症の母は、「家に帰りたい」 とは言いません。ただ、デイサービスから帰ってきたとき、病院に連れて行って帰ってきたとき、とにかく外出して家に戻ってくると、決まってこういいます。
「なんか、違う家に帰ってきた気持ちなんだけど」
かれこれ2年近くこんな事を言っているので、前は特に気にも留めてなかったのですが、冷静に考えればこれ初期の帰宅願望なんだなと。
なんで違う家だと思うかというと、
1.幼少期に住んでいた8か所の家の記憶が強くなり、そちらが自宅だと思っている
2.増築する40年前の家の印象が強くて、今の家に違和感がある
ということです。うちはかなりマイルドに主張するので、わたしも 「そっかぁ」 程度で流してますが、症状が重くなってきた場合はいつものアレで対応することになります。
「話を合わせる、否定しない」
どこにでも出てくる鉄板の対応方法ですね。夕方という時間帯も、自分の小さいころを思い出せば納得できます。自分の中の世界がもし幼少期に戻っているなら、夕方=自宅に帰らないと! となります。
夕焼け 小焼けで 日が暮れて
山のお寺の 鐘がなる
おててつないで みなかえろう
からすと いっしょに かえりましょ
童謡:夕焼け小焼けの歌詞
きっと、夕焼け小焼けのあのイメージが、認知症の方の頭の中によみがえるんでしょうね。
今日もしれっと、しれっと。

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