認知症介護の定番「家の張り紙」をこう工夫しています!

認知症 貼り紙

母の「おこだわり」について下記記事を書きましたが、長い間こだわっているのが「ご飯の炊き方」です。

認知症 こだわり

以前は家族5人で住んでいたので、5合炊きの炊飯器を使っていました。ところがわたしが上京し、父が家出し、娘が嫁いでしまって、今は独り身の母。大きい一軒家がムダなように、5合炊きの炊飯器も必要ありません。

本来なら、多くても1合を炊いて1日くらいで食べきってくれればいいのですが、母はなぜか5合キッチリ炊きます(笑)

そんなちょこっと炊いたら、ご飯がおいしくなくなる!

昔からの強い「おこだわり」でして、5合炊いたあとにカピカピのご飯を数日分けて食べます。「5合炊きのおいしさにこだわるより、毎日少しずつ炊いたほうがおいしいに決まってるだろ!」とツッコむのが普通です。結局、カピカピのご飯も食べきれずに捨ててしまいます。

この「おこだわり」に関しては、何を言っても聞く耳を持ちません。ということで、1人暮らしの時に使った3合炊きの小さな炊飯器があったので、そちらに変えることにしました。

最高でも3合しか炊けなくなり、ご飯の廃棄率は格段に減りました。それでも、73歳の母が1人で3合食べるのには時間がかかってしまい、冷蔵庫の中には古いご飯がいっぱい並んでます。

新しい習慣はじまる

以前はその古いご飯を、ご飯茶碗やジップロックに入れて、電子レンジで温めて食べていました。ところが冷蔵庫の中にご飯が見当たらず、最近は保温で炊飯器の中に入れっぱなし。ひどい時は保温せずに、炊飯器にそのまま放置するようになりました。


(3合炊きの釜に満載のごはん・・・たぶん2日目です)

ある日のこと・・・

母が炊飯器の釜を、そのまま電子レンジで温めていました。最初はこれもありなのかと思っていたのですが、ん?なんかヤバイんじゃないかと思い、ネットで調べました。すると・・・

内釜は金属なので、電波を遮断してしまうので、温まりにくいです。
また、内釜の縁に、火花が出ると思います。危険なことばかりですので、内釜はレンジに入れないでください。
引用元:http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q13128620023

Yahoo!知恵袋で見つけたのですが、他にも調べると同様の回答が並んでいました。ピース又吉先生も頭をよぎったのですが、次の瞬間「火事」の危険に気づきました。

得意の張り紙

認知症介護しているご家族のあるあるで、家が張り紙だらけになるというのがあると思います。うちもそうなのですが、他と違うのは、母が分かったつもりで張り紙をはがしてしまうことです。

はいはい、もう分かったから、忘れないから!

そういって張り紙をはがします・・・で、しっかり忘れます。あと、プライドが原因だと思ってます。ヘルパーさんや看護士さんが家に来るので、張り紙が恥ずかしいと思っているのではと。何か手はないかと考えて、最近実践しているのは張り紙をパウチすることです。

単なる紙なら破り捨てても何も思わない、でもパウチをすると簡単に破ることができないし、何より少し高級感があります。ということで、洗濯機や台所にはパウチした張り紙があります。

わたしの張り紙のおこだわりは、文字だけでなく絵や写真も加えることで、イメージを直接伝えるようにしています。あとは貼る位置、できるだけ関係する場所のそばで目に入りやすいところに貼ります。

もちろん張り紙なんて、全く効果ねぇ・・・というご家族も多いでしょう。うちはホワイトボードも利用してまして、冷蔵庫にマグネットで貼ってます。

張り紙、貼る・・・どっちがどっちなんだと、一応調べながら書きました。そしてこの張り紙(記事下の写真)の問題点、分かりますか?

まさかのインク切れで、炎の赤がピンクになってます・・・認知症で色が分からないということもあるので、本当は忠実に再現したいところですが、ピンクのほうが柔らかい感じがして、今回はこのままいこうと思います。

書店のPOP作り用に買ったパウチを、今は張り紙用として使っています。

今日もしれっと、しれっと。


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東京と岩手の遠距離介護を、在宅で11年以上続けられている理由のひとつが道具です。介護者の皆さんがもっとラクできる環境を整え、同時に親の自立を実現するために何ができるかを実践するための本を書きました。図表とカラーで分かりやすく仕上げました。

4件のコメント

私の両親宅もご飯で悩んでおります。父が電子レンジにのドアに「温める時は湯をかける事」と張り紙をしておりますが、母は忘れるので、歯の弱い父は困っております。私が実家に行く度にラップに包み冷蔵庫に入れ、炊飯器の中に「ご飯は冷蔵庫の中に」というメモを入れておりますが、そのメモはすぐ捨ててしまい、行く度にメモを作ることになります。

匿名さま

コメントありがとうございます。

パウチが皆さんにも有効なのかどうか分からないのですが、パウチになってから診察券のイメージなんでしょうか?前みたいに捨てることがなくなりました。お父様のために温めようとされているお母さま、ステキですね。誰かのためにという何か役割を持つことって、すごく大切だとコメントを読んで改めて思いました。

こんな感じの紙だと、すぐ捨ててしまいます↓
https://40kaigo.net/sick/medicine/9898/

なるほどー!御釜ごとレンジされると怖いですね。
うちはもう配食を頼んでいて、自分では作りませんが、ご飯を余らせることが多く、なぜかマグカップに入れてラップをかけずに冷蔵庫に入れてあり、カチカチです。
もはやレンジも使い方がわからなくなってきているみたいで、記憶が無くなっていくというのはしみじみ大変だなあと思います。

貼り紙も多いですが、あまり目に入らないみたいで
こんな風に絵にするといいですね。

㎜さま

返信遅くなりました!

張り紙も確かにあまり目に入らなくなるというか、そのうち日常に溶け込んでいく感じがうちもします。絵や写真なら、少しは長持ちするかなと思ってます。

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ABOUT US
工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(81歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて13年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【音声配信Voicyパーソナリティ】『ちょっと気になる?介護のラジオ
【著書】親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか