介護家族が「そのままでいい」と言ってしまえば、医師も介護職も踏み込めない

先月、認知症のイベントに参加していて思ったことが、ひとつあります。それは、医師や介護職がこんな風に思っていても、どうにもならないことがあるということです。

医師
うちの病院に来てもらえれば、もっと認知症の症状を緩和できるのに・・・
介護職
お薬を変えたら、もっといい状態になると思うのに・・・

わたしも介護仲間と話していると、同じような思いになることがよくあります。

くどひろ
お薬変えたら、病院変えたらもっとよくなるはず

介護家族の言い分

こんな風に言われても、介護家族はこのように考えます。

  • 今の医師とはうまくやっているので、今さら信頼関係を崩したくない
  • 新しい病院に行くのが面倒くさい
  • 介護施設が変わってしまうと、認知症ご本人が対応できない可能性もある

認知症ご本人は自分で判断できないことが多いと思うので、結局は主介護者がどうしたいかにすべてかかっています。どんなに周りからみてもっといい方法があったとしても、上記のように思っていてはいい選択はできません。ただ、変更するときは労力が要ります。次の会社に転職するみたいな労力です。

だから、家族の言い分も分からないでもないです。主介護者がご高齢だったりすると、今の治療や介護を積極的に変えようと思わなくなる可能性もあります。

頑固者は介護者?

認知症に関して言うと、新しい認知症ケアであったり、新薬の開発であったりと、日進月歩の世界です。もしよりいい方法が見つかればそちらに乗り換えた方が「本当は」いいわけで、できるだけコンフォートゾーン(介護者自身が快適だと思う場所)に居ようと思わないほうがいいです。

家族よりも第三者のほうが冷静に見ている可能性があるので、何かアドバイスをもらえる機会があったら、積極的に受け入れたほうがいいと思います。せっかくそこまで考えてくださっているのですから、あとは受け入れる姿勢が大切かと思います。認知症の人が頑固で困るという介護者は多いのですが、実は介護者自身が頑固だったりすることもあります。

飽くなき探求心を持つ介護者は多いのですが、介護期間が延びてくるとなんとなく探求心も低下してしまうような・・いい意味でも悪い意味でも「妥協」が生まれてくる気がしています。

イベントの時は、介護家族にわたしの本を読んでもらうというオチになりました・・・結局、人に何を言われようが、介護者自身のスイッチが入らないとダメだということです。

いくつになっても、変化を恐れず積極的に受け入れる人でありたいですね。

今日もしれっと、しれっと。


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東京と岩手の遠距離介護を、在宅で11年以上続けられている理由のひとつが道具です。介護者の皆さんがもっとラクできる環境を整え、同時に親の自立を実現するために何ができるかを実践するための本を書きました。図表とカラーで分かりやすく仕上げました。

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ABOUT US
工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(81歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて13年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【音声配信Voicyパーソナリティ】『ちょっと気になる?介護のラジオ
【著書】親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか