独居の認知症の母と息子のわたしで9個のクリープを消化するための方法

昭和40年代に流行った、このCMをご存知だろうか?

「クリープを入れないコーヒーなんて・・・」

認知症の母は、昭和40年代の記憶は割と鮮明に残っているので、コーヒーを飲むたびに必ずこの話をする。

以前、ヘルパーさんが間違って「マリーム」というクリープのようなクリーミングパウダー(クリープは森永、マリームは味の素)を買ってきたら

これじゃないのよ~、クリープを入れないコーヒーなんて

と言って一切、手をつけなかった。また家のクリープが在庫切れになると、コーヒーを飲まなくなる。牛乳を入れて飲めばいいのにと思うのだが、

クリープ無しではコーヒーは飲まないのよ、クリープを入れないコーヒーなんて

と言い出す。マリー・アントワネットは「パンが無ければ、お菓子を食べればいいのよ」と言ったという話があるが、「クリープが無ければ、ブラックで飲めばいいのよ」と言ったところで、分かってもらえる相手ではない。

わが家のヘルパーさんは、近所のスーパーで買い物をしてくださるのだが、そのスーパーのクリープはあまり安くない。なので、わたしが驚安の殿堂であるドン・キホーテまで行って買いだめをしている。

クリープは賞味期限が意外と長くて、未開封なら15か月は持つ。だから、調子に乗って瓶タイプのクリープを5本購入した。

一旦、帰京してまた盛岡に帰ったら、記事タイトル下の写真のようになっていた・・・合計9個。詰め替え用が4袋増えていた。なんでこんなことになったかというと、ヘルパーさんが2週連続で購入してしまったからだ。

ヘルパーさんは最近新しく変わったため、母の言うことはすべて鵜呑みにしてしまう。とはいえ、ヘルパーさんには何の責任もない、母に言われたものを買って来ているのだから、全うな仕事をしていると思う。2週続けて母はクリープを依頼し、ヘルパーさんはそのリクエストに答えた結果、こんなことになってしまった。

わたしがクリープを買いだめした記憶がうっすら残っていた母はきっと、クリープは今お買い得!と間違って記憶したのだろうと思う。

これでキーッ!ってなる介護者もいると思うのだが、そんな小さなことでどうか怒らないで欲しい。パンが6斤たまったり、使い方が分からない白髪染めがたまったこともあったが、その時もわたしは怒らないで事実をヘルパーさんに伝える。

だいたいのことは、時間が解決するのだ。たいした失敗でないし、事実だけ伝えて感謝することでヘルパーさんは成長してくれる。ヘルパーさんが母の会話をうまいことスルーできるまで、数ヶ月はかかる。それまではちょっとした初期投資だと、わたしは思っている。

たまったクリープの使い方

さてクリープが9個になってしまったので、使い方を考えてみた。

  • クリープがたまったら、ブラックを止めてつきあえばいいのよ
  • クリープがたまったら、フードバンクに寄付すればいいのよ
  • クリープがたまったら、そのまま食べてしまえばいいのよ

わたしはコーヒーはブラックで飲むことが多いのだが、母親とクリープ生活を共にすれば在庫が減ってくれるかもしれない。それでも余ったら、フードバンクに寄付してもいいだろう。

皆さまもやった記憶があるかもしれないが、クリープをそのまま食べるとまじでウマい!子どもの頃はその衝動を抑えるのに必死だったが、「くどひろよ、今こそあの禁断の扉を開ける時ですぞ」という神のお告げなのかもしれない。「神さま~、40代の体にはきっついですよ」と言いたいところだが、つい一口食べてしまった・・・やっぱりうまい。

イチゴにかけてもいい、実はお湯で割ってもおいしい・・・クリープは万能だ!餃子の王将の唐揚げ定食についてくる、あの「魔法の粉」に匹敵するクリープ。

最初9個のクリープを見た時は衝撃だったが、こうやってくだらないことを書いていたら、どうってことなくなってしまった。

皆さんも認知症の方が同じものをいっぱい買ってきてしまったときは、こうやって面白く考えてみて欲しい。イライラするより、自分にとって絶対にいいと思う。くだらんことでイライラする時間は、本当にもったいない。

ちなみに同じものを買ってきてしまう時、割と部屋のいろんなところに分かれて置いてあることが多い。わたしは同じものがいくつもあるということを認識してもらうため、1か所に集めるようにしている。

今日もしれっと、しれっと。


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東京と岩手の遠距離介護を、在宅で11年以上続けられている理由のひとつが道具です。介護者の皆さんがもっとラクできる環境を整え、同時に親の自立を実現するために何ができるかを実践するための本を書きました。図表とカラーで分かりやすく仕上げました。

4件のコメント

くどひろ様
母は「ネオソフト」が好きでした。一人暮らしの私の分も買ってくれていたので、冷蔵庫に常時未開封が2つはありました。(冷凍庫にあったこともw)
私と母は食べ物の好みが似ていたので、自分の家でモノが切れると、まず母の所に行ったときに家捜しし、大抵未開封が複数個あるのでチャッカリもらって帰ったものです。
「買っといてくれたの~? ありがとう~」
母もそれで嬉しく思ってくれたのではないかと思っています。

わかなまるさま

分かります!

うちはラーメンがそうなのですが、母のラーメンがおいしいので褒めます。そうすると、またラーメンを買ってきます。そんな感じで5年くらい、昼の定番はラーメンです(笑)

クリープ、美味しいですよねー笑
たまったクリープですが、料理にも使えますよ!
季節がアレですが、シチューとかクリームパスタ、塩ラーメンなら、ちょい足しでシーフードヌードルみたいな感じになるハズ!(あ、実験出来てません、想像です;)料理に混ぜちゃう、ですかね。
こそっと、こそっと、笑

アラサーちゃんさま

クリープ食べちゃう派ですか?(笑)

なるほど、使い道はやはり多いですね。FACEBOOKのコメントで、クックパッド先生を頼ると1000近いレシピがあるよと教わりました。

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工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(81歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて13年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【音声配信Voicyパーソナリティ】『ちょっと気になる?介護のラジオ
【著書】親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか