鹿児島認知症ブログの平山貴久先生の記事で、「それ、すごくよく分かる!」というものがあったのでご紹介します。
周辺視野の衰え
記事に、このような一文がありました。
視空間認知が衰えることとは、周辺視野が狭まり、その結果中心視野に依存するようになることなのだろうか。
引用元:http://www.ninchi-shou.com/entry/peripheral-vision-multitask
具体例として、真っすぐ前しか見ない運転をしたり、冷蔵庫の中で賞味期限の物があふれたり、周囲を見渡して特定のものが探せないなどの話が書いてありました。
認知症の方に限らず、多くの高齢者に見られるとのことですが、この話は認知症の母(73歳・要介護1・ピック病)にピッタリ当てはまります。
母が繰り出す周辺視野の衰えの例
一番顕著なのは、お薬です。お薬カレンダーから取り出して、台所のダイニングテーブルの上に置くのが母のルーティーンなのですが、そのルーティーンを確実にこなしているのに、飲み忘れることが多々あります。
2枚の写真で解説します。この写真はダイニングテーブルを上から撮ったものです。1枚目は母がお薬を置く定位置、2枚目は「しれっと」わたしが定位置をずらした写真です。
1枚目の写真は、テーブルマットと薬がかぶって見えづらいです。一方、2枚目の写真は、テーブルのど真ん中です。
「しれっと」と書いたのは、わたしは母が見ていない隙を狙って、ずらしているからです。「自分はきちんと薬が飲めている」という達成感を味わってほしいこともあって、何も言わずただスーッと位置をずらします。
ちょっとした違いなのに、認知症の母には見えてないんですよね・・・平山先生のいう周辺視野の話と合致します。ちなみに、位置を変えるとほぼ100%薬を飲んでくれます。
2つ目は、平山先生の記事にもある、冷蔵庫のもの探しです。賞味期限切れの食材であふれかえっているのですが、わたしはできるだけ母が見やすいところ(中心部)に食材を集めるようにして、端は空にするように毎回移動しています。そうすると、賞味期限切れの廃棄率が下がります。
3つ目は、改善例ではないのですが、母と一緒にやるモノ探しです。ほぼ毎日モノ探しをしている我が家ですが、昨日はこんなことがありました。
外に干しっぱなしなことが多いので、見に行ったらありません。エプロンにはキーファインダーをつけてないので、自分の目で探すこと5分。母が身に着けてました・・・メガネメガネの横山やすし状態です。
モノ探しをしていると、近くを一生懸命探しているのに、いわゆる周辺視野的な位置にあるものは見つけられません。わたしが、「ほら、目の前!」といったところで、母にとっては目の前ではないわけです。
皆さんもユマニチュードの視線の合わせ方について、テレビで見たことがあるかと思います。相手の正面にきちんと入って、しっかり視線を合わせますよね?あの動きも、平山先生の言う周辺視野がしっかりとらえられないからやっているのだと思います。
自分にとっての当たり前が、認知症や高齢者にとって当たり前でない時、つい怒ったりする介護者いますよね。仕事や人間関係のこじれも、だいたい当たり前にずれがある時に起きるように思います。お互いを理解できたり、寄り添ったりできれば何の苦労もないのですが、簡単ではないですよね。
周辺視野があまり見えてない人の時計描画テストの図もありますので、元記事を読んでみてください。
今日もしれっと、しれっと。