認知症の親のしゃっくりで調べた高齢者の吃逆について

高齢者 しゃっくり 原因 吃逆 対策

母を歯医者に連れて行ったとき、待合室のソファで見てしまった母の髪に光る無数の白い点・・・

母の髪のしっとり具合で、だいたい何日髪を洗っていないか分かるようになりました。今回の見立ては2週間の放置、前回わたしが母の髪を洗ってから一度も洗っていません。

台所に椅子をセットして、前かがみになってもらって母の髪を洗います。母の体勢も苦しそうですが、わたしも中腰で洗髪をするので結構腰が痛くなります。そんな息子に母は、

上のところがかゆい!お湯が熱すぎる!ぬるい!
くどひろ
やる気になれば、自分でも洗えるだろ!(心の声)

心の声なので、音にはしませんが内心はそう思って髪を洗ってます。

そのあとは、右足裏の上にある巨大タコに絆創膏タイプのイボコロリを貼ります。シャルコー・マリー・トゥース病の母の足は、土踏まずが筋萎縮の影響であまりなく、ベコっとえぐれた感じです。なので、足の裏と地面との接地面が少なく、体重がそこに集中するので、すぐタコができます。

いつものイベントが終わり、テレビを見ていたところ、

ほら、ひろ、ヒック。見て、デヴィ夫人、ヒック、面白いわね~

突然、始まったしゃっくり。

5分くらい放置しておけば治るだろうと思っていたのですが、なかなか治まりません。

ヒック、驚くと止まるっていうじゃない、ヒック
くどひろ
高齢者を驚かせて、心臓止まるほうが怖いって!

慌てて、スマホで高齢者としゃっくりの関係、原因、解決方法を調べました。

高齢者としゃっくり

記事タイトルの吃逆(きつぎゃく)は、しゃっくりのことです。ネットで調べる時に「しゃっくり」で調べると、医学情報は少ないのですが、「吃逆」で調べると詳しい情報が得られます。しゃっくりはすぐ止まるのか、長い時間継続するのかで判断が分かれるのだそう。

最近の検索エンジンは、わたしの欲しい情報が得られにくくなっていて、今回もなぜか福岡県薬剤師会のサイトに到達。そのサイトによると、48時間以内なら良性吃逆発作、48時間以上1か月以内なら持続性吃逆、1か月以上なら難治性吃逆と分類されます。

とはいえ、自分のしゃっくり経験では長くても10分以内には治るので、それ以上になると不安です。うちの母はその10分を経過してしまい、変な病気なんじゃないか、最近変えたサプリのせいかなどなど、あらゆる不安要素を頭の中に集めてしまいました。

48時間もしゃっくりが止まらないのに、まだ大丈夫!って判断できる家族はどれだけいるんだろうか?その48時間は、家族にとってはとてつもなく長い時間に感じられるのでは・・・薬剤師会の資料を読みながら、そう思いました。

良性のしゃっくりの原因としては、炭酸飲料など空気注入の胃拡張、温かい冷たい飲食をしたあとの胃腸と周囲の温度の急激な変化、興奮などのストレスがあるのだそう。たぶん、話しているときに空気を飲んだのだと判断しました。

持続性、難治性に関しては、心因性(ストレス、人格障害、興奮)、器質性(脳梗塞、脳出血などの中枢神経系や、がんや食道炎などの末梢神経系)、薬剤性などがあるのだそう。また筋力の弱った高齢者の場合、食べ物の塊が食道を通過するとき、その下にある横隔膜を刺激して、しゃっくりが出やすいそうです。

ちなみに認知症治療にも使われるウィンタミンは、このしゃっくりを止める効果があるそうです。わずか10分が過ぎただけで、わたしは持続性?難治性?なんて思い始めるわけです。まさか脳梗塞とか胃がんとか・・・。そう思いながら、同じサイトの治療法やその他対処法に従って、いろいろ試してみました。

  1. ビニール袋を口にあて、息を吐いて吸い込む
  2. 耳の中に人差し指を入れ、30秒から1分押し続ける
  3. 下を向きながら、つばを2回ゆっくり飲み込む
  4. 下を向きながら飲み物を飲んでもらい、息を少し止める

というのを順番にやっていきました。どれもうまくいかなくて、30分以上経過しました。やっぱりなんか変な病気なんじゃないか・・・そう思って、4を試したらピタッとひゃっくりが止まりました。

認知症でよかったと思った

こういう時に認知症ってすごいなと思うのですが、さっきまでのしゃっくりのこと、母はケロッと忘れてテレビ見て笑っていることです。「あれ、止まった!」という反応がふつうですが、テレビ見ながら笑ってます。

ついさっきまでしゃっくりで親子で苦戦していたことなんて、1ミリも思い出さない母を見て、こういう時の認知症は本当にありがたいと思いました。今回のプチしゃっくり騒動でひとつ気づいたことがあります、それは

「認知症の母が同じことをいう間隔としゃっくりの間隔が、ほぼ同じ」

母の症状がひどい時は、しゃっくりくらいの間隔で同じこと言ってきますからね。しゃっくりペースで同じことを何度も言うって、なかなかのハイペースです。

今日もしれっと、しれっと。


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【わたしの書いた最新刊】
東京と岩手の遠距離介護を、在宅で11年以上続けられている理由のひとつが道具です。介護者の皆さんがもっとラクできる環境を整え、同時に親の自立を実現するために何ができるかを実践するための本を書きました。図表とカラーで分かりやすく仕上げました。

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工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(81歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて13年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【音声配信Voicyパーソナリティ】『ちょっと気になる?介護のラジオ
【著書】親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか