皿洗いが雑になってきた認知症の母にいま、試していること

認知症介護 皿洗い

食器を洗わないまま、食器棚に戻す。これは認知症介護あるあるのひとつです。

ここ5年くらい、わたしが必ず食事前にやっているのは、母に見られないようにティッシュで箸を拭うことです。

箸も洗わず食器棚に戻すことがあるので、念のため1回ティッシュで拭ってから食事を取るようにしています。食後に食べるリンゴを刺すためのフォークも、ティッシュで1回拭いますし、コップなどあらゆる食器を拭うのは日常です。

母の認知症が進行するにつれ、やはり洗い忘れや洗い方が雑になってきました。それにつれ、わたしの注意も増え、イライラして、母もイライラします。

この負のループがイヤになり、ティッシュでしれっと拭うことが母のプライドを満たし、わたしもイライラせずに済むということが分かり、それが習慣化して、わたしの妹も自然と拭うという習慣が完成しました。

しかし、わたしのお腹の調子が急に悪くなったことがありました。

そのときの原因は母の作った古い肉じゃがで、わたしは急性胃腸炎になったのですが、今回もまたお腹の調子が悪くなりました・・・これは食器のせいでは?

急性胃腸炎と認知症

今回の原因はフライパン?

古い食材はわたしが廃棄しているので、腹痛の理由は他にあります。

そこで母の調理の様子をずっと観察し続けました。すると、明らかにやばいものを見つけました・・・そう、洗ってないフライパンです。

朝に目玉焼きを焼くためにひいた油を、昼も使いまわしているのです。下手すると夜も。ひとりで調理することもあるので、これは止めないといけないなと思って、真正面から指摘してみると、こういう返事でした。

熱を加えれば、殺菌されるから平気でしょ

NHKためしてガッテンで、油の酸化は体に害を及ぼすほどではないという回があったように記憶しています。それを信じたとしても、フライパン以外の食器の洗い方もかなり雑で、特に洗剤をつけずに洗うため、油汚れが残った食器が多いのです。

それが原因で、お腹の調子が悪くなることもあるだろうと考え、こうすることにしました。

認知症の母に試していること

わたしのほうが早くご飯を食べ終わるので、台所へ先に行って、フライパンや鍋を洗剤で「軽く」洗い、アワアワの状態のまま台所のシンクに置いておきます。

スポンジもわざとアワアワにしておいて、わたしの準備は完了です。

何も知らずに母が食器を洗い始めるのですが、泡のついた食器がいくつかすでにあるので、その流れで他の食器も洗剤をつけて洗ってくれています。

この方法、食器洗いに限ったことではなく、他にも応用できそうな気がしてなりません。認知症が進行し、出来なくなることは増えていきます。介護する側はそれを受け入れないといけませんが、たまにこうやって抗ってみるのもよくないですか?

途中まで家族がやって、あとは放置して様子を見る。もしできたら儲けものだし、できなかったとしてもそれが当たり前と考える。

皆さんのご家庭でもきっと、こういうチャンスはたくさん眠っていると思います。他の実例もあったはずですが、記事書き終わるまで思い出せなかった・・なんだったかな・・

今日もしれっと、しれっと。


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東京と岩手の遠距離介護を、在宅で11年以上続けられている理由のひとつが道具です。介護者の皆さんがもっとラクできる環境を整え、同時に親の自立を実現するために何ができるかを実践するための本を書きました。図表とカラーで分かりやすく仕上げました。

6件のコメント

くどひろ 様
泡あわ作戦、最高ですね(*^^*)
一生懸命洗い物をしているお母様の姿が想像されます❤️ ちゃんと家事をしてきた人は、認知症になってもやれますもんね。
機会を上手にさりげなく与えることが、相手にとっても自分にとっても、気分良くなって介護ではなく『生活 』になりますよね。

週末の講演会移動距離が半端ないようですから、お気をつけて(^_^)v

奈都さま

そうですね! 介護する側が何でもやってあげればいいってわけではないので、程よく手助けするスタンスが大切だと思ってます。
自分でやったほうが早いと思うこともありますが(笑)

移動距離、確かにハンパないです。
今日の午後から、フェリー&バスで札幌へ向かいます。1日だけ滞在したあとの、平川&宮古ですので、風邪だけは引かないように気をつけます!
ありがとうございます!

 まだ同居してる母は認知症の認定は取っていませんが、85才。一緒に調理していても動きもとても遅くなっています。今日も、がみがみ言ってしまいました。刺身を切った包丁とまな板できゃべつを切っていたからです。きっと一人暮らしの方は当たり前のようにやっているんだろうな。

 衛生的なことは・・やはり、見逃すことができません・・できない・・

 
 

トトさま

わたしは言い過ぎてしまったあと、必ず自己嫌悪に陥ります。
そんな自分がイヤになるので、そこで後悔しないように手前で回避する努力をしています。がしかし・・・100パーセントとはいかないですよね、わたしの修行が足りていません。

我が家でも年二回の帰省ですが洗い物の汚れが取り切れていないことが増え、声をかけると「え?どこが?」と…(老眼ですが洗い物の時まで眼鏡はかけてません)見えてなかったのかと気付きました。
ご近所から頂いたほうれん草を、本人は何度も水をかえているつもりですが底に溜まった砂を流しきらずにまた水を貯め「何回洗っても砂が出てくるわ〜」と言ってたこともありました。
また、地域(県南です)で『北上川を守ろう!』となるべく洗い物に合成洗剤を使わないことを推奨する取り組みもあり、使いたがらないので食器がヌルヌル…という事情も。フライパンを洗剤で洗おうものなら「せっかく油が馴染んでるのに…」と家事を知らないダメ主婦扱いです。
元々洗い残しより洗剤の化学物質が身体に入る方が気持ち悪い、という発想なので意識改革には時間がかかりそう。
まぁ基本娘の説教は聞きませんが、回覧板とか新聞の『食中毒予防』の記事とかには反応します…。保健所のポスターでも貼ってみようかな。

匿名さま

なるほど、化学物質が身体に入るほうが気持ち悪い・・昔の方ならそういう発想もあるかもしれません、うちもそうかも。
母も北上川を守る意識があるのかもしれません、参考になります。

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ABOUT US
工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(81歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて13年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【音声配信Voicyパーソナリティ】『ちょっと気になる?介護のラジオ
【著書】親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか