介護が必要な女性には同性である女性の介護が必要というお話

朝日新聞の医療サイト apital で連載中の笠間睦(かさまあつし)先生の記事で、女性には 「同性介護」 というのがありました。

どういう話かというと、

『私たちは、女性には“同性介護”を厳守しています。女性にとっては、ケアしてくれる職員が同性であることは大きな安心感につながります。“究極のサービス業”だというポリシーから、私たちはそうしています』

こう答えたのは、週刊ダイヤモンド「有料老人ホーム ベストランキング」福岡県の介護型有料老人ホーム第1位の大牟田スヌーグルさん。これを読んで思い出した事があります。

亡くなった祖母の話

わたしは介護職経験者ではないので、介護を男性スタッフがやっても、女性スタッフがやっても同じだと思ってました。その考えが変わったのが、病院での祖母の下の世話を見た時でした。

やや高度の認知症で、便いじりもしていた祖母。元気な頃は病院の壁に便をつけたりして、病院に迷惑をかけていたんですが、亡くなる前はほぼ寝たきり状態。起き上がる事もできないところまでいきました。

そんな寝たきり状態でしたが、男性スタッフがオムツを替えようとした時に、明らかに抵抗したのです。その時思ったのが、

「こんなに認知症が進んでも、寝たきりでもいやなものはいやなんだな」

と。これを見てからというもの、うちの認知症の母もきっと同じ考えなんだろうな と思えるようになりました。

母の話

母も祖母同様、男性スタッフがだめです。理由はちょっと変で、

「男の人がウチに入るところをご近所に見られたら、恥ずかしい」

??

今でも意味不明なんですが、過去に手足のリハビリを男性の方にお願いしていたところ、それがイヤで女性に変えてもらったという経緯があります。母の理由は不明なんですが、祖母の反応から考えると結局は ”本質的” なものなんだろうな と解釈しています。

家族としても、女性リクエストを出してます。なのでうちはケアマネさん、訪問看護師さん、訪問薬剤師さん、訪問作業療法士さん、ヘルパーさん すべて女性です。

記事を読むと、決して「同性介護」がすべての医療機関や老人ホームで実施されているかというとそうではないようです。そりゃそうですよね、スタッフさんのシフトや人数の関係で、家族のニーズを100%満たす事ができない場合もあると思います。わがままって思われる事もあるかもしれません。

今話題のフランス生まれの認知症ケア 「ユマニチュード」 で、人間の尊厳を大切にすると説いてますが、 ”女性には 「同性介護」 ” というのと共通しているように思えてなりません。

今日もしれっと、しれっと。


にほんブログ村 介護ブログへ


【わたしの書いた最新刊】
東京と岩手の遠距離介護を、在宅で11年以上続けられている理由のひとつが道具です。介護者の皆さんがもっとラクできる環境を整え、同時に親の自立を実現するために何ができるかを実践するための本を書きました。図表とカラーで分かりやすく仕上げました。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

ABOUT US
工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(81歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて13年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【音声配信Voicyパーソナリティ】『ちょっと気になる?介護のラジオ
【著書】親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか