【データ】認知症の人を 「どこで」 介護している人が多いのか?

まずは、こちらのデータをご覧ください。(単位:万人)

認知症自立度

はい、意味わかりません(笑) これは厚生労働省の 「2015年の高齢者介護~高齢者の尊厳を支えるケアの確立に向けて~」 という資料の中にある 「所在と痴呆性老人自立度」 のデータです。これでも意味分からないので、簡単にいうと、

「要介護認定を受けた認知症の人は、いったいどこで介護されているのか?」

を示したデータなんです。さすがお役所言葉、無理に難しくしてます(笑)

2015年の高齢者介護という資料タイトルでありながら、このデータ2002年の数字です・・・2010年の一部データも見つけましたが、2002年と割合に違いがなかったので、このまま話を進めます。

赤太字のところが、「自宅で介護を受けている」 人数です。2002年現在、314万人の方が要介護認定を受けていて、そのうち210万人の方が自宅で介護をしている ということです。率にして、なんと66.9%です。自宅率高っ!

自立度Ⅱ(誰かが注意すれば自立可能)と自立度Ⅲ(意思疎通が困難で、介護が必要)で見ると、自立度が上がる(自立ができなくなる)とその割合は減っていきます。

自立度Ⅱでは49%(我が家はここに属します)、自立度Ⅲで35.4%の人が、自宅で介護を受けてます。そりゃそうですよね、認知症で自立ができなくなってくると、家族も介護が厳しくなります。自宅では面倒がみきれなくなって、施設にお願いするようになる。だから割合も減っていく、当たり前の数字です。

でも、この数字はこうも読み取れます。

「意思疎通が困難で介護が必要な状態になっても、35%は家で面倒を見るんだ」

と。要介護認定を受けている方のデータなので、自宅で訪問看護やヘルパーさんの力を借りて認知症介護をされているということになります。これが我が家のように、「自らが自宅を望んでいる人」 と、「やむを得ず自宅という人」 に分かれます。やむを得ずな人の理由としては、

・家族が見るべきという責任感、施設にいれるなんて!という意識
・親族、ご近所など他人の目が気になってしまう
・認知症の人ご本人が抵抗して、施設に入れない
・そもそも定員問題で、特養に入れない

などが考えられます。要介護認定を受けられた人はまだいい方で、このデータには載らない 「要介護認定すら受けられない人」 まで考えると、相当数が自宅介護しています。

特養などの待機老人問題もありますが、施設をどんどん増やしていくというよりかは、国はこの自宅での介護を推進する方向で動いています。この自宅率を伸ばすべく、オレンジプランを実行しているわけですが、何がベストなんでしょうね・・・

この記事のタイトルである、「どこで」 認知症介護をしている人が多いかの答えは、「自宅」 が一番多く、全体では7割が自宅介護をしているという話でした。このデータ、どう感じますか?


にほんブログ村 介護ブログへ


【わたしの書いた最新刊】
東京と岩手の遠距離介護を、在宅で11年以上続けられている理由のひとつが道具です。介護者の皆さんがもっとラクできる環境を整え、同時に親の自立を実現するために何ができるかを実践するための本を書きました。図表とカラーで分かりやすく仕上げました。

4件のコメント

ううむ。興味深いデータです。ご説明のおかげでわかりやすいし。

勉強になりました。

おぢゃっこ倶楽部さま

コメントありがとうございます!

話がマニアックかな~ と思いましたが、ご興味をもって頂けてうれしいです。

いつもブログ、楽しく?拝見しております。今回は興味深いテーマでした。
施設と居宅、どちらが介護者の負担が少ないのだろうか。どちらが認知症の人にとって生活しやすいのか。
国は、施設だけだと対応しきれないから、居宅介護に力を入れる政策を打ち出してるのか?私はまだ勉強不足なので詳しいことは分かりませんが…、一介護者ととして、肉体的、精神的、経済的に少しでも負担が減る方がありがたいです。
さらにいうなら、行政、病院だけでなく、自治体や金融機関、地域のお店、などと連携して認知症の方や家族を支える何かがあるといいのに…と最近は強く思います。
なんだか生活に不便さを感じずにはいられません。認知症とその家族について、介護についてもっとオープンに取り上げられるべき、と思ってしまいます。
長くなりました?!

1104yummyさま

コメントありがとうございます、ツイッターの方もありがとうございます!

おっしゃるとおりです。地域との連携を実際に行っているところは増えていて、商店街と認知症NPOとの連携であったり、有名なところではイオンが認知症サポーターを数万人育てたりしています。そういう活動は多々あるものの、我々が実感できるレベルには程遠いですよね。やっぱり自分が介護という立場におかれないと、興味を持たない人が多いからだと思います。またお立ち寄りくださいませ!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

ABOUT US
工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(80歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて12年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【音声配信Voicyパーソナリティ】『ちょっと気になる?介護のラジオ
【著書】親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか