デイサービスの曜日を間違い続ける認知症の母に起こったある異変

認知症の母は、週2回デイサービスに通っています。しかし、全く関係ない日にデイの準備をしますし、日付が合っていたとしても送迎時間の90分以上も前から、外でデイの送迎車を待ちます。

真夏の熱中症、真冬の寒いときなどは特に、遠距離でも見守らないといけないので、これまでたくさんの対策を行ってきました。

  1. 見守りカメラで、間違った日にデイサービスの準備をしていないか確認する
  2. もし間違っていたら、電話で今日はデイの日じゃないと説得する
  3. スマートスピーカーを使って、音声で今日の予定を何度も自動で知らせる
  4. 曜日表示が分かりやすい、新しいデジタル電波時計を購入する
  5. 最後のバックアップとして、デイサービスの送り出しをヘルパーさんにお願いする

これらのおかげで、デイサービスの曜日を間違う日数は少しずつ減っていきました。

母との長期の戦いは、2年か3年かハッキリは覚えていませんが、それくらいに及びました。ところが、最近になっていきなりの休戦。いったい、何が起こったのでしょう?

デイサービスへの暴走が止まった4つの理由

デイサービスに行きたくないと言い出す日もある母ですが、責任感からなのか、習慣化したからなのか、そんな気持ちとは裏腹に、デイの準備をしっかりしてくれる母。

なだめすかし、褒め、説得し続けたあの数年があったから、デイの習慣が身に付いたと思っていますが、ここ数年は暴走気味で、抑えるのに大変な日々が続いていました。しかし最近は、ヘルパーさんが送り出しに来るまで、しっかり部屋で待っててくれるのです。ちゃんと準備をして、ちゃんと着替えて。なんで暴走が止まったのか、理由を考えてみました。

  1. 認知症の進行によって、またひとつこだわりが減った
  2. 最近あった左足のねんざがきっかけで、活動量が減った
  3. 飲んでいた薬、サプリメントの変更によって、興奮状態が収まった
  4. 3と同じ理由で、カレンダーや音声での予定をしっかり把握できるようになった

この中のどれが正解かと言うと、おそらくすべてが当てはまっているんじゃないかと。暴走を止めるのは大変でしたが、裏を返すと元気な証拠でもあります。多い時には週3回以上は電話していたのに、最近はその必要がありません。

氷点下の外で何時間も送迎車を待ち続けないよう必死に止めてきたのですが、今はコタツでヘルパーさんを待ってます。これが正解なはずなのに、どこか喜べないというか、あの元気さはどこにいってしまったのか。お薬やサプリメントの変更がうまくいったと思いたいのですが、さてさて。

6年もお風呂に入らなかった母がお風呂に急に入った、あの時の寂しい感覚と同じです。大変な介護を望んでいるわけではないのに、むしろ好転している話なのに、なぜか喜べません。

音声配信voicyの最新回は、認知症のサインの年末年始特別編のお話です↓

今日もしれっと、しれっと。


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東京と岩手の遠距離介護を、在宅で11年以上続けられている理由のひとつが道具です。介護者の皆さんがもっとラクできる環境を整え、同時に親の自立を実現するために何ができるかを実践するための本を書きました。図表とカラーで分かりやすく仕上げました。

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ABOUT US
工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(81歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて13年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【音声配信Voicyパーソナリティ】『ちょっと気になる?介護のラジオ
【著書】親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか