男性介護と女性介護の違いってなに?

働く人の介護については、2007年総務省「就業構造基本調査」のデータを使ったものが多く、その結果はだいたい

  • 2002年10月から2007年9月まで「家族の介護・看護のため」に離職した人の数が全国で57万人
  • 06年10月~07年9月の1年間に「家族の介護・看護」を理由に離職した人は全国で14万4800人
  • そのうち8割が女性で、2割が男性

というものです。

6年も前では古すぎるっ!もっと最新のデータはないのかな?と思い調べると 株式会社ライフケアパートナーズのデータを使ったニッセイ基礎研究所の松浦民恵さんの『働く人による介護の実態 -男性介護者に注目して』が最も新しく、読んでみると新しい発見が!

ちなみにこちらの元データは2012年5月と新しく、対象は40歳以上23,000人の会社員とまさにこのブログのタイトルにぴったりでした。

男性介護と女性介護の違いって、なに?

このレポートを読んでキャッチーだったのは、タイトルの男性介護という言葉。介護で男性とか女性とかあまり意識しませんでしたが、どちらかというと男性は少数派に属するんだなと。

そして性別によって介護に特徴があるってのが、こちらのレポートの面白さです。早速その特徴ですが、

  • 男性は看病や家事の経験が少ない、地域のネットワーク構築が十分でない
  • そのため、介護を抱え込み、苦悩する懸念が大きい
  • 要介護者に対する虐待の6割が男性、うち息子が4割、夫が2割
  • 男性は女性に比べ、自分自身で介護を行わず、他の方を積極的に使う傾向
  • そのため、介護に携わる時間が女性より短い
  • 男性は介護施設を利用していて、自宅介護率は低い。また、遠距離介護は男性のほうが多い
  • 介護費用の負担が、男性の方が多い
  • 男性は経済的負担感が大きく、女性は身体的・精神的負担感が大きいと思っている
  • 遠距離介護の場合、経済的・身体的負担を大きく感じるが、精神的負担は小さい
  • 遠距離介護の女性の場合は、精神的負担も大きい
  • 在宅でやらなきゃいけないという思い、他の家族の目などで
  • 会社での役職が上の方が、介護への負担が少ないと感じている
  • 介護に専念していない仕事と介護を両立している人の男性は、介護負担感を抑制できる

赤字は自分自身が当てはまる項目で、冷静に分析したレポートを見たことがなかったので、妙に納得しました。

わたしが思った女性介護は、『女性の母性本能が介護への責任感を生み、負担感を増大させている。でも男性よりもネットワークを作るのが上手で、そこでうまく発散できている人は介護の負担感も少ない』と解釈しました。

勤務先から支援してもらいたいこと

レポートにありますが、出社・退社時間を自分の都合で変えられるようにしたいと望んでいる人が最も多く、次いで介護サービスの費用の助成が上位です。わたしは遠距離介護なので、在宅勤務ができればと思っていたのですが、これは4位に入っていました。

管理職経験が介護にも活かされる?

職場でのマネジメントの経験が、介護サービスや勤務先の支援制度の利用、他の家族の協力を通じた「介護のマネジメント」にも活かせること等が、仕事と介護の両立にプラスの影響を及ぼしている可能性がある

とあります。わたしの場合は管理職という立場をうまく利用できずに、離職してしまいました。

管理職もいろいろでプレイングマネージャーだと支援制度をうまく活用できませんし、企業の支援制度がどこまで充実しているかで、環境はまるで違います。

ただひとつ思うのは部署をマネジメントした経験は間違いなく、介護に限らずいろんな場で活かすことはできます。ケアマネさん、ヘルパーさん、お医者さんや家族など、介護にかかわる人たちもひとつの部署のようなものです。

この連携をマネジメントするというのは、性質こそ違えど本質的なところは同じと実感しています。

最後に・・・こちらのレポート以外でよくある男性介護の話で、『男性自身のプライドが孤立させて、介護ストレスになる』というものです。孤立=ストレスの構図はとてもよく分かります。やはり介護の事をひとりで抱えているのはきついですし、誰かに話したい!でも、プライドって?

介護している人はやはり50代、60代の方が多く、昔ならではの『男性が介護で会社を辞めるなんて、みっともない』『働いてないなんて、だれにも言えない』 というのがあるんですね。そっかぁ・・・、そういう発想がない分、自分はまた違う世代なのかな?なんて思ったりもします。

今日もしれっと、しれっと。


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【わたしの書いた最新刊】
東京と岩手の遠距離介護を、在宅で11年以上続けられている理由のひとつが道具です。介護者の皆さんがもっとラクできる環境を整え、同時に親の自立を実現するために何ができるかを実践するための本を書きました。図表とカラーで分かりやすく仕上げました。

1件のコメント

男性介護の特徴
・要介護者に対する虐待の6割が男性、うち息子が4割、夫が2割

というのは、男性介護者=虐待の特徴ということですか?
AはBでもBはAではありません。

同時多発テロでイスラム教徒を悪だとするトランプ政権と同じ考え方です。
一部のデータで全体の特徴とするのは思い上がりです。

男性介護者に対するネガティブキャンペーンをやめてください。

虐待は過去に虐待で問題を解決してきた発達障害の人です。

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工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(81歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて13年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【音声配信Voicyパーソナリティ】『ちょっと気になる?介護のラジオ
【著書】親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか