認知症の母が固定電話のディスプレイに執着|ダンボールで液晶を隠して解決した話

岩手の実家にある家電の待機ランプには、ほぼすべてにビニールテープが貼られています。認知症の母がランプの光を気にして、電源プラグを抜いてしまったり、ランプの前に何時間も座り込んでしまうからです。

認知症介護あるあるのひとつですよね。

昔は節電のためにプラグを抜く習慣のある人もいましたが、母はそうではありませんでした。認知症になってから気にし始め、「電気を消さなければ」という使命感と、「でも消えない」という不安の葛藤——そんな状態なのかもしれません。

実際に何度もトラブルがありました。

  • 給湯器の液晶画面の光が気になり、電源をOFF。冬場にお湯が出なくなり、冷たい水で顔を洗い続けた
  • 給湯器の液晶の光を消そうと、近くのスイッチを次々と触った結果、水道管の保温スイッチを触り、水道管が凍結した
  • エアコンの待機ランプを指して、「あそこが光っている」と言い続けた
  • テレビの待機ランプが消えないと、ランプを指で触り続けた
  • ウォシュレットのランプが気になり、何度もトイレを出入りした

こだわり出したら最後、何時間もランプを手で触って寝なかったり、周辺のコード類を片っ端から引っ張ったりして、自ら生活を不便にしてしまいます。

今回のターゲットは、固定電話でした。

固定電話のディスプレイが気になる母

あらゆる家電にビニールテープを貼ったので、居間で光っている家電はほぼなくなりました。唯一残っていたのが、固定電話の液晶画面。ナンバーディスプレイ対応の電話機で、かかってきた相手の番号が表示されます。

電話が鳴らない限り光らないので、しばらくは気にならなかったのかもしれませんが、受話器を上げると光ることを覚えてしまったみたいなんです。

番号ボタンのバックライトが点灯し、液晶画面も光ります。受話器を元の位置に戻せば、ライトはすべて消えますが、母は受話器を戻せません。しかもこの電話、受話器を戻さないとずっと光っていて、自動消灯しない?

ディスプレイと番号ボタンの光が気になる母

光り続けるから、母は固定電話の前に何時間も座って、消そうとあらゆるボタンを押しまくります。押せば押すほどライトは光るので、電話の前から離れられなくなります。

1番ひどかったのは、電話機ごと近くにあったゴミ箱に捨ててしまったこと。ヘルパーさんに戻していただいたのですが、さすがにひどくなってきたので対策しました。

ダンボールで液晶画面を隠した

液晶画面をビニールテープで直接覆うと、電話番号の表示が確認できなくなります。そこでダンボールにビニールテープを巻いてカバーを作り、液晶画面の上部だけテープで貼って、ダンボールをめくれば画面がわかる仕様にしました。

こんな仕上がりです

あわせて、番号ボタンのバックライトをOFFに設定しました。受話器を戻さないと通話はできませんが、最近は見守りカメラを通じてのやりとりがほとんどなので、実害はありません。受話器を戻せなくなるのは認知症あるあるとして知っていましたが、うちの母もでした。

重度の認知症になってから、こだわりが強くなったように感じます。光が気になると睡眠不足の原因になります。固定電話のそばにはインターネット回線の電源も集中しているため、とにかく「気にならない環境を作る」ことしか手がありません。

今日もしれっと、しれっと。

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ABOUT US
工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(82歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて14年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【著書】
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