母がそう言うのは、同じデイサービスの利用者さんのことです。送迎車の隣の席でいろいろ話ししながら実家に戻ってくると、決まってわたしにこう言うのです。
会話の中で相手の大変さに気づいたのかな、と一瞬思いました。ですが、重度の認知症の母が車中の会話を覚えているとは考えにくいです。では一体、何が「大変」なのでしょうか。
冷静に考えると、母は要介護4で重度の認知症、しかも障害2級です。デイサービスでみんなと外出したときの写真を見ても、母だけが車椅子に座り、他の利用者さんは立っています。なので、母への反応は自然とこうなります。

あなたのほうが、もっと大変でしょ
わたしの言葉にキョトンとする母。まるで自分は認知症でも障害があるわけでもなく、元気だと思っているような反応です。実際、母は自分が認知症であることも障害があることも自覚していないので、この反応も納得できます。
では、なぜ母は他の利用者さんのことを「大変」と言うのでしょうか。
白髪の人はみんな大変そうに見える
母が「大変」と言うとき、その方がどんな人か観察してみました。すると決まって、「白髪」のおばあちゃんだったのです。
「白髪」→「おばあちゃん」→「身体機能が低下している」→「大変」。おそらくこんな連想をしているのだと思います。自分の状態は棚に上げて、そう感じているようです。
もう一つ考えられる理由は、母自身が「白髪」ではないことです。母は3か月に1回、訪問美容を利用しています。
時間が経てば白髪も増えますが、基本的には染めているため黒髪です。鏡で自分の姿を何度も見ているうちに、自分は黒髪で若いと思い込んでいる可能性もあります。比較対象の「白髪」の方は、ずっと年上だと思っているのかもしれません。実際は母と同世代か、母のほうが年上ということもあるのですが。
自分が83歳であることも忘れてしまっているようで、母の中では黒髪でバリバリ歩ける60代のイメージなのでしょう。あなたもおばあちゃんなんですけど。だからこそ、白髪の同世代の利用者さんが大変そうに見えるようです。
そのため、白髪の方を見るとつい優位に立ったような、マウントを取るかのような感じになってしまうのだと思います。あえて「マウントを取る」と表現しましたが、実際は「かわいそう」という気持ちに近いようです。
今日もしれっと、しれっと。






























あのおばあちゃん、大変そうよね~