成年後見制度を悪用する人たちの例

認知症の人の財産をどう管理していくか?

認知症の当事者の方はしっかり財産管理ができないし、正しい判断ができない。訪問販売で高い羽毛布団を買わされたり、いいかげんな投資話を持ちかけられたり契約させられたりします。

悪い人だけが狙っているわけではありません、わたしが以前書いた 遠距離介護と生命保険と認知症とのはなし のように、相手側が認知症と気づかずに、契約を進めてしまうということだってあります。とにかく認知症という正しい判断ができない人に対して、いろんな魔の手が忍び寄ってきます。

改めて成年後見制度について

このブログでも成年後見制度の記事があります。利用することで、認知症の方を守ってあげることができます。最近では成年被後見人が選挙権回復したニュースで制度を知った方もいると思いますが、まだまだなじみのない制度ですし、日本でも成年後見人はまだ14万人弱しかいません。

認知症の方の財産をその人のために使ってあげるようにするのが、成年後見制度です。きちんと判断できない人の代わりに、後見人が判断して財産をきちんと管理するのが職務です。

この制度のもう一つの特徴は、認知症の方の財産だけでなく介護する側の財産も守ってくれます。どういうことかというと、介護する側が費用を立て替えるケースっていっぱいあると思います。わたしの場合は病院代、おむつ代、タクシー代などなど100万近くは立て替えました。介護する家族同士で、誰が負担するか揉める要因のひとつです。

わたしはこの制度のおかげで、遠距離介護の交通費負担も楽になったし、病院代、おむつ代などいろんな費用の持ち出しが止まって、すべて祖母の財産から、祖母のために使われる形になったので、介護する側の財産を守ってもらっています。家族間の争いもありません。

でも最近この成年後見制度を悪用する輩が、結構多くなっています。

成年後見制度を悪用する人たちの例

わたしのように家族が後見人になるケースでも、認知症の家族の財産を勝手に使いこんで逮捕されるというケースがあります。これはわたし自身も気を付けないといけないことです。

後見人の職務はいろいろと面倒なので、弁護士や司法書士など第三者に成年後見人を依頼するケースがあります。裁判所から認定され、社会的にも認められている職業についているその人が、財産を使いこむというケースが増えています。

先日、日本テレビの行列のできる法律事務所の『親が認知症になる前にやっておいた方がいいことは?』特集で、北村弁護士が認知症の方の財産を守るために、この後見制度を薦めてましたがもうひとつ『この制度を悪用する弁護士もいる』話もしてました。

まだ判断能力が十分にある方が、将来自分が判断能力が不十分になった時に、自分の財産を管理して下さい、あるいは自分の介護、面倒をみて下さい、ていうことをあらかじめ契約して定めておくんです。で、それを公正証書で結んでおきます。現実に私、契約を締結して、うちの事務所で今やってますね。
万が一、将来、判断能力が不十分になった時に、例えば財産管理などを適切にしてくれて、サポ-トしてくれる。そういう契約なんですね。それをしておけば問題ない訳ですよ。
ただ、これ悪用されてるケースも結構ありますので。
例えば、弁護士も悪い人、たまにいますからね。弁護士会に聞いて、「この人大丈夫ですか?」って。あるいは市役所などに聞いて、問題ない人を選ぶ事が大切です。

引用元:https://www.ntv.co.jp/horitsu/20130526/1-kitamura.html

東京弁護士会元副会長の弁護士がつい先日逮捕されました。この方は、2009年9月~2011年5月までの間、成年後見人として管理していた女性の銀行口座を解約し、払戻金計2400万円を自分の口座に振り込んで横領した疑いがあるそうです。弁護士に限らず、司法書士なども同じような事件を繰り返しています。

成年後見制度は意味もなく買ってしまったり、契約したものの返品や不履行もできますし、認知症の方に忍び寄る魔の手から守ってあげられる制度です。その守るべき成年後見人が悪用してしまう悲しい事も起きています。

成年後見制度を利用して、認知症の方も、そして自分自身の財産も守る事をお薦めします!


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【わたしの書いた最新刊】
東京と岩手の遠距離介護を、在宅で11年以上続けられている理由のひとつが道具です。介護者の皆さんがもっとラクできる環境を整え、同時に親の自立を実現するために何ができるかを実践するための本を書きました。図表とカラーで分かりやすく仕上げました。

4件のコメント

偶然 このブログを発見していっきに読みまくりました。
もっと早く見つけていれば・・・・
ところで
成年後見制度って 独居で施設の方には朗報だと思いますが、居宅はかなりきついです。
先日 家電を買いました。すると 家裁の担当の方は
1 壊れたという証明(写真写しましたが機能が壊れているのでこれでは証明できません)
2 確かに設置されたという証明(これは電気屋さんに書いてもらいました)
3 他社製品との見積もり比較がない(少なくとも4、5つつはつくりなさい)
4 カタログの写し
5 領収書 

結果、、
1まず高価すぎるという理由で、価格の50%は他の家族が出すように(つまり私)言われました
2 設置できない家電(持ち運びできる家電)は 他の方が使える状態なので(つまり私) 認められない と言われました
3 最後に 初来のことを考えてもっと節約するようにと言われました。

わたしは 壊れたと電話がかかり 遠距離をかけつけて 母もつれていき、どうしてもこれがいいと言い張るので それを買いましたが、高価ではありません。中間の下くらいです。
それで 私が得たものは 交通費自腹(車で6時間高速使って行ったから) 家電の半分を母に返すように とのこと。また持ち運びできる家電は 私が全額負担。

もう 担当の女 訴えたい 
これって虐めじゃないのか?
「もっとお金の管理をきちんとしてください。」と言われたので
「きちんとできませんから他の方にお願いします」と言ったら
「こんな難しい家庭 受けてくれる人なんていませんよ」と言われました。

施設だったらな、、と思います。
施設入りは まったく介護をしない妹が 「お母さんが可愛そう!」と言い張って ずるずると先延ばしにしています。全面的にヘルパーさんと家政婦さんと便利屋さんと近所の方の好意だけで成り立っています。トイレが自力でできるので 危険なものはすべて捨てましたので(食器もプラスティックです) 自宅で生活できないわけではない という感じです。

もう疲れました。裁判所に疲れました。成年後見制度は施設入所の方だけにしてほしい、、

すみません。愚痴です。ごめんなさい。

みなみさま

2つのコメント読ませて頂きました。

確かに居宅ですと、線引きが難しい部分が多いかと思います。ポイントとしては、

1.成年被後見人の毎月の収支は、黒字にできるように努力する(アピールする)
2.裁判所の姿勢はあくまで成年被後見人の財産をいかに減らさないようにするか、本人のためだけに使っているかを見ている

こういうスタンスで来るので、このスタンスに合うように後見人として行動する必要があるかと思います。わたしが恵まれていたのは、最初書類を提出に行った際の面接官の方が費用計上をいろいろと教えてくれたことです。書類コピー代とか、車のガソリン代なんかも面接官のアドバイスで入れました。

最初は持ち出し金額がすごかったです。しかし事務報告書の提出を求められる時期がいずれ来るかと思いますが、その書類の中に、

「その他、気になっている事は?」

という欄があったので、わたしはそこで遠距離の交通費負担が重いという事を書きました。結果さかのぼって認められる事となり、すべて取り返したという感じでした。介護離職にまでなった事も影響したのかも。

みなみさまとは関係ありませんが、悪徳弁護士や司法書士が財産の悪用をしたり、家族でも不正使用をして逮捕されるケースが非常に多いです。そういう社会的背景もあって、より厳しく見られるようになっているのは間違いないです。

みなみさんの2014/03/15のコメント中、
「きちんとできませんから他の方にお願いします」
とありましたが、これ、言ってはいけないと思います。下手すると家裁はこの言を口実に、財産管理専用の後見人を選任してしまいます。そうすると報酬が生涯にわたって発生するだけでなく、勝手に財産処理されたりします。口は災いの元。でも家裁からのイジメによく耐えてらっしゃる。頭が下がります。
こういう投稿の場を訪れることで情報交換し、”知識武装”することが大事だと感じます。くどひろさんに感謝します。

take884さま

コメントありがとうございます。

下記リンクのような話とか、リアルで生々しい後見制度の体験談をよく頂きます。

https://40kaigo.net/system/guardianship/8352/

いろんな意見を頂くたびに、自分が選任されて本当によかったなと思っています。職務を全うし終えて2年半が経過しますが、それでも制度の変化を感じてしまいます。

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ABOUT US
工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(81歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて13年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【音声配信Voicyパーソナリティ】『ちょっと気になる?介護のラジオ
【著書】親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか