親に患って欲しくない病気は「ガン」を抑えて「認知症」が1位になったニュースを見て

認知症 ガン

2017年1月、DIMEが40歳から69歳の男女112名にインターネット調査した「親に患って欲しくない病気」の結果がこちらです。

親に患って欲しくない病気を1位から3位まで聞いたところ、1位~3位の合算で、「認知症」が67%と最も多い結果となった。次点で「ガン」「脳卒中」がそれぞれ59.8%、50.9%と、半数を超えている。また、1位に挙げた割合をみても「認知症」は40.2%と「ガン」よりも多くなった。中でも50代においては「認知症」を挙げた人が79.4%と非常に多い結果となっている。
引用元:https://dime.jp/genre/402492/?first=1

わたしは正直「ガン」が1位だと思っていたので、「認知症」がここまで毛嫌いされていたことに衝撃を受けました。

情報がこの文章だけなので何とも言えないのですが、「ガン」や「脳卒中」は場合によっては命に関わる病気ですし、実際、父の兄は脳梗塞で後遺症が残りました。一方の「認知症」は、すぐに命に直結する病気ではないのに、1位ってどういうことなのでしょうか?

ちょっと話はそれますが、「ガン」へのイメージについての記事をご紹介します。

ガンへのイメージ

小林麻央さんが亡くなったことを受け、中山祐次郎医師のガンの記事を読みました。わたしも勘違いしていたのですが、ガンのラストシーン(死ぬ直前)の現在は、こうなっているようです。

多くの方は映画やドラマなどで、ラストシーンがかなり悲惨なものだと思っているかもしれない。例えば抗がん剤の副作用で吐き、何も食べられず、痛みと苦しみが取れることは無いーーー。しかしそれは昔の話で、今はそんなことはほとんどない
引用元:https://news.yahoo.co.jp/byline/nakayamayujiro/20170623-00072448/

痛みを和らげる「緩和ケア」が進歩していて、ラストシーンは実は穏やかなのだそう。ドラマや映画でのラストシーンの悲惨なイメージは、間違っていると記事にありました。

この記事を読んで、わたしもすっかり映画やドラマに毒されていたことに気づきました。祖母は子宮頸がんでステージⅢaでしたが、緩和ケアはあまりやりませんでした。だから、ガンの闘病生活をあまり知らなくて、この記事で勉強になりました。

では、認知症のイメージは?

認知症が1位になっているということは、このガン以上の悪いイメージを持っている人が多いということでしょう。

やはり、テレビで繰り返し放映されている悲惨で壮絶な認知症介護のイメージが、そうさせているのだと思います。かなり穿った見方をすれば、ガンや脳卒中は早く死ぬ可能性もあるから介護期間が短い、一方の認知症は介護期間が長いから、面倒をみる子どもの立場としては大変・・・推測でしかありませんが、そういう発想もあるのかもしれません。

112人への調査ですし、気にすることはないのかもしれませんが、あまりに「認知症」へのイメージが悪すぎてショックでした。もちろん大変な介護もありますが、うちのようにしれっとやっていける認知症介護もあるのです!しかし、こういった話はほとんどメディアには載りません・・・情報が偏り過ぎているので、少しでも中和すべく、こうやって本やブログで違う介護もあると書いております。

麻央さんのニュースに対する認知症の母の反応

毎日放送される麻央さんのニュースを見るたびに、認知症の母はこう言います。

かわいそう・・・

わたしもそう思いますが、「かわいそう」といっても事実は変わりません。麻央さんのブログを書きたい、ブログで伝えたいという気持ちは、間違いなく生きるエネルギーに変換されていたはずで、明日も生きよう、明日もブログで伝えようと、きっと生きる支えにもなっていたと思っています。改めて、ブログの力のすごさを感じました。

しかし・・・母は、こうも言います。

なんで病院に早く行かなかったのかしらね。ところでお姉さんなの、妹なの?
くどひろ
若い人はガンの進行が早いから、気づいた時にはね・・・。妹だよ、妹。
じゃぁ、お姉さんが海老蔵さんと結婚して、子どもの面倒を見るのかしらね
くどひろ
じゃあ、質問!自分の妹が亡くなって、その旦那さんと結婚する?で、子育てもする?やらないでしょー?
そう言われると、しないかもね。

一旦は納得しても、やはり母はこの会話を忘れてしまいます。

このターンを毎日毎日、何十回もやったのですが、報道はまだ終わらないので「かわいそう」と言います。麻央さんから何かを得て前に進みたいわたしを、後ろに引きずり戻す母・・・この攻防は、しばらく続きそうです(笑)

にしても、「認知症」に対するイメージがネガティブ過ぎますよね。この極端なイメージを、なんとかしたいなぁ・・もちろん大変なこともあるけど、そこまで悪くもないですよ。

今日もしれっと、しれっと。


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【わたしの書いた最新刊】
東京と岩手の遠距離介護を、在宅で11年以上続けられている理由のひとつが道具です。介護者の皆さんがもっとラクできる環境を整え、同時に親の自立を実現するために何ができるかを実践するための本を書きました。図表とカラーで分かりやすく仕上げました。

1件のコメント

こんにちは。

認知症のイメージは、私の廻りでは「何も解らなくなる(バカになると言う感じ)可哀想な病気」と言う捉え方が多いように思います。
子育てに例えれば、だんだんお利口になって自立する子供は先の見通しが立ちますが、認知症は逆行するように徐々に何も出来なくなり、基本的には改善が見込めないと言われているので、多くの介護者にとり(面倒)な病かもしれません。

若年性認知症の方を介護する知り合いに「普通の会話が成り立たないのに二人きりで居る生活に耐えられない」と言う方がおります。
診断されてから1年で、電話は掛けられない、2年では道も解らない、4年目の現在は調理も無論無理で、半年前に一度失禁した事を切っ掛けに今では全日オムツの生活です。

しかし、関わりを多く持つようにさせて頂いて解った事は、診断直後は電話が掛けられた、道も覚えていた、調理も取り組もうとするが失敗した時に後始末が面倒とさせない、失禁後は片付けが大変でトイレ誘導をせずにオムツを充てる事にした、と言う介護の経過でした。

介護者の都合で全てを奪われる、介護される方の生活ほど、病気を進行させて非人間的な生活は無いなと感じました。
私(介護者)といたら笑わない(認知症ご家族が)あなた(自分もてんてこ舞い)が来たら笑ってる「一体何がそんなに可笑しかったんだ」と言われた事もありましたが、認知症の人と話すと考えずに、普通に会話をしただけの事でした。

介護に正解は無いのでしょうけど「どうせ何も解らない人」と言う誤解を取り払って行けるといいなと思います。
今後も、認知症患者さんは増えても、圧倒的に直接の介護者となる方は、少ないわけですから、世間のイメージ・ケアの方策を変える事は大切ですよね。

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ABOUT US
工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(81歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて12年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【音声配信Voicyパーソナリティ】『ちょっと気になる?介護のラジオ
【著書】親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか