名著『7つの習慣』から学ぶ時間がないという介護者が考えなければならないたった1つのこと

「時間管理のマトリックス」 って、ご存知ですか?

伝説の自己啓発本で、世界的名著 「7つの習慣」 の中に出てくるものです。これを “強引に” ?「介護者」 に当てはめてみたのが、今回のおはなしです。(そんな事する人、まずいないと思う・・・)

一般的には忙しいサラリーマンが、自分の「目標」を実現するために何を優先すべきか? を考える時に使うものです。企業研修で使われるものですが、これを 介護の世界に持ちこんでみましたよ。

時間管理のマトリックス(本の中にあるもの)

緊急緊急でない
重要第Ⅰ領域

・危機や災害、事故、病気
・締め切り直前のタスク
・クレームへの対応
・直前に迫った会議の資料づくり
第Ⅱ領域

・人間関係づくり
・体力づくり
・スキルアップ(自分を磨くこと)
・準備や計画
・適度な息抜き
重要でない第Ⅲ領域

・無意味な電話やメールへの対応
・突然の来訪への対応
・多くの会議
・無意味な接待やつきあい
・多くの報告書
第Ⅳ領域

・暇つぶし
・長時間、必要以上の息抜き
・だらだらとした電話
・世間話
・その他、無意味な活動

「時間管理のマトリックス」 とは?

上記が一般的な 「時間管理のマトリックス」 です。第Ⅱ領域(重要だけど、緊急でない)を増やす事が大切と言っています。仕事や納期に追われてしまって緊急かつ重要な第Ⅰ領域だらけになってしまったり、それに疲れて第Ⅳ領域に逃げてしまう人がいます。

第Ⅲ領域のように無意味に他人に振り回されてしまって、時間を浪費するビジネスマンもいます。介護職に勤めている人も同様です。多くの人は、第Ⅰ、Ⅲ、Ⅳ領域に時間を費やしているのです。

「1日が25時間だとしたら、増えた1時間で何をしますか?」

こう質問するとほとんどの人が、「読書」 「運動」 「家族と過ごす」 と答えます。これってすべて第Ⅱ領域なんですよね。わたし自身この研修を何回も受けた経験があって、面白いくらいに第Ⅱ領域でみなさん回答するんですよ。(寝るって人も多いですけど、これはダメ)

第Ⅱ領域の時間を増やしたい!と誰もが思っているのに、実行に移すことができない・・・ということなんですが、これを 「介護者」 の場合で、考えてみるとこんな感じになります。

時間管理のマトリックス(介護者編)

緊急緊急でない
重要<第Ⅰ領域>

・薬を飲ませる
・介護施設からの連絡の対応
・近隣へのクレーム対応
・病気・怪我への対応
<第Ⅱ領域>

・エンディングノートの作成
・介護職員の方との関係づくり
・セカンドオピニオン探し
・介護者自身の健康管理
・ケアプランの見直し
・介護者自身が勉強する
・介護費用のシミュレーション
・親家片
重要でない<第Ⅲ領域>

・意味不明な呼び出し
・妄想に対する会話での対応
・何回も繰り返される質問への対応
<第Ⅳ領域>

・現実逃避
・暇つぶし
・長電話
・テレビを見続ける
・待ち時間

介護者の時間管理(タイムマネジメント)なんて、あってないようなもの

確かにそうです。介護される側の動きが予測できないのに、介護者側の時間管理なんてできるわけがない! そう言う方もいるでしょう。わたしが言いたいのは、「意識」の持ち方のことです。

少なくとも第Ⅲ領域、第Ⅳ領域に使っている時間を減らす事はできます。それらを第Ⅱ領域に費やすことで、”根本的な” 問題の解決につなげられることができます。

そこに意識を振り向けないと、ずっと流されっぱなしで介護ストレスはたまる一方です。徘徊する、暴力を振るわれる、妄想がひどい・・・・もーいやだ!と言って、その場その場で対応する毎日が続いていても、第Ⅱ領域の時間を作らないとスパイラルからは脱出できません。

「時間がない!」と考えている介護者の方は、この第Ⅱ領域の時間を作ることをぜひ考えてみてください!エンディングノートを作っておくと、何か起きた時に非常に役に立ちます。緊急ではないけど、重要なことです。

ご自身の健康管理ができていないと、介護される側も不幸です。ウォーキングでもいいし、ちょっとした運動することでリフレッシュできます。なんとなく決めてしまった病院や施設も、実はもっといいところがあるかもしれない・・・すべて緊急ではないけど、重要なんです。

介護者の各領域に当てはまる行動がありましたら、教えてくださいね。ひとりで考えると、こんなマトリックスしかできませんでした・・

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工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(80歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて12年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【音声配信Voicyパーソナリティ】『ちょっと気になる?介護のラジオ
【著書】親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか