認知症の母が名前を書けなくなった日|作業療法士に教わった「サイン」の意味

はっきりしたタイミングは覚えていませんが、認知症が進行した母は自分の名前が書けなくなりました。

母が書いた自分の名前を公開

最初は「あれ?どう書くんだっけ?」と言うので、近くにあるお手本を指して、それを見ながら書いてもらっていました。次第にお手本を見ても字が書けなくなり、最近は自分が書いた「前回のサイン」に似せたような、文字のようなものを書いています。

母が自分の名前を書くタイミングは、ヘルパーさんが訪問記録を書いたあとのサイン、そして訪問リハビリを行ったサイン、この2つくらいです。それ以外の重要書類はすべて、わたしが代筆しています。

最初のころは、まだ名前を書けるという期待があったので、母の書く姿をずっと見ていました。しかし最近は「もう名前は書けない」とわかっているので、書き終えた文字を最後に確認するだけです。

「今日は自分の名前に近い文字が書けたな」とか、「全く何を書いているかわからない」とか、そんな感じで見ています。

実際に母の書いた文字がこちらです。2026年1月に書いたもので、母の名前は公表していないため正解をお伝えできませんが、名字は「工藤」です。どう読んだらいいか、全く見当がつかないですよね?

作業療法士さんのサインの考え方

作業療法士さんの発想が面白いなと思い、最近はわたしもその考えを取り入れています。

どういう発想かというと、決められた枠の中にサインができている=目が見えている と判断するという考え方です。

認知症が進行して、文字が書けなくなるのはしょうがないことです。それよりもペンを正しく持てる、字のようなものがなんとなく書ける、決められた枠内に収まる、このあたりができれば合格とという発想です。

ちなみにお手本を持ってきて、時間をかければそれっぽく名前は書けます。ただ訪問リハビリの時間は、そっちよりも手足を動かして欲しいので、最近は作業療法士さんもわたしも黙って、見つめるだけの時間になっています。

今日もしれっと、しれっと。

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ABOUT US
工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(82歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて14年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【著書】
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