ラジオアナウンサーから学ぶ「認知症介護におけるコトバの大切さ」

IBCラジオ

先日、IBCラジオ(岩手放送)に出演したときに強く思った事です。

わたしは、ブログや本など文章を書く機会がかなり多いです。文章を書くとき、意外と考えながらコトバを選んでいます。例えば、

・漢字とひらがな、カタカナのバランス
・改行のタイミング
・項目の順序

例えばコトバをわざわざカタカナで書いてみたり、ひらがなをちょっと多めにしています。

少しのことで読みやすさは大きく変わりますし、順番を入れ替えただけでも違ってきます。出版した際、編集者の方にちょっと修正してもらっただけで、印象がだいぶ違うという体験を数多くしました。

また書くときは、ブログを読んでくださっているおひとりを想像しています。そのあとで1晩寝かせて、また朝に読んでみる、こうやって1つの記事は完成しています。コトバを大切にしているつもりでしたが、ラジオ出演で自分のレベルの低さを痛感したのです。

ラジオのアナウンサーがすごいところ

IBCアナウンサー村松文代さんと15分ほど、ご一緒させて頂いたわけですが、とにかくすごい!

何がすごいって、リスナーの事を考えながらコトバをこうやって紡いでました。

  1. トーンに変化をつけ
  2. 語尾まではっきり、分かりやすく
  3. 抑揚をつかって、喜怒哀楽を音に乗せ
  4. その場の情景を、コトバだけでリスナーに伝える

プロのアナウンサースキルに圧倒されました。

日常会話って、意外と語尾をおろそかにしているし、ジェスチャーや相手の表情が分かるので、最後までコトバを言わなくても相手に理解してもらえます。

しかし、ラジオはそうはいきません。マイクの前でいくら手を振っても、笑顔を見せてもリスナーには何も伝わりません。すべてはコトバひとつです、コトバだけなんです!!

映像がないので、音や色、感情をコトバだけで表現していきます。リスナーはそのコトバから想像し、自分の世界を作りだしていく・・・ラジオほどコトバを大切にするメディアってないな、そう思いました。

この意識を認知症介護にも

わたしたちはそれほどコトバを意識しないで、認知症の人と接しているのかもしれません。ラジオのアナウンサーのように分かりやすいコトバでもし伝えていたら、もっと理解力が深まるかもしれません。

理解力が落ちている認知症の人に、想像やジェスチャーで補わないといけないような文章で話しかけたりしていませんか?モゴモゴ話して、声が届かないことありませんか?

コトバを扱う仕事をしていながら、日ごろの会話をいかにおそろかにしてきたか・・・村松アナのON AIR中の動作すべてに、感動しっぱなしでした。生声を至近距離で聴いて、本当に分かりやくてクリアでした。

きっとラジオの上手なアナウンサーの方が、認知症の方と接したらすごい効果をもたらすんじゃないかって思いました。

ラジオ出演で間違いなくコトバの扱い方が大きく変わりました、できるかな・・・ふだんから会話を大切にすること。

今日もしれっと、しれっと。


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東京と岩手の遠距離介護を、在宅で11年以上続けられている理由のひとつが道具です。介護者の皆さんがもっとラクできる環境を整え、同時に親の自立を実現するために何ができるかを実践するための本を書きました。図表とカラーで分かりやすく仕上げました。

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ABOUT US
工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(81歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて13年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【音声配信Voicyパーソナリティ】『ちょっと気になる?介護のラジオ
【著書】親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか