介護者は「混合介護」を頭に入れておくと視野が広がりますよ!

混合介護

日本経済新聞に「混合介護を大きく育てよ」という記事がありました。

「混合介護」とは、原則1割負担の介護保険制度の中で受けるサービスと、10割支払う保険外サービスを組み合わせて介護することです。「混合介護」は認められているのですが、厚労省曰く明確に分ける必要があるそう。ちなみに、医療でいうところの、健康保険と自由診療を一緒に行う「混合診療」はダメです。

記事によると、公正取引委員会が「混合介護」をしやすくして欲しいという報告書をまとめたそうです。混合で何ができるかという例が、いくつか示してありました。

原則として事業者が保険内サービスと保険外サービスを同時・一体的に提供することはできない。このため事業者が創意工夫を発揮できなくなっている、と公取委は問題視した。たとえば、介護職員は保険内サービスとして要介護者向けに食事をつくるのと同時に、帰宅が遅くなる同居家族向けの食事も用意するといったことができない。また、利用者に特定の介護職員によるサービスを求められても、指名料をとることもできない。
引用元:http://www.nikkei.com/article/DGXKZO06913020W6A900C1EA1000/

この例だと、要介護者と介護者は同じ料理を食べるのだから、別料金を払ってでもヘルパーさんに作ってもらいたいとふつう考えますが、できません。介護職員の指名制も、もしあったらわたしは利用します。

母の歴代ヘルパーさんは、4年で7人。母も好きなヘルパーさんがいるわけで、できればその人を指名したいです。でも、ケアプランで決まった、シフトが合うヘルパーさんが派遣されて来ます。うちは多少わがままを言っていて、できるだけ同じヘルパーさんをお願いしているので、ここ2年くらいは固定です。変わる都度、母が混乱するためです。

指名制でヘルパーさんの待遇が改善されるなら、モチベーションも上がりますよね。記事にも、こうあります。

結果として民間の力で介護職員の賃金を上げ、人材の定着により介護人材の不足を緩和しやすくなる。事業者の活発な競争を通じてサービスの質は向上し、利用者の利便性も増すだろう。
引用元:http://www.nikkei.com/article/DGXKZO06913020W6A900C1EA1000/

介護保険制度の中で、職員の処遇改善を!という声が多いのですが、税金を増やしたり、他から予算を持ってきて処遇を改善するしかありません。もし「混合介護」がもっと広がれば、介護家族も職員さんもハッピーになるという考えもあります。

料理の話も、指名制もひとつの例ですが、「混合介護」という発想を介護者は頭に入れておくべきです!地域包括からケアマネまで、みんな介護保険制度の傘の下で動いているので、介護者は保険外に目がいかないんですよね。

ある介護者は、こう言ってました。

介護者
わたしは施設には入れたくない。自宅で介護がしたいけど、介護保険制度の枠の中ではずっと家に居てもらえない。それで個人で契約して、長い時間家に居てもらうよう契約をした

すべて介護保険制度の中でしか考えていなかったわたしは、目からウロコでした。お金はかかっても、その手があったかと。

うちは、「雪かき」を居宅介護支援事業所と保険外の契約を結びました。母は手足が不自由なのに、氷点下の極寒の外に薄着で飛び出して、雪かきをします。風邪をひくし、転倒して骨折されると困るので契約したのですが、母が自分で電話できないのと、すぐ来てくださるわけではないので、1回も使っていません。

介護が始まった最初は介護保険制度で考えるのは当然かもしれませんが、制度でどうにもならなかったり、自分の時間を作りたい、仕事を優先したいと思ったら、介護保険外のサービスも考えてみると、視野が広がると思います。

今日もしれっと、しれっと。


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東京と岩手の遠距離介護を、在宅で11年以上続けられている理由のひとつが道具です。介護者の皆さんがもっとラクできる環境を整え、同時に親の自立を実現するために何ができるかを実践するための本を書きました。図表とカラーで分かりやすく仕上げました。

2件のコメント

こんにちは!初めてブログを読ませて頂きました。母の介護を遠距離でしながら、自殺をしたくなるほど疲れてしまった当時を思い出し、そのころに、こんな情報がやりとりできていたら・・・としみじみ思いました。現在は92の父が姉の自宅近くの老健で生活しながら今後について考える時期に来ました。その矢先、持病のぜんそくが発症。自宅に早く戻してあげた方がいいのではないかと悩んでいます。ただ、遠距離であることと仕事を抱えていること、様々な理由で、殆どを独居で過ごす父をどうフォローすべきかのアイデアが浮かびませんでした。正直、東京へ出るたびに、一人でフリーカメラマンとして頑張る主人に負担がかかり、保護された犬の飼養も手がかかります。なんでもかんでも・・・もは、結果自分に負担がかかり、疲労が抜けない・・・という繰り返しでした。幸い母の時はほとんど介護に携わらなかった姉が、現在練習中で、施設のやりとりは一人でこなしてくれています。頑張りすぎないよう、二人で分担しながら父の希望である在宅に戻すことがいいのか・・・工藤さんのブログやコメントを見て、参考にさせて頂きたいと思います。長々失礼しました。情報ありがとうございます!!また、読みに参ります!

みかんこさま

ブログ読んで頂き、ありがとうございます!

うちは母が在宅希望ですので、かかりつけ医(訪問診療できる)と相談してどこまで在宅でいけるかチャレンジしています。といっても、まだ73歳ですので、当分先のような気もしていますし、急にどうなるか分からない歳でもあります。うちもいい感じで妹と分担ができています。

気軽にお立ち寄りください!

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工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(81歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて13年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【音声配信Voicyパーソナリティ】『ちょっと気になる?介護のラジオ
【著書】親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか