全く想定外だったポータブルトイレ設置後の弊害

先日、実家にポータブルトイレを設置した記事を書きました。

失禁掃除やまくらの洗濯に翻弄されなくなり、掃除時間が軽減して喜んでいたところに、全く想定していなかった弊害が増えました。まさか、こんなことになるとは!

トイレットペーパー祭りが始まる

改めて、寝室のポータブルトイレの写真を見てください。

ポータブルトイレの左側に、トイレットペーパーホルダーがついています。おかげで認知症の母は、トイレを認識できるので助かっていたのですが、一方で眠れる獅子を起こしてしまったのです。

尿パッドを使うようになる前、母はトイレットペーパーを折ってパッドとして使っていました。そのトイレットペーパーを捨てるのを忘れ、わたしや母が何度も洗濯してしまって、紙くずと格闘する日々でした。

せっかく何年もかけて尿パッドへの移行に成功したのに、目の前にトイレットペーパーが出現。忘れていたトイレットペーパーの習慣が戻り、再びパッド代わりとして使い始めたのです。

さらにこれだけでは終わりませんでした。

それティッシュペーパーじゃない?

ある日の朝のこと。

お化粧をする母の手に、トイレットペーパーがありました。濡れた顔を拭いているので、トイレットペーパーが溶け、ポロポロとテーブルの上に紙くずが落ちているではありませんか!

以前から化粧するときはティッシュを使うこともありましたが、それもトイレットペーパーに置き換わってしまったのです。

ティッシュペーパーがあるから、こっちを使って欲しいと言ってみましたが、母は、トイレットペーパーとティッシュペーパーの違いが分かりません。何せフェイスタオルと食器拭きと台拭きと手拭きを共用する母なので、タオルの使い分けができない母には、紙の違いも分かりません。

トイレットペーパーで顔を拭き、尿パッドに使い、ちょっとした拭き掃除にも使う。しかも紙が溶けて、ポロポロと床に落ちる。最近、紙くずが落ちているなぁと思っていたら、原因はこれでした。

キレイ好きな母は、自分で紙くずを拾うので自己完結できていいのですが、それでもトイレットペーパー祭りが始まってしまったのは、ショックでした。

一緒に生活していれば止められますが、遠距離介護ではどうすることもできません。ここは解釈を変え、トイレットペーパーを使う → 紙くずが床に落ちる → 椅子などに捕まりながら拾う この行動自体がリハビリになるので、新しいリハビリメニューを自分で開発したぐらいに考えます。

わたしが取った対応策は、トイレットペーパーを必要以上に寝室に置かないこと。トイレットペーパー祭りが家中で始まるのを防ぐため、ストックは母の見えないところに置いています。根本的な解決にはなっていませんが、寝室の尿掃除をするよりはましかなと思ってます。

音声配信voicyの最新回は、認知症テストを受けるときにわたしがやっていることについてです。

今日もしれっと、しれっと。


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2件のコメント

こんにちは。いつも配信ありがとうございます。
ブログで紹介されることはたくさん参考にさせてもらっています。
今日はラジオへのコメントです。

毎回ちゃんと認知症テストを受けられているのですね。
うちの義母は初診時に何とか受けましたが、2回目以降は「私をバカにしてんの⁉ 歳取ったら誰でもこうなる‼」と激しく拒否し、テストができません。画像検査すらも激しく拒否。病院から勝手に帰ろうとして私や職員さんを慌てさせる強者です。
長谷川スケールの考案者、長谷川先生と同じ嗜銀顆粒性認知症ではないかと言われています。このタイプは特に易怒性が強いようで、何かのスイッチが入ると即大爆発します。
テストを受けてから5年経ちます。テストをしなくても進んでいることはわかりますし、日々の生活には点数は関係ないですね。

病院でのテストに限らず、介護認定調査の時も同じように拒否するようになってきて、私から認定員への細かな情報提供は必須です。
ヘルパーさんからは「認知症の人は山を越えるとすごく素直になってこちらに全て委ねてくれるので楽になります」と聞きましたが、アルツハイマーに比べて嗜銀顆粒性認知症は進行が非常に緩徐なので、まだまだその域には達しません。

この先もくどひろさんのブログも参考にしながらボチボチやっていこうと思います。

おじゃるんさま

voicyへのコメント、ありがとうございます!

テストを受けてもらえないときピック病の方が多いと思っていたのですが、高齢者タウオパチー(嗜銀顆粒性認知症含む)と診断される方も多くなっていますよね。
アルツハイマー型認知症なら確かにヘルパーさんの言う通りだと思うのですが、こちらで診断された方の情報はわたしもそんなに持ってないです。

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ABOUT US
工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(81歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて13年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【音声配信Voicyパーソナリティ】『ちょっと気になる?介護のラジオ
【著書】親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか