1/18新刊 重版決定!

認知症の母にリハパンの場所を知らせる工夫とその理由

2023年から母の下着は常時リハパンに変わり、介護がラクになると思ってました。ところが母が想定外の使い方をするため、かえって介護が大変になった話を書きました。

特に対策が必要になったのが、夜間の失禁です。

夜間のトイレは、1回の日もあれば、2回、3回の日もあります。それなのに母のイヤな習慣があって、寝る直前に水をコップで1杯、グビッって飲みます。その後台所の水滴を拭きとって、冷蔵庫の中を整理。さっき飲んだことを忘れ、また水を飲みます。

なぜか寝る直前に飲むので、わたしが居るときは2回目で止める日もありますが、時には3杯飲んじゃう日も。こうなると夜間のトイレの回数は増えます。

さらに過食もあり、朝にわたしが布団をあげると、なぜか布団の中からパックジュースが現れる日もあります。とにかく、1番飲んで欲しくないタイミングで、飲料を飲んでしまうのです。

前回の記事で、1回目の失禁でリハパンを脱ぎ捨てたあとが最も大変と書きました。汚れたリハパンを自分で脱ぎ、それを布団の下に隠して寝ます。新しいリハパンを自分で履いてくれればいいのですが、残念ながらノーパンで寝てしまいます。

それで失禁すると何の防御もないので、防水シーツなんて簡単に突破して、毛布や電気毛布、掛布団まで被害が拡大する日もありました。今年の年初の10日のうち、半分でこの問題が発生。わたしやヘルパーさんの介護負荷を考えると、早急に対策を打たなくてはなりません。

対策を打つ前に、なぜ母がリハパンを履いてくれないかを考えるところから始めました。

ノーパンで失禁する理由

母が新しいリハパンを履かない理由は、おそらくこの2つです。

  1. 夜間で寝ぼけているうえに認知症なので、リハパンの場所が分からない
  2. 小さくたたんであるリハパンは、パンツの形をしてないので認識できない

タンスにあった布製の失禁パンツを撤収し、小さく折りたたんだリハパンをタンスに入れました。すると母が、いつものパンツがないと言ったのです。畳んだリハパンがパンツと伝えましたが、最初で分からなければ、この先も分からない確率が高いです。

そこでタンスの中でリハパンを広げて、いかにもパンツっぽい形で保管するるようにしたところ、母が自分でパンツを履いてくれるようになったのです。これで②の問題は解決。

あとは①の問題を解決すれば、1回失禁しても、2回目にリハパンを履いてくれるようになり、そこで失禁すれば被害は小さくなります。

寝室の照明問題も寒さ対策も解決しているので、あとは母が夜間に起きたときに自分ですぐリハパンを見つけられるような仕掛けだけを作ればいい!そう考えて、こんな方法にしました。

Amazonでアイリスオーヤマの細い棚を買う

母が寝ぼけているとタンスの中のリハパンに気づかないようなので、目が覚めてすぐ分かるようにするために、Amazonでアイリスオーヤマの2000円の細い棚を買いました。

なぜこのサイズにしたかというと、リハパンを広げたときにちょうど棚に収まるくらいだったからです。棚を2段か3段かで悩んだのですが、毎朝わたしはポータブルトイレの袋交換の介護があります。

ビニールの手袋をしてトイレクイックルで掃除を行ったあと、マットレスの下によく隠してある汚れたリハパンを捨てて、マットレスに消臭スプレーをします。

以前は他の部屋にビニール手袋やトイレクイックルがあったので取りに行ってましたが、同じ部屋にあったほうが効率がいいし、ヘルパーさんの時間短縮にもなるので、3段の棚にセットしました。実際にセットした写真がこちら。

上段リハパン、中段トイレクイックル、下段ポータブルトイレ処理袋

棚の右の椅子のようなものは、福祉用具の手すりです。母の立ち上がりのために設置してありますが、細い棚が倒れないよう手すりでも支えています。

ちなみにじゅうたん用のコロコロは、母がポータブルトイレのトイレットペーパーを股にあてる習慣があって、それで寝室中紙のカスが落ちまくっているので使ってます。パッドのように使う認知症の方いますからね。こちらの記事もどうぞ。

母の様子を確認する

いつものことですが、正直うまくいくかはやってみないと分かりません。今回の出費は2000円くらいだったので、失敗してもいいかなくらいの気持ちでやりました。

結論からいうと、うまくいきました。母はすぐ新しいリハパンを見つけるようになって、1回目の失禁のあと自分でリハパンを履くようになり、朝の失禁処理がだいぶラクになりました。ちなみに棚を設置するまでの間、枕元にリハパンを1枚置くようにしてました。

でも遠距離介護なので、わたしが常に居るわけではありません。自分の力でリハパンを見つけ、履いてもらわないといけないので、棚の設置となったのです。

解決したと思ったら、1つ大きな問題が。リハパンが常に見えるようになってから、母がリハパンをタンスに片づけるようになったのです。誰かお客さんが来るという理由で。(もちろん来客はありません)

リハパンを片づけると、またノーパン失禁が始まりました。なので棚にリハパンがセットしてある状態が母の記憶の中で当たり前になるよう、タンスのリハパンをこの棚に戻す争いを1か月ほど続けています。

ヘルパーさんにも、棚にリハパンがないと次の人の仕事が増えるとお伝えして、何とかキープできています。防水シーツとリハパンだけで、失禁問題がすべて解決するわけではないですね。ちなみに2回吸収できるリハパンも試しましたが、気持ち悪いのか1回で脱いでしまいますね。

音声配信voicyの最新回は、講演会の配布資料の扱い方の話と看護師の市村さんの新刊の書評のリンク先も貼ってます↓

今日もしれっと、しれっと。


 


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東京と岩手の遠距離「在宅」介護を、10年以上続けられている理由のひとつが道具です。わたしが使ってきた道具を中心に、介護保険の杖や介護ベッドなど福祉用具も含め、介護者の皆さんがラクになる環境を実現するための本になっています。図表とカラーで分かりやすく仕上げました。

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ABOUT US
工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。岩手にいる認知症&難病(CMT病)の母(79歳・要介護3)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて11年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。Voicyパーソナリティ『ちょっと気になる?介護のラジオ』。認知症ライフパートナー2級、認知症介助士。
【著書】親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか