11/17新刊発売、12/13出版イベント開催!

母の死を強烈に意識したある朝のできごと

音声配信で2回に分けて話すほど、先週の遠距離介護は本当にやばかった。何が起きたのかを、文字でも残しておこうと思う。

12月2日:盛岡の実家に到着

東京から東北新幹線に乗って約5時間かけて、盛岡に到着。途中買い物を済ませ、実家に到着後は何度も洗濯をして、デイサービスから帰ってくる母を待った。帰宅した母は、若干鼻声。気にはなったものの、夕ご飯を食べてそのまま就寝。

わたしは移動疲れもあり、爆睡。すると朝4時に、1階からガタガタと音が。クマでも出たのかと思ったら、母だった。

見守りカメラの映像を確認すると、2時間寝た母が布団から出て、暖房のついていない居間や客間へ移動して寝ていた。たまに夜中にウロウロするのだが、岩手の冬はとても寒い。その結果、母の鼻風邪は悪化、咳も加わることとなった。

12月3日:訪問歯科

母の鼻風邪と咳はそこまでひどくなかったので、予定どおり訪問歯科をお願いした。先生に状況を伝え大丈夫と判断されたので、下の歯の抜歯を2本行う。母の歯が抜かれるところを、興味深く観察した。

自分が実家にいる間に風邪を治して欲しいと思ったので、近くのドラッグストアで鼻水と咳が止まる市販薬を購入し、飲ませた。母のおくすり手帳を持って行ったが、レジ待ちの列ができてしまい薬剤師さんとあまり話せず、ヌルっと購入。

午後は訪問リハビリ、血圧の上が98と低い。前日のデイの記録も血圧が低く、シャワー浴にしたと書いてあった。母の風邪がうつると来週の出版記念イベントに影響するので、わたしは家の中でマスクをして生活するようにした。

12月4日:ラジオ出演とデイサービスの日

12月4日は新刊販促のためラジオ出演があり、母はデイサービスへ行く日。

雪がうっすら積もっていたので、バスの渋滞が予想された。早めに出ようと思って、朝6時40分に母を起こす。しかし反応がない。10分後にまた起こそうと思って、先に朝食の準備。6時50分、母を起こすもやっぱり反応がない。

声を掛けたり、体を揺さぶったりしてもダメ。指を鼻の下にあてると、呼吸はしている。でも不自然に舌を出しているし、昨日の抜歯の影響で口の周りに血が付着。10分間、声を掛け続けても全く起きてくれない。いつもと違う、これは24時間の訪問看護に頼るしかない!

すぐ電話をしたが、早朝だからかつながらない。これはもう、ラジオ出演はムリかもしれない。担当者にメッセージを入力したが、送信は止めた。訪問看護師さんが来たら、母が起きてラジオ出演できるかもしれないと思ったから。

同時にデイサービスへメール連絡。鼻声で咳が出るけど、行っていいかと。2件のメッセージの入力が終わり、再度母に声を掛けたり、体を揺さぶったりしたが反応がない。母を起こし始めて、すでに30分が経過。訪問看護から、折り返しの電話がない。

たまらず2回目の電話、しかしまた留守電。これで40分、母は起きてくれない。13年の介護の中で、最もやばい瞬間と認識。するとデイからメッセージが帰ってきて、今日はお休みにしましょうと。インフルが流行っているし、やむを得ない。

母にデイに行ってもらっている間にラジオに出るつもりだったが、母を家に置いてラジオに出演するしかない。ラジオは15分程度だし、すぐに帰ってくればいい。それよりも母が起きなければ、ラジオどころではない。

再び指を鼻の下にあてると呼吸はしている、しかし舌は出たまま。人が死ぬ前って、どんな感じだったかなと祖母のときを思い出しながら、ネット検索をした。ドキドキが止まらない中、再度母に声を掛けると目が開き、反応して起き上がった。

「よかったー、生きてたー!」

呼吸しているから生きているのだけど、40分も起きないと死ぬ直前なのかと思ってしまった。不自然に舌を出し、口の周りは血だらけだから、恐怖心は倍増。

これでラジオ出演はできそう、メッセージを送信しなくてよかった。すると訪問看護から電話が来た。気が動転していて、名乗るのを忘れたほど。

「解決しました、大丈夫です!」

朝食はパンと牛乳のみにして、母を居間のコタツに座らせた。すぐバスに乗って、放送局へ移動しラジオに出演したものの、朝の疲れのせいか、ONAIR中にのどが急におかしくなって、言葉が出なくなった。岩手のリスナーの皆さんごめんなさい、実は朝にこんなことがあったんです。

母がなかなか起きなかった理由

母がなかなか起きなかった原因は、おそらくわたしが買った市販薬が効きすぎてしまったからだろう。訪問薬剤師さんがインフルエンザで、いつもなら薬を買う前に質問するところだが、今回は薬局でさっくり買ってしまったのがまずかった。

後日、薬剤師さんに市販薬の成分をみてもらった。確かに眠くなる成分は入っていると。市販薬は1日で止め、それ以降は母にはちみつをひたすら舐めてもらって、何とか鼻風邪も咳もおさまってくれて、無事帰京できた。ケアマネさんに帰京を延期するか、相談したほどだ。

13日(土)の出版記念イベントは中止しないといけないとか、葬儀屋の電話番号はとかもう、いろいろ考えすぎてしまって、疲れてしまった。勝手に母が生き返ったと思っているわたしは最近、ものすごく優しく介護ができている。

同じ話を何回もしようが、失禁を繰り返そうが、いいよいいよと。生きてるだけでありがたい、そう思えている。たぶん長続きはしないだろうけど。

わたしは母の風邪を若干もらってしまったのと精神的ダメージで、帰京後は体力の回復に努めている。だいぶ元気になって、13日のイベントも大丈夫そう。

今日もしれっと、しれっと。

2025.12.13(土) 出版記念イベント開催!

11/17(月)『工藤さんが教える 遠距離介護73のヒント』(翔泳社)の発売を記念して、12/13(土)朝10時から、東京・品川にあるフラヌール書店(不動前駅)とオンラインのハイブリットで出版記念イベントを行います。ブログや音声配信では絶対に話せないリアルな介護の話を、たくさんします。オンライン参加は顔出し不要、匿名参加OKです。気軽にご参加ください!

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【2025/11/17発売の最新刊】
「工藤さんが教える 遠距離介護73のヒント」(翔泳社)
遠距離介護歴13年以上で、2013年から遠距離介護ブログを運営してきたわたしが、これまでの情報を基に、遠距離介護の定番となる本を目指して書きました!遠距離介護が始まるかもしれないと不安に感じている人や現在遠距離介護中の方に向けた実用書です。

 

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ABOUT US
工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(82歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて14年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【著書】
工藤さんが教える 遠距離介護73のヒント(翔泳社)、老いた親の様子に「アレ?」と思ったら(PHP研究所)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか

【音声配信Voicyパーソナリティ】
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