アルツハイマー型認知症の母がピックっぽさを出す危険な包丁の扱い方

包丁研ぎ

まずは、4年前の記事のご紹介から。

認知症の母が包丁の刃の部分でコップを叩き、半年で10個ほどコップを壊す事件が発生しました。当時の写真と記事がこちらになります。

認知症 問題行動 困った
母が包丁でコップを叩き、飲み口が欠けた
認知症 問題行動 困った

この記事にコメントを頂いた医師からは、ピック病の症状である常同行動(意味もなく同じ行動を何度も繰り返す)、ブログ読者の方からはコップで包丁を研いでいるのでは?というご意見が寄せられました。

あれから4年が経った今は、コップは叩いていません。その代わり、今度は包丁でまな板を叩くようになりました。包丁でまな板を叩く=野菜を切っている ではなく、食材がない状態のまな板を、母は意味なく叩いています。

1階の台所で叩くまな板の音が、2階にいるわたしのところまで聞こえるほどです。最初は熱心に料理している母を想像していたのですが、見守りカメラで1階の台所の様子を見たら、母は何も切らず、前を向いたまま、包丁でまな板を叩いているだけでした。

母は現在、アルツハイマー型認知症と診断されていますが、当初はこうした常同行動の多さ、時間をしっかり守るなど、ピックっぽさもあって、ピック病と診断されていたこともあります。

ニトリの包丁研ぎ

新型コロナウイルスの影響で3か月ぶりに実家へ帰ってきた際、理学療法士さんからこう言われました。

理学療法士さん
息子さん、包丁がとにかく切れないので、包丁を研いでほしいです。

身体的なリハビリに加え、作業療法士の領域である料理もカバーしてもらっているので、こういった提案を頂きました。早速ニトリへ行って、簡易シャープナーという包丁研ぎ機(500円くらい?)を購入し、包丁を研ぎました。

包丁研ぎ
ニトリで買った簡易シャープナー

本当は新しい包丁を買ってもいいのですが、フライ返しを変えただけでとまどう母が、主力の包丁まで変えてしまったらきっと、パニックになるだろうと思って、何十年も使っている包丁を研ぐことにしたのです。

実は以前、母は包丁で指を深く切り、医療・介護職の方も見つけられずに、外科へ連れて行ったことがあります。そのため、あまり切れない包丁でもいいかなと実は思っていて、わたしも積極的に包丁を研いでいませんでした。

ところが、認知症の母の料理のレパートリーが減っていく今、わたしが台所で料理をする機会が増えました。包丁が切れないなと思う瞬間は、ネギを切ったときです。ネギが、どうしてもつながってしまうのです。

ニトリの包丁研ぎを使ったところ、ネギが切れるようになりました!

結局、包丁が切れなくなるのは、母が意味なく包丁でまな板を叩く常同行動によるものなので、しばらくしたらまた包丁は切れなくなると思います。こだわりは時間が経過すればなくなると言われているのですが、うちの母は、こだわりがなかなか消えないタイプです。

トントントントントン、今日も何も切ってない包丁の音が響いております。

今日もしれっと、しれっと。


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東京と岩手の遠距離介護を、在宅で11年以上続けられている理由のひとつが道具です。介護者の皆さんがもっとラクできる環境を整え、同時に親の自立を実現するために何ができるかを実践するための本を書きました。図表とカラーで分かりやすく仕上げました。

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ABOUT US
工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(80歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて12年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【音声配信Voicyパーソナリティ】『ちょっと気になる?介護のラジオ
【著書】親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか