認知症の母がほつれた糸を気にするので

認知症が重度まで進行してからの母は、細かいものに執着するようになりました。

たとえば置き型手すりの土台を覆うカーペットの糸くずを、30分以上なくなるまで取り続けるとか、足ふきマットのほつれが気になってはさみでどんどん切っていたら、マットが小さくなっていって、ハンドタオルくらいの大きさになったとかそんな感じです。

その日は、わたしが作った朝食を母が食べていたのですが、どうにも食事に集中してくれません。母の足元を見ると?

ズボンがほつれていた

母はズボンのほつれが気になったようで、ほつれた部分の糸を引っ張っていました。10cmくらいの糸が2本になったところでこれはまずいと思って、わたしがハサミでほつれた糸をカットして、朝食を食べ終わりました。

しばらくして昼になると、母はまたほつれた糸を引っ張り始めたので、わたしがハサミでカットしました。しかし昼食を食べ終わったあとも、再びほつれた糸を引っ張るので、

くどひろ

ちょっと! そんなに糸引っ張ったら、ズボンに穴開くでしょ!

何が! これでいいの!

注意したとて、母はわたしの言うことなんて聞きません。いつまでも糸を引っ張り続けてしまい、ズボンの穴はどんどん大きくなっていきました。

ほつれた糸を切ってもどんどん引っ張る母

他のズボンに履き替えてもらおうと思ったときには、もうズボンにしっかり穴が開いていましたし、わたしは裁縫が嫌いなので、割と新しいズボンだったのですが廃棄してしまいました。穴をふさいでも、その部分を気にするので。

ほつれた服の対策

糸がほつれたズボンはハサミで都度カットするか、前後どちらの向きでも履いてもいいズボンは、ほつれた糸をお尻のほうにするなどして対策してきましたが、遠距離介護なので完璧には対応できません。

ほつれが気になる母を止めることはできないし、母のお金でズボンを買っているのでこれでいいやと思うところもあるのですが、穴があくまで糸は引っ張って欲しくないですね。

今日もしれっと、しれっと。


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東京と岩手の遠距離介護を、在宅で11年以上続けられている理由のひとつが道具です。介護者の皆さんがもっとラクできる環境を整え、同時に親の自立を実現するために何ができるかを実践するための本を書きました。図表とカラーで分かりやすく仕上げました。

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ABOUT US
工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(81歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて13年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【音声配信Voicyパーソナリティ】『ちょっと気になる?介護のラジオ
【著書】親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか