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自分のやってきた仕事に年号を振れるかどうか?

先日、関ジャムに松田聖子さんが出ていた。

自らの音楽と作詞作曲の秘密について語っていたのだが、そういった機会が今までなかったらしく、とても新鮮な回だった。

当時の楽曲にまつわるエピソードをスラスラと話す姿を見て、こういう仕事の振り返りができる人って、自分の仕事に誇りをもって、しかも天職なんだろうなと思った。

会社員時代、いろいろな仕事に携わってきた。

仕事を振り返るとき、A社に在籍していたとか、役職はマネージャーだったとか、年収はこれくらいだったとか、こんなメンバーと働いていたという言い方に、どうしてもなってしまう。

自分中心で仕事を語るのではなく、あくまで会社を軸にして仕事を語ってしまうのだ。

2000年にこんな仕事をしていたとか、2010年にこんな仕事をしていたといった、聖子さん的なイキイキエピソードトークができない。

ところが2012年にはじまった祖母と母の介護のおかげで、状況は一変した。フリーランスになってからは、どんな仕事をしてきたか鮮明に覚えている。

特に書籍を出し始めた2015年以降は、聖子さんほどではないけど、それぞれの作品にまつわるエピソードがあり、こんな取材を受けたとか、こんな感想をもらったとか、話し出したらとまらなくなる。

ひょっとしたら仕事のやりがいって、社名抜きで自分のやってきた仕事をイキイキと語れるか、自分の仕事に年号を振れるくらい思い出せるかなのかもしれないと思った。

早く家に帰りたい、こんな会社早く辞めたい、あんな上司とは同じ空気を吸いたくない、給料が安すぎる、年齢的に転職は厳しいから今の職場で逃げきるしかないと思いながら仕事をしていれば、そんなエピソードは残念ながら出てこない。

人にイヤイヤやらされる仕事ではなく、自らが進んで決めてやった仕事であれば、記憶にも残りやすいはず。

2019年にこんな仕事をやって、2020年にこんな仕事をやった。2021年にはこんな仕事を待っている。そんなふうに自分の仕事を年表のように語れると、人生楽しいと思う。

工藤広伸 プロフィール
会社が軸なのではなく、あくまで自分自身を軸に仕事を語れるかどうか。そんな仕事ができている人はきっと、介護もうまく回っているような気がする。

今日もしれっと、しれっと。


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ABOUT US
工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(81歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて13年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【著書】
老いた親の様子に「アレ?」と思ったら(PHP研究所)、親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか

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