街によくある怪しげな「自然食品のお店」が社会貢献していると思ったワケ

自然食品 怪しい

先日、20人くらいのお年寄りの団体を見かけました。

なんだろ、みんな笑いながらこっちに向かってくる・・・・奥を見ると、なるほど!よくある怪しげな「自然食品」のお店があったのです。

無料サンプルを配ったり、自然食品を売ったり・・・スタンプカードを作って、来場回数を管理したり。スーパーの片隅で、マッサージをしながら、講師のような人がお話をしている場合もありますよね。お年寄り同士で声掛けをして、近所に口コミで広がっていくあの商法です。

亡くなった祖母が70代のころ、30万の羽毛ふとんを買わされて、母がえらく怒っていたことを思い出します。読者の皆さんも、どこか怪しげと考えている人が多いのではないでしょうか?

わたしもそう思っているのですが、ちょ、待てよ?と思ったわけです。

これって地域のコミュ二ティ?

祖母が買った、30万もする羽毛ぶとん・・・

家族から見れば、そんなものに30万も出して!って思います。今でも、なんじゃあれ?って正直思います。

しかし祖母は、そのお店に足しげく通い、ご近所の方と友達になって、講師らしき人とも距離を縮めて、30万払ってもいいっていう気持ちになったわけです。

月15万のグループホームで換算すれば、2か月分。ホームで2か月過ごしてもらいたいか、自然食品のお店に2か月通ってほしいかって考えると、自然食品・・・そう考えてしまったんです。

素晴らしい介護施設だったら前者なんですけど、これからどこかに入所してもらう状態(いいかどうかも分からない)で2択を迫られたら、自然食品を選んでしまいます。

あのカタチが正しいのかどうかは微妙だし、必要のない高額なものを買わされるのはイヤ。30万どころか、もっと払う可能性もあります。

でも、社会との接点が減って時間を持て余している方が、ひとつの役割を見つけたわけです。ひょっとしたら、認知症の予防にもなっているし、お店まで歩くことで筋力強化にもなっています。モノを買うという行為、友人に会いに行く、講師の話を聞く、どれも社会との接点を感じます。高額なものさえ買わなければ、必要コストとも考えられます。

病院に必要以上に通うお年寄りが、国の社会保障費を増大させているとよく言われますよね。それが1本1000円の健康ジュースで済むと考えれば、社会保障費も抑制されます、かなりな極論ですが。

長い間イヤなものと思ってきたから、常識の枠を外すことができないでいますが、あのお年寄りの笑顔を見た瞬間に、こんなことが頭をよぎるんですよ・・・ブログを更新し続けると、こんな頭になります(笑)

2016年でも、あの商売はあります。続いているということは、法に触れるものでもなく、うまく運営しているんでしょうね。

お年寄りの皆さんが、そりゃもう笑顔なわけです。今までは、あんな店がなぜ存在するんだろ?としか思ってなかったんですけど、社会貢献にも見えてしまいました。お店に行って、集まって、買い物して、みんなで笑って・・・・あそこに母がいたらなぁという、あの光景への憧れかもしれません。

今日もしれっと、しれっと。


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東京と岩手の遠距離介護を、在宅で11年以上続けられている理由のひとつが道具です。介護者の皆さんがもっとラクできる環境を整え、同時に親の自立を実現するために何ができるかを実践するための本を書きました。図表とカラーで分かりやすく仕上げました。

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工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(81歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて13年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【音声配信Voicyパーソナリティ】『ちょっと気になる?介護のラジオ
【著書】親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか