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コロナの影響を1年受けたあとで行った母の認知症テストの結果

これまでの母の認知症介護や治療について、箇条書きで振り返る。

  • 昭和18年生まれの77歳
  • アルツハイマー型認知症(発症はおそらく2011年頃で、10年経過)
  • 手足の筋肉が萎縮するシャルコー・マリー・トゥース病(中学生くらいから)
  • 要支援1→要介護1→要介護2(現在は訪問介護・看護、訪問リハ、デイサービスを利用)
  • 抗認知症薬はほぼ使わず、サプリメント中心(コウノメソッド)の治療
  • 遠距離在宅介護を8年間続け、介護施設の利用経験はない

2021年の認知症テストの結果

認知症テスト(改訂長谷川式認知症スケール)は、2014年以降は1年に1回のペースで実施している。30点満点のテストで、認知症が確定している場合は20点以上が軽度、11点~19点が中等度、10点以下が重度と判定される。8年分の母のテストの点数をグラフ化した。

母の長谷川式認知症スケールの推移(2013年~2021年)

2021年の結果は9点で、点数では母は重度の認知症になる。

テストの点数だけで判断できるものではないし、結果で一喜一憂する必要もない。なぜなら、その日の夜に自宅で母にテストと同じ質問をしたら、答えられたから。本人の調子にもよるし、病院では緊張して、答えられないこともある。

この1年は、コロナの影響を大きく受けた。母と接する頻度が減り、会話や料理など刺激を与えることができなかった。だから、点数が1桁になると予想していたが、その通りになった。

母と看護師さんのテストの様子を、いつものように診察室の外で聞いていた。野菜を10個言ってくださいという質問に、母がこう答えた。

『にんじん、キャベツ、じゃがいも、にんじん、キャベツ、にんじん、ごぼう、にんじん、なす、キャベツ、にんじん、にんじん、なす、キャベツ、ごぼう、ほうれん草、にんじん、キャベツ、なす、キャベツ、にんじん、なす、キャベツ、ごぼう、にんじん』

にんじん、言い過ぎ! 昨年も似た感じだったが、今年は繰り返しがパワーアップしていた。

たった9点でも遠距離で在宅介護をやっている事実

認知症介護中の皆さんは、介護歴、要介護度、テストの点数、介護保険サービスの利用状況、既往歴などを、ご自身とわが家とで比較したと思うが、どう考えるだろう?

かかりつけ医は、テストの点数を「ある意味で順調」と言っていたのだが、これは1年で2点から3点悪化するから、順調という意味だ。

誰もが老いるし、認知症もお薬や介護の方法で、たまに魔法がかかったり、進行がゆっくりになることはあっても、基本的には進行していくもの。そう考えると、介護者がテストの点数をどう思うか、どう解釈するかが大切だと思っている。

うちの母よりテストの点数が良くても、在宅介護ができずに、施設に預けなくてはならない人もいる。それは認知症ご本人が示す症状、介護する側の接し方、家庭環境、お薬の相性など、理由は様々だからテストの点数だけでは語れない。

今回のテスト結果を受け、明日から介護施設に預けるのかと言われれば、それはない。これまでどおりの遠距離在宅介護をしれっと続けていく。たとえテストで9点しかとれず、一人暮らしであってもだ。

介護保険制度をフル活用し、見守りカメラやスマートリモコンなどIoT機器の力を借り、分からないことがあったら、介護のプロに相談する。自らもコロナ対策をしっかりやりながら、岩手と東京をなんとか往復して、遠距離在宅介護を続けていくつもりだ。

振り返ってみて、うまく介護をやれているのかもしれない。もちろん、もっとゆっくり認知症が進行して欲しいと、いろいろあがいてはみたが……。今のところ母の希望通りだし、嫌がることはさせてないし、楽しそうだし。わたし自身も介護者として人生を楽しんでいる。たぶん、これでいい。

もし、わが家のテスト結果や介護の状況を見て、勇気が出た、こんな状況でも自宅で暮らしていけるんだと感じてくれる人が全国のどこかにいるのなら、とてもうれしい。

工藤さんのところは特別だ、恵まれていると言われることもあるが、どの家にも個別の事情があるわけで、特別なんて思ったことはない。工夫の積み重ねの結果だと思っている。

改めて母とエンディングノートを書きながら、本人の意思を確認した。できるだけ住み慣れた家で過ごしたいと言う。わたしも母の思いを叶えてあげたいし、今施設に入れば、認知症は激しく進行すると思うから、あらゆる力を借りてこの態勢を維持していくつもり。

もし自分自身に限界が来たら、介護施設を使うつもりで、母もそう言っている。たとえ9点しか取れなくても、サポートがあればラーメンは作れるし、曜日は間違えてもデイサービスの準備はひとりでできる。これらは、9点には反映されていない。

いつまでこの遠距離在宅介護は続けられるだろうと、何度も考えたし、今でもあと何年と思うこともある。コロナの影響で、自宅で暮らせる時間は短くなったかもしれない。

とにかく過去は変えられないので、今あるリソースをフル活用しながら、1日でも長く今の介護を維持できるよう、それによって介護で疲弊することのないよう、脳をフル回転させていきたい。

voicyの最新回は、30代で突然やってきた介護でわたしが取った行動の話です。お先真っ暗って、こういうときの言葉なんでしょうね。

今日もしれっと、しれっと。


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6件のコメント

テストって意味があるんでしょうか?
長谷川さん自身、意味ないと発言していたし
あれっ、違ったかな
余計な事、言って、すみません。  

ブログやコメント、そしてVoicyいつもありがとうございます。

工藤さんが「認知症の家族を遠距離で介護している」と伝えてくれただけでとても勇気が出たし、救われましたよ!
Voicyは自分に置き換えて聞いていました。30代前半は介護のことは全く頭になかったですし、後半は子育てで余裕がなかったです。
私が、工藤さんの立場だったら、人生終わったなと思っていたような気がします…

くどひろさん凄すぎます!

sakoさま

2021年に入ってから、voicy関係のコメントがブログのほうにも入ってうれしい限りです。
9点でもなんとかなっている人がいるという事実は、多くの人に知って欲しいです。

コマさま

いえいえ、余計な事でないですよ。

長谷川先生の講演に行ったとき、確かにご本人も意味はないと言ってました。ただ、アルツハイマーの方はこの問題を間違いやすいとか、わたしのようにテストの点数や答えだけではなく「答え方」に注目していると、毎年の変化に気づきやすくなります。なので、使い方次第と考えています。

いつもブログを読んで参考にさせていただいてます。

ウチの母はテストは最近は受けてないです。
初診と次年度だけですね。
それから3年ほど経っていますが。
点数がわかっても今の生活に関係ないなぁと思ってます。
今、出来ること、今、出来ないことの見極めが大事なのかと。
母も一人暮らしなので見守りながらできない事を補ってます。

見守りカメラはすごく役立ってます。

かりこさま

ブログ読んで頂き、ありがとうございます!

確かに点数が分かっても、生活は何も変わらないんですよね。わたしの場合は1年に1回、その時点の点数を確認して「やっぱりな」と確認するためでもあります。
見守りカメラ、本当に便利ですよね。

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ABOUT US

工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。岩手にいる認知症&難病(CMT病)の母(77歳・要介護2)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて9年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。Voicyパーソナリティ『ちょっと気になる?介護のラジオ』。認知症ライフパートナー2級、認知症介助士。
【著書】親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)ムリなくできる親の介護(日本実業出版社)医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか