認知症のお薬がいつしか「お守り化」してしまう話

先日、ある男性とオンラインで話していたときに、こんなやりとりがありました。

男性

うちの親も認知症のお薬を飲んでいるですけどね、もう止められなくて。だんだんお守りみたいになってきて。

わかる!ものすごく共感してしまったので、思わず記事にしました。

抗認知症薬やサプリメントがただの「お守り」になる日

認知症のお薬への評価は、かかりつけ医によっても、介護家族によっても様々だと思います。

薬がよく効いていると感じている方もいれば、変に効きすぎてダメという方、効いているのかどうかよく分からない方、かなり感じ方に差があるように思います。

何が難しいって、飲んで熱が下がる風邪薬のような分かりやすさが、認知症のお薬にはありません。症状が改善されても、お薬の効果なのか、たまたま認知症の人の調子が良かったのか、さっぱり判断できません。

基本的には認知症は完治するものではないので、お薬を1度飲み始めるとなかなか止められません。うちもサプリメントは8年近く続けていて止める機会がなかったのですが、新しく試すお薬の関係で、先日1週間ほど止めました。すると大きな変化があり、これは意味あるなあと思いました。

結局、「薬の効果はよく分からないけど、なんとなくお薬を飲んでいれば安心」と介護家族は思うようになり、次第に認知症のお薬が「お守り化」していきます。持っていれば安心なお守り同様、お薬を飲んでいれば安心となります。

お守りを持ってしまうと手放せない、不安になるあの感じが、認知症のお薬でも起こり得ます。

お守り化する前にやっておくべきこと

認知症のお薬がお守り化するケースが多いと考えると、やはり最初の医師選びはものすごく大切になってくると思います。

受験祈願なのに、安産祈願のお守りを持たされることがあるので、安心せずにお薬を飲む前と飲んだ後で、認知症の人がどう変化したかを確認することがとてもとても大切です。お守り化すると、それすらも止めてしまう可能性があります。

わが家もお守り化しているところはありますが、たまにお守りを確認する習慣はあります。

音声配信voicyの最新回は、認知症の親を「お父さんお母さん」と呼ばないと、介護者はどうなるのか?というお話です。

今日もしれっと、しれっと。


にほんブログ村 介護ブログへ


【わたしの書いた最新刊】
東京と岩手の遠距離介護を、在宅で11年以上続けられている理由のひとつが道具です。介護者の皆さんがもっとラクできる環境を整え、同時に親の自立を実現するために何ができるかを実践するための本を書きました。図表とカラーで分かりやすく仕上げました。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

ABOUT US
工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(81歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて13年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【音声配信Voicyパーソナリティ】『ちょっと気になる?介護のラジオ
【著書】親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか