介護者が情弱だと、認知症の人を救えない

認知症介護 情弱

情報弱者というコトバがあります、略して「情弱」。

日本はネットがどこでもつながりますが、世界だとつながらない地域もあります。わたしがケニアに行ったときは、マサイ族が携帯を使っていたのですが、アフリカにはつながらない地域もあります。そういったネット環境にないことを情報弱者と言いますが、ネット界では情報収集能力が低い人のことをよく「情弱だなぁ」といいます。(ネットスラングでもあり、ネガティブなイメージもあります)

認知症における介護者の情弱とは

わたしが半年で医者を3人変えたように、認知症の診断は医師によって全く違うのが現状です。医者と相性が悪かったこともあって、その違いを体感することができました。一般的には、医師を疑うなんて発想はなくて、最初に行った病院で最期まで頑張ろうとするし、処方されたお薬を何も疑うことなく飲むし、悪くなったら薬の量が増えてもふつうだと考えます。

仮に認知症が悪化したとしても、薬が原因なんて思わないし、加齢による進行だと信じて疑わず、最期を迎えるという方が、未だにたくさんいると思います。偶然の体験や、ネットや本で認知症を勉強したから良かったものの、自分が情弱だったら、母は今頃どうなっていたかと思うと、本当にゾッとします。

情報をいっぱい集めても、その後どうしたらいいかについては、正直答えがありません。答えを持っている医師、介護職、介護仲間に会うかどうか、あるいは自らが、認知症の方の状態を見極めるしかありません。介護者の判断ひとつで、認知症の方の運命は決まります。

介護者はすごくプレッシャーに感じてしまうかもしれませんが、どの道を選ぶかで結果はだいぶ違います。風邪のように、市販薬でも治ってくれればいいのですが・・・

状況は常に変わっていく

うちはコウノメソッドを軸にしていますが、他の先生の講演も聞くようにしていますし、介護仲間の実体験なども参考にします。もちろん、ネットで情報収集もします。

2冊目の本には、「浮気性」というコトバを使ったのですが、医師も家族も進化しないといけないと思っています。これからも、いいお薬や治療法、接し方など、いろんなものが登場するはずなので、常にアップデートが必要だろうと。

情弱にならないために、インターネットを使いこなすことがいいように思えますが、そんなこともなくて、身近な介護仲間であったり、医師・介護職の方々との情報交換だって、情弱防止になります。情報収集が苦手だったら、その役割を果たしてくれる信頼できる医師・介護職に出会うことで、情報弱者にならずに済みます。

介護者が情弱にならないよう、勉強し続けることが、認知症の人を守る最強のお薬ですね。

今日もしれっと、しれっと。


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東京と岩手の遠距離介護を、在宅で11年以上続けられている理由のひとつが道具です。介護者の皆さんがもっとラクできる環境を整え、同時に親の自立を実現するために何ができるかを実践するための本を書きました。図表とカラーで分かりやすく仕上げました。

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ABOUT US
工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(81歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて13年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【音声配信Voicyパーソナリティ】『ちょっと気になる?介護のラジオ
【著書】親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか