今回ご紹介する新刊は、誠弘会池袋病院副院長・平川亘先生の著書である「明日から役立つ認知症のかんたん診断と治療」です。医学書としては安い、介護家族には少し高いけど、お値段をはるかに超える価値のある本だと思います。
平川先生の講演を、2回ほど聞きに行った時の記事はこちら。
介護家族や介護職にこの本を紹介したいと思った理由
本の最初・序というところに、こう書いてありました。
認知症の診断と治療の一番簡単な本として、介護職の方々や認知症患者さんのご家族の方々に手にとってもらいたいと思います。
出典:明日から役立つ認知症のかんたん診断と治療
お医者さんの本なのにポップな表紙(記事タイトル下写真)で、認知症の方の写真がbefore after形式(お薬の扱い方を変える前後の表情)でたくさん載っています。しかもカラーなので、家族や介護職の方も読みやすいです。お値段が高いと感じるのは介護家族だけで、医学書の分野では激安です。
認知症のお薬、アリセプト、リバスタッチ、レミニール、メマリー、プレタールの「失敗しない使い方」について書いてあります。また巻末には、お医者様がデスクマットに挟めるあんちょこ「認知症のかんたん診断と治療(まとめ)」の付録までついています。アルツハイマー型、レビー小体型、ピック病、脳血管性、それぞれどのお薬がいいのか、分かります。
わたしは平川先生の講演会に参加して、お薬の扱いを変えた前後で激変した認知症の方を動画で見ました。本なので動画では見られませんが、それでも表情や姿勢が大きく変化していることが写真を通して分かると思います。
介護職や家族にも手にとってもらいたい・・・そう書いてあったし、確かに読みやすい作りになっていたので、ご紹介しようと思いました。
家族や介護職が「自分事」として読む方法
今処方されているお薬の種類や、量がどれくらいか、ご家族でも理解できると思います。例えばメマリーを飲んでいる方ならば、平川先生曰く、20㎎を服用できる患者さんは3割しかいないそうです(眠気やめまいの副作用があるため)
レミニール、アリセプト、リバスタッチなど、それぞれのお薬の量、増やし方、副作用について、詳しく書いてあります。とにかく超具体的で、お薬を減らした認知症の人がどう変化したか写真で分かります。
この本でも、認知症のお薬の扱いの難しさを痛感することになります。皆さまが今お世話になっている病院が、こういった意識で治療してくれるのであればいいのですが、そうでない事も多々あります。
日に日に症状が悪化しているご家族、利用者さんがいるようでしたら、この本と現在服用されているお薬の量をチェックするだけでも、何か見えてくるかもしれません。
あとは近くにいい病院がなくて、やむを得ず近所のものわすれ外来に通っているご家族なんかも、この本でお薬の量をチェックしてみると、医者を変えるきっかけになるかもしれません。18年間の蓄積された実践データなので、説得力があります。
いくらユマニチュードだ、パーソンセンタードケアだと言ったところで、間違ったお薬を飲み続けていれば、焼け石に水。お風呂の浴槽に栓をしないで、お湯を溜めようとしているようなものです。
うちはこの本に書いてある治療法を、講演会で聞いてから実践中です。プレタールとグルタチオン点滴を利用しています。抗認知症薬と呼ばれるアリセプト、レミニールなどは飲んでおりませんが、母は安定しています。
わたしのバイブルとして活用しています。母の認知症症状に変化があったとき、薬を飲んだあとの変化など、辞典のようにして何度も読み返しています。
本を手にいれることで、いい医師を見つけたような感覚になります。超オススメです!
今日もしれっと、しれっと。
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