親の遺産の使い道は?わが家はこうです!

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亡くなった父のマンションが無事売却でき、無事入金を確認しました。さて、この遺産をどう使いましょう?

遺産の使い道の代表例

親の遺産相続で受け取ったお金の使い道の代表例は、次のとおりです。

  • 住宅ローンの支払いに充てる
  • 子どもの大学進学の資金に充てる
  • 資産運用する(定期預金、株式運用、不動産投資など)
  • 貯金する
  • 家や自動車を買う

遺産分割協議でもめた時は弁護士を!みたいな記事は多いものの、遺産の使い道をどうするという話題は意外と多くありません。「親の遺産で新築マンション買ったぜ、イエイ!」なんて、自ら発信しないですよね。

ちなみにわたしは、父の介護費用をかなり立て替えていました。まずは売ったマンションのお金で、その介護費用をすべて回収し、残りを妹と2人で分けました。

もし数千万単位の遺産を相続できていたら、代表例にある資産運用や家、マンションなども考えたかもしれません。しかし、わたしが手にした遺産はごくごくわずか。大きな買い物できる金額ではないので、介護費用としてもらった以外は、貯金に回しました。

このブログは介護ブログなので、提案としてはもう1人の親の介護準備資金として残しておくという使い道を提案します。貯金がしっかりある親で、子どもが介護費用を捻出する必要がなければ、残しておく必要はないかもしれません。

ちなみにうちの例ですが、祖母が亡くなった遺産は母が相続しました。その遺産はすべて、母の介護費用として使っているため、わたしは1円も介護費用は出していません。

生きているときの親の財産に対するわたしの考え

わたしは親の財産に対して、このような考えは「持っていません」でした。

  • 亡くなる間際に大きな病気をしたときのために、治療費がかかるからお金をたくさん残しておく
  • 自分が遺産相続するとき多くもらいたいから、できるだけお金は使わない

そもそも親の遺産など、普通のサラリーマンだった父には期待してませんでした。というか、家出して自分で盛岡にマンションを買ったと聞いた時に、父の遺産はなくなったとすら思いました。

祖母も父も看取りましたが、思っているほど死ぬ間際にお金はかかりませんでした。要介護5になろうが、悪性リンパ腫で1か月以上入院しようが、介護保険や医療費の上限は決まっているので、イメージしているよりもお金はかかりません。

わたしの場合、亡くなった時にむしろ思ったことは、

くどひろ
何かおいしいもの食べさせておけばよかった・・、旅行にも連れて行っておけば・・・もっと前から治療しておけば・・・

そちらの後悔のほうが大きく、特に認知症で何も判断できない祖母に対してはその思いが強かったです。だから父にもやりたいことをやってもらったし、母に関してはこの後悔がないよう、月1回は外食に行くし、年1回はプチ旅行みたいなこともしています。

元気なうちに、お金は使ってもらいたい!同じお金を使うにしても、使いどころで価値は違うと思っています。後半でお金を使うと延命はできるのかもしれませんが、わたしの経験上はやっぱり使いどころはそこではないんですよ・・・もっと前。記憶に残せるうち、動けるうち、笑えるうちにお金は使うべきだと思っています。

親の財産をどう使うか?

親の遺産で泥沼裁判に突入するご家族もあるかと思いますが、うちのように大した金額でもない場合は揉めません。というか、父が生きてた頃もマンションのお金を原資にして、医療・介護費にすべて充てる、わたしや妹は1円もいらないというスタンスでした。

父は27年前に家を出ましたから、自分の遺産は妻には渡さない、息子であるわたしと妹で分けなさいと言って亡くなりました。一応、その通りにはするのですが、わたしに入金された後の使い道は自由なので、母に還元しようと思いプランを実行中です。

「息子というのは、母親の味方するのが常」と父は思っていたのですが、そんなことはないです。親とか関係なく、人としての振る舞いを冷静に見たときに、とても父に賛同することはできませんでした。一方の母は母親らしかったので、相対的に母を応援していただけのことです。

還元プランのうちのひとつを早速実行したら、こんなことが起きました。

今回の還元は庭の剪定

基本は母の認知症や身体に関するところにお金をかけてきたのですが、目によく入るものは気になるという習性が母にはあり、同じことを何度も言うので、そういうところもメンテナンスしている最中です。

うちの庭は、数年前まではげ上がっておりました。というのも、認知症の元気な祖母が必要以上に剪定をしてくれたので、まぁスッカスカ。祖母が亡くなって5年が経ち、だいぶ木々が生い茂ってきたのですが、わたしの素人剪定ではどうにもならないところまで来ました。お隣の家まで木が伸びてしまったり、小さな畑も荒れまくってます。

訪問リハの理学療法士さんからの情報で「シルバー人材センター」が安いと聞いて、庭の剪定を依頼することにしました。

シルバー人材センターとは、高年齢者が働くことを通じて生きがいを得ると共に、 地域社会の活性化に貢献する組織です。センターは、原則として市(区)町村単位に置かれており、基本的に都道府県知事の指定を受けた社団法人で、 それぞれが独立した運営をしています。
引用元:http://www.zsjc.or.jp/about/about_02.html

怪しげなホームページから、大丈夫だろうか・・と思いながらも「メールで」申請をしました。予想的中、返信がありません・・・

世代や地域に合わせて連絡手段を変えておかないと、返事がこないということもあります。やっぱり電話じゃないとダメなんだなと思っていたら、「郵便で」シルバー人材センターから見積もりが届いておりました。

ん?庭の大きさも伝えてないし、庭を見に来てないのに見積もりって出せるんだ。人材センターすげー!

想定していた金額の半額くらいだったので、これでいい!と申し込もうと思ったのですが、どうやら最後は電話で申し込む必要があると書いてあったので、電話しました。

くどひろ
すみません、こちらの見積もりでお願いできますか?ちなみに庭を見なくていいんですか?

受付の男性
いえいえ、職人が現地に行って調査したと記載がありますけど。職人のほうから、工藤様に電話するようにしますね

それで、職人さんからすぐ電話が来ました。

職人
先日ね、お母さまに庭を見せて頂きましてね、ご説明差し上げたんですよ。近所の剪定をしているものでね、お母さまもわたしのことご存じで。名刺を置いていったのですが、ありませんでしたか?

そういえば、うちのどこでもドアホンに見慣れない男の人が映っていて、誰だろうとは思ってました。(訪問者の録画はしているものの、母が使い方が分からず音声は録音されない)

結局、母は見知らぬ職人の話に、テキトーに話を合わせて対応したのでした。当然そんなことは覚えているはずもないので、わたしに何も言わなかったということなのです。すぐに事情を察したわたしは、

くどひろ
実はうちの母は認知症なので、職人さんと話したことは覚えてませんし、名刺もどこかにやってしまったと思います
職人
え、全く分かりませんでした。ごくごく普通に話されてましたから

正直に伝えると職人さんも納得されたようで、今後はわたしとやりとりをすることになりました。

うちの母がすごいと思うのは、おそらく初見の方は認知症だと思わないということです。それっぽく話を合わせる技術があります。しかしもって5分。10分以上話すと、さすがに同じ質問ばかりしますからそこでバレます。

ある一定額までは母に還元し、残りのお金は使い道未定・・・たぶん使わずに置いておくと思います。(←長い文章の割に、弱いオチ)

皆さんは親の遺産をもらったらどう使うか、考えたことありますか?

遺産に期待して、人生設計してはいけないと思います。自分のスペック以上に借金を重ねて自分自身を苦しめたりするから、遺産相続でもめるんですよね。また自分のスペックに合わない額をもらったりするから、人生おかしくなったりもするんですよね。

自分のスペックにあった財産というのが、誰にでもあるのだと思います。

亡くなった時の手続き

今日もしれっと、しれっと。


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東京と岩手の遠距離介護を、在宅で11年以上続けられている理由のひとつが道具です。介護者の皆さんがもっとラクできる環境を整え、同時に親の自立を実現するために何ができるかを実践するための本を書きました。図表とカラーで分かりやすく仕上げました。

4件のコメント

くどひろ 様

ご無沙汰してました。
亡くなってもいない親の遺産相続を考えるなど申し訳けないと思いつつ、既に計画は決めてます。

①お葬式代ーどなたが会葬にいらしてくださっても頂かないで、一切の費用を支払うこと
→ここ二年間町内の方が亡くなってもわざと会葬に行きませんでしたので、もし、来て下さる人がいたら気持ちだけでと。

②今住んでる家を壊して更地にすること
→田舎の大きな家に1人住んでるので、本当は今すぐにでも減築して快適にしてあげたいけれど、環境の変化が何をもたらすか心配なので

③その更地の上に小さな家を建てて、仏壇だけは置くこと
→甥っ子がこのまちのお祭りが大好きなので、寝泊まり出来る最小限の場所を確保してあげたい

さて、③まで実行出来る遺産があるか? 節約しながら、介護を続けましょ。
長生きしそうなので、こちらが逆に参ってしまいそうですが…(((^_^;)

奈都さま

具体的な計画を決めてらっしゃるって、すばらしいと思います。

そうなんですよね、どれだけ残るかは正直なところ分からないですよね。母に関しても父と同じく、1円も残らないイメージでおります。

 盛岡市はシルバー人材センター、すぐ使えるのですね、うらやましいです。
 仙台市は一年に一回1月15日に電話受付で、あっという間に一年分埋まってしまいます。今年初めて電話してみてびっくり。電話がつながった時には締め切られていました・・
 庭木の剪定は庭師さんにやってもらっているのですが、雑草刈をしてもらいたいのですが・・
 母が一人暮らしなので信頼置けない業者だとその後に何かとやってきてちょこちょこいらない用事でお金取られちゃいそうで不安です。シルバーさんならそんな心配はなさそうなので、できたらシルバーさんに頼みたかったです。どこか探さないといけないのですが、住んでいない土地の業者を探すのは大変です。

トトさま

寒い2月に申し込んで、4月・5月・6月でしたからすぐというわけでもないかもしれません。
それでも仙台ほど人口はいないので、ゆとりはあるのかもしれないですね。

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ABOUT US
工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(81歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて13年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【音声配信Voicyパーソナリティ】『ちょっと気になる?介護のラジオ
【著書】親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか