少し変わった認知症の母の昼夜逆転の話

認知症 昼寝 昼夜逆転 対処法

認知症の症状の中に、昼夜逆転というものがあります。

いわゆる昼と夜の区別がつかない状態であったり、生活のリズムの崩れから昼間に活動せずに夜間に活動したり、不眠や睡眠障害と合わせて説明されることが多い症状です。

介護している人は、認知症の人が深夜に起きて行動するので眠れないので、なんとか夜に寝て欲しいと願います。

一般的な昼夜逆転の原因と対処法

『認知症ねっと』さんの睡眠障害の説明を引用しますと、

昼間に活動し、夜間は眠くなるというように、生活リズムを整えているのが「体内時計」。脳はそれを調節する大切な役割を担っています。中でも大きな影響を及ぼしているのが、分泌によって睡眠を促す「メラトニン」というホルモンです。加齢に伴い分泌が低下するため、睡眠時間が短くなったり、朝早く目が覚めたり、途中で目が覚めるといったことが起こると言われています。加齢とともに体内時計の機能は徐々に衰えていきますが、認知症になるとその影響はさらに大きく、睡眠障害を起こしやすいとされています。
引用元:https://info.ninchisho.net/symptom/s140

昼夜逆転の対処法として、朝に日光を浴びるとか、日中の活動量を増やすとか、コーヒーなどを避けて眠りやすいホットミルクを飲んでもらう、寝る前のトイレで不安を解消するなどが有名です。

認知症の症状は人それぞれで、ベーシックなものは知っていても、そんなパターンもあるの!ということだらけ。わたしは他の介護者の経験談やブログで「なるほど~」という感じで勉強してます。

母の昼夜逆転は、夜中に起きだすという一般的なものではありませんでした。

昼寝の直後に起きた昼夜逆転

わたしはね、昼寝ができない人なの。

認知症の母の「寝てない」アピールは未だに意味不明なのですが、実は「10代の学生かよ!」と思うくらい、しょっちゅう寝ています。わたしと一緒に生活している時は昼寝の時間は減りますが、ひとりの時はどうしても寝る時間が増えます。

その日は、13時くらいから2階の自分の部屋で原稿書きをしながら、時折1階の居間にいる母をカメラ越しにチェックしていました。そしたら、船を漕ぐ母が映ったので、1階まで行って母に話しかけます。

くどひろ
昼寝も悪くないんだけど~
寝てない寝てない、ウトウトしてただけ

2階に戻って仕事をしていたのですが、仕事が乗ってきたのでつい1時間ぐらい文章を書き続けて、スマカメで1階の母をチェックするのを忘れてました。そしたら、今度は本格的に昼寝をしていました。起こしにいくと母が、

あら、今、朝?夜?

はい、昼夜逆転です。15時だったのですが、朝3時なのか、午後3時なのか、母は分からなくなっていたのです。

くどひろ
ほら、宮根さんがテレビに出てるってことは、午後でしょ?
そうね、午後ね。あれ、でも朝ごはんの準備をしなきゃね。
くどひろ
いやいや、あと30分で理学療法士さんが来て、訪問リハビリ始まるって。
じゃぁ、午後ね。でも、あれ、朝じゃないの?

こういう時も認知症の人の世界観を壊さない、否定しないを実践すべきなんだろうかと思いつつ、30分くらい午後であることの説明をし続けたのですが、なかなか理解してもらえません。

結局、リハビリが始まったことで午後だと理解してもらったのですが、以前はそれが理解できずに、朝ごはんを作ったこともありました。また、夜寝るために布団を敷かなきゃいけないのに朝と勘違いして、自分で敷いた布団を上げることがありました。

昼夜逆転と言っても、ちょっとした昼寝が原因の昼夜逆転もうちの場合はあります。他の家もあるのかどうかは不明ですが、これが少し変わったわが家の昼夜逆転です。

夜はきちんと布団に入りますが、昼寝が多かったり、夜のうたた寝(19時くらいから1時間程度寝る)が多くなると、その分朝が異常に早くなります。結局、夜中に起こされるので、わたしのストレスがたまることにはなります。

母の場合は超早起きでも、テレビを見ていてくれるので割と静かです。夜中3時くらいに母が起きたときは、枕元にあるスマホで階下の母の様子をスマカメでチェックして、特に問題なければ、そのままにしておくこともあります。

活動的な日は、朝ごはんを5時台に作ってしまうこともあります。そんな時は、やむを得ず居間に行って、眠い目をこすりながら一緒にご飯を食べることもあります。

昼寝からの昼夜逆転の対処法

ひとり盛岡にいる時であまりに昼寝時間が長い時は、東京からワン切りで起こすこともあります。一緒に生活している時は、何度も声かけに行くようにして、母と会話をしたり、お菓子を食べたり、テレビを見たりします。

デイサービスに行って、何をするわけでもないのに、なんだか疲れる

デイサービスから帰ってきた母が必ず言う口癖。人と話すと気疲れがするというのもありますが、わたしはひとりで生活している時、昼寝時間が長く、その昼寝がデイではできなくなるから疲れているのだと思っています。

人と話す気疲れは、よく分かります。わたしもパソコンに向かって文字を書いていることがほとんどなので、会社員時代と比べて話す時間が激減してます。なので、たまに3時間くらい人と話すと、ドッと疲れることがあります。

これといったスペシャルな対処法はないのですが、今やろうと思っているのはひとりでいる時でも会話する方法・・・ロボット導入しようかな・・・。真面目に検討中です。

今日もしれっと、しれっと。


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東京と岩手の遠距離介護を、在宅で11年以上続けられている理由のひとつが道具です。介護者の皆さんがもっとラクできる環境を整え、同時に親の自立を実現するために何ができるかを実践するための本を書きました。図表とカラーで分かりやすく仕上げました。

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ABOUT US
工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(81歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて13年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【音声配信Voicyパーソナリティ】『ちょっと気になる?介護のラジオ
【著書】親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか