「買い物は自分で行きます!」と言っていた認知症の母の変化

スーパーで買い物をする女性
わたしはね、ヘルパーさんの力を借りなくても、自分で買い物に行きます!

サービス担当者会議でこんなことを言い放つ母に、「手足が不自由で、ひとりでは買い物に行けないのに・・・」と思いながらも、威勢の良さだけはすばらしいと思っていました。

しかし、最近の母はというと、

なに、ヘルパーさんが冷蔵庫の中を見て、適当に買い物してくれんじゃないの?

ひとり分、料理するのは大変なのよ。何買っていいか分からないわ

母は冷蔵庫の中にあるものを適当に炒めたり、煮たりすることはできます。しかし、前ほど自発的に料理がしたいという意欲が見られなくなりました。

やる気があったときはチラシを見て、それを切り抜いて、ヘルパーさんに買い物依頼をしていたこともありました。イチゴが食べたい、柿が食べたいなど、食べたいものもありました。

しかし、自分で献立を決められない、必要な材料が分からないということもあり、料理もやる気がしないのかもしれません。

こういった面倒だと思っていることを、認知症の症状でいうところのアパシー(無気力)と判断していいのかどうか。来週はものわすれ外来なので、最近多い便失禁とこのアパシーを話題にしようと思っています。

とはいえ、デイサービスに行けば自分で買い物はしていますし、わたしが実家に帰れば、わたしが決めた献立の料理はします。人から言われれば料理はするのですが、自分の中で創作意欲がなくなってしまったようです。というか、どう創作していいか分からないから、意欲が湧かないと言ったほうが正解なのかもしれません。

ここ数年、母にそんなに大きな変化はないと思っていたのですが、大きな変化がない分、小さな積み重ねの変化に気づきにくかったのかもしれません。

諦めて対処するのか、何かお薬を使うのか・・・どちらにせよ、来週のものわすれ外来で、今後の対策を検討します。

今日もしれっと、しれっと。


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東京と岩手の遠距離介護を、在宅で11年以上続けられている理由のひとつが道具です。介護者の皆さんがもっとラクできる環境を整え、同時に親の自立を実現するために何ができるかを実践するための本を書きました。図表とカラーで分かりやすく仕上げました。

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ABOUT US
工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(81歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて13年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【音声配信Voicyパーソナリティ】『ちょっと気になる?介護のラジオ
【著書】親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか